安西幸輝も今季初の連勝に貢献、好調ポルティモネンセが9位浮上! 守田英正はPKを献上したが…【リーガNOS第26節レビュー】

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【©LigaPortugal】

リーガNOS(ポルトガル1部)の第26節が現地9日から11日にかけて開催された。日本人選手たちもプレーした今節の全9試合のレビューをお届けする。

ポルティモネンセは今季初のリーグ戦連勝で9位に浮上 【©LigaPortugal】

【ポルティモネンセ(安西幸輝&中村航輔所属) 3-0 ヴィトーリアSC】

 日本人選手が2人在籍しているポルティモネンセは、ヴィトーリアSCに3-0の快勝で今季初のリーグ戦連勝を飾った。DF安西幸輝は左サイドバックとして先発フル出場、GK中村航輔はベンチ入りしなかった。ポルティモネンセは試合開始からすぐの5分、MFルキーニャのコーナーキックにDFルーカス・ポッシニョーロが頭で合わせて幸先よく先制する。前半はお互いにチャンスの数が少なく、ポルティモネンセの1点リードで折り返した。

 後半に入るとヴィトーリアSCがボールを持つ時間が長くなるが、62分にコーナーキックの際にFWオスカル・エストゥピニャンが足を高く上げて相手選手の頭を蹴ってPKを献上してしまう。そのPKをMFデネルが決め、ポルティモネンセがリードを2点に広げた。さらに67分、ハーフウェーライン付近でボールを奪ったポルティモネンセはカウンターに移ると、FWベトが3点目を奪って勝負あり。ベトは直近5試合で5得点と大ブレイクの予感を漂わせている。今季初の連勝となったポルティモネンセは前節ナシオナル戦を5-1で制しており、2試合で8得点と攻撃力が爆発している。一方、ヴィトーリアSCはリーグ戦5連敗、2月からの12試合でわずか2勝と絶不調に陥っている。

【マリティモ 1-0 ファレンセ】

 前節終了時点で16位のファレンセと17位のマリティモが、残留争いの直接対決に臨んだ。勝利すれば「6ポイント」分の価値がある重要な試合だ。先制したのはマリティモだった。43分、右サイドからDFレネ・サントスの上げたクロスは、ファレンセの選手に当たってコースが変わり、ペナルティエリア内へ。そして、こぼれ球にいち早く反応したイラン代表FWアリ・アリプールがシュートをゴールにねじ込んだ。ファレンセはスコットランド人MFライアン・ゴールドを中心に反撃を試みるが、最後までゴールネットを揺らせず。勝利したマリティモは16位に浮上し、敗れたファレンセは自動降格圏内の17位に転落してしまった。

【ボアヴィスタ 3-3 リオ・アヴェ(食野亮太郎所属)】

 ともに苦しい戦いを続ける両チームの対戦は、計6得点が生まれる激戦の末にドロー決着となった。先制したのはホームのボアヴィスタだった。開始早々の3分、MFレジー・キャノンが右サイドから上げたクロスをゴール前でFWアルバース・エリスが折り返し、最後はFWユスファ・エヌジエが頭で押し込んでゴールネットを揺らす。このゴールをきっかけに試合が大きく動いた。10分、FWジェルソン・ダラが味方のシュートのこぼれ球に詰めてリオ・アヴェが同点に追いつく。すると直後の13分には右サイドを突破したエリスのクロスにエヌジエが合わせ、ボアヴィスタが再び勝ち越した。前半は2-1でボアヴィスタがリードして終了する。

 後半に入ると、ボアヴィスタは退場者を出して数的不利になってしまう。56分、自陣ペナルティエリア内で相手選手を倒したMFヤニス・ハマーチェに2枚目のイエローカードが提示されて退場に。リオ・アヴェのMFペレが蹴ったPKは守護神レオ・ジャルディンがセーブして危機を乗り越えたが、70分にはFWカルロス・マネに同点弾を許してしまった。10人で戦うボアヴィスタは82分にフリーキックから相手のオウンゴールもあって3度目の勝ち越しに成功する。しかし、後半アディショナルタイム終了間際の93分、コーナーキックからリオ・アヴェのMFファビオ・コエントランに劇的な同点弾を浴びてしまった。元レアル・マドリーのベテランは今季初ゴールでリオ・アヴェを敗戦の危機から救った。なお、リオ・アヴェに所属するU-24日本代表FW食野亮太郎はベンチ入りするも、2試合連続で出番なしに終わった。

サンタ・クララは5得点を奪ってナシオナルに大勝 【©LigaPortugal】

【サンタ・クララ(守田英正所属) 5-1 ナシオナル】

 サンタ・クララは開始4分で幸先よく先制に成功する。コーナーキックの流れからDFミケル・ビジャヌエバがヘディングシュートでゴールネットを揺らした。さらに35分、味方のシュートのこぼれ球にFWルイ・コスタが詰めて2点目。前半を2点リードで折り返した。後半に入ってもサンタ・クララの勢いは止まらず、47分にルイ・コスタが角度のないところからのフィニッシュで3点目を奪うと、66分に1点を返されたものの、79分にはFWカルロス・ジュニオールが味方の浮き球パスに反応して飛び出し、サンタ・クララのリードを4点に広げる。最後は後半アディショナルタイムに途中出場のFWウクラがPKで5点目を挙げ、大勝に華を添えた。

 ナシオナルにもチャンスがなかったわけではないが、54分にはPKを相手守護神マルコ・ペレイラに止められ、80分にFWブライアン・リアスコスが決めたかに思われたゴールはVARの介入でオフサイドと判定され認められず。不運にも見舞われた。とはいえゴール前の守備のゆるさは一向に改善されず、2試合連続の5失点を喫したナシオナルはリーグ戦8連敗で最下位に沈んでいる。サンタ・クララに所属する日本代表MF守田英正は後半にPKを献上してしまった場面もあったが、味方の好プレーにも救われ、12試合連続の先発フル出場で勝利に貢献している。

【トンデラ 0-2 ポルト】

 ミッドウィークにUEFAチャンピオンズリーグの準々決勝1stレグでチェルシーに敗れていたポルトは、主力メンバーを数人ベンチスタートにしてアウェイのトンデラ戦に臨んだ。まずは19分、DFぺぺのロングフィードに反応して相手ディフェンスラインの背後に飛び出したFWトニ・マルティネスが、見事な胸でのコントロールからシュートに持ち込み、ポルトが先制点を奪う。その後は雨が降った後で水しぶきが上がるほどの状態だった劣悪なピッチにも苦しめられ、両チームともゴールの遠い時間帯が続く。それでも83分に、MFオターヴィオのクロスから途中出場のイラン代表FWメフディ・タレミがヘディングシュートでゴールネットを揺らして2-0に。王者の風格を漂わせて勝ち切ったポルトはリーグ戦5連勝を飾り、2位の座をキープしている。2試合連続ドローに終わった首位スポルティングCPとの勝ち点差は6ポイントまで縮まり、逆転優勝の芽が再び見え始めた。

【パソス・デ・フェレイラ 0-5 ベンフィカ】

 前半の22分、パソス・デ・フェレイラのMFステファン・エウスタキオがベンフィカのMFユリアン・ヴァイグルのすねに強烈なタックルを見舞って一発退場に。これがベンフィカ大勝のきっかけとなってしまった。38分、DFジオゴ・ゴンサウヴェスが敵陣ペナルティエリア手前でボールを奪うと、自らシュートまで持ち込み先制。45分にはMFラファ・シウバ、前半アディショナルタイムの53分にはFWハリス・セフェロヴィッチもゴールネットを揺らし、ベンフィカが前半だけで3点のリードを手にする。後半に入っても圧倒的に試合を支配するベンフィカは、78分にセフェロヴィッチが強烈な反転シュートで自身2得点目を奪い、89分に途中出場のFWダルウィン・ヌニェスが仕上げの5点目。年明けは一時不調に陥ったものの、タイトル奪還を目指すベンフィカはリーグ戦6連勝でポルトやスポルティングCPを追走している。

ジル・ヴィセンテのMF藤本寛也は4試合連続の先発出場 【©LigaPortugal】

【ジル・ヴィセンテ(藤本寛也所属) 1-2 モレイレンセ】

 リーグ戦3連勝と好調だったジル・ヴィセンテは、ホームにモレイレンセを迎えた。しかし、結果は1-2での敗戦となってしまった。序盤の18分にジル・ヴィセンテのDFイゴール・ノゲイラがペナルティエリア内でファウルを犯し、モレイレンセにPKを与えてしまう。これをFWラファエウ・ソアレスに決められアウェイチームに先制を許してしまった。追いつきたいジル・ヴィセンテは後半開始直後の47分、ディフェンスラインからのロングフィードに抜け出したFWペドロ・マルケスが同点ゴールを奪う。しかし、74分に最初の失点の原因も作ったイゴール・ノゲイラがクロスの処理を誤ってオウンゴール。チャンスの数を相手より多く作りながら不用意なプレーで失点を重ねてしまったジル・ヴィセンテは、手痛い敗戦を喫した。同クラブに所属する日本人MF藤本寛也は4-3-3の右ウィングとして4試合連続の先発出場を果たし、65分までプレーした。

【スポルティング・ブラガ 1-1 ベレネンセス】

 序盤から多くのチャンスを作り出したスポルティング・ブラガは36分、ゴール前の混戦で抜け出したFWニコラス・ガイタンが先制点を挙げる。ただ、その後がなかなか続かずにいると、ベレネンセスに速攻から同点ゴールを許してしまった。59分、DFルベン・リマが繰り出したロングスルーパスにFWマテオ・カシエラが反応すると、飛び出してきた相手GKと並走してきたディフェンスを切り返しでかわし、無人のゴールにシュートを流し込んだ。ベレネンセスはこのワンチャンスから1ゴールを生み出したが、怒涛の勢いで勝ち越しを目指したブラガは相手の粘り強い守備を崩しきれず。3強の牙城に割って入るために落とせない一戦だったが、3位ベンフィカとの勝ち点差が3ポイントに開いてしまう、痛いドローとなった。

【スポルティングCP 1-1 ファマリカン】

 首位スポルティングCPはこの試合で開幕からの無敗記録を26試合に伸ばしたが、2試合連続の引き分けで勝ち点を大きく伸ばすことはできなかった。相手は残留争い中のファマリカンで、圧倒的にボールを支配し、シュート数は17対2とスポルティングが大きく上回っていた。それでもゴールは1点しか生まれず、4試合連続で複数得点を逃している。25分、MFペドロ・ゴンサウベスが敵陣内で相手GKからのパスを奪うと、前線のFWパウリーニョにボールを渡し、自らゴール前へ走り込んでリターンパスをもらう。そして、昨季在籍した古巣相手から今季16得点目となる“恩返し”ゴールを決めた。

 しかし、リードした時間帯は長く続かなかった。27分、ファマリカンはGKのフィードにサイドバックのDFルベン・ヴィナーグレが飛び出して左サイドを突破。折り返しを20歳のスペイン人FWイバン・ハイメがつなぎ、最後はFWアンデルソン・シウバが同点ゴールを奪った。前半にファマリカンが放ったシュートは得点となった1本のみで、後半も64分の1本だけ。一方、スポルティングは数多のシュートチャンスを生み出しながら、ことごとく決定機を外し続けた。この引き分けにより、首位スポルティングと2位ポルトの勝ち点差は6ポイントまで縮まった。無敗記録は続くが、このままフィニッシュの精度を上げて首位独走状態だった頃の調子を取り戻さなければ、昨季王者に逆転されてしまう可能性も十分にある。
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著者プロフィール

ポルトガル・リーグはポルトガルのプロサッカーリーグです。プリメイラ・リーガ(またはリーガ・NOS)とも呼ばれる1部リーグは1934年に開設され、現在18クラブで構成されています。

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