「京都G1以外の芝3000m以上」の傾向を調べる

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【2020/3/22 阪神11R 阪神大賞典(G2) 1着10番 ユーキャンスマイル】

3000m以上のレースでまず頭に浮かぶのは、天皇賞・春と菊花賞だろう。ただ、どちらも京都のG1であり、条件としてはやや偏っているとも言える。そこで今回は「京都G1以外の芝3000m以上」をテーマとしてデータを調べてみたい。今週末の阪神大賞典はもちろん、今年はともに阪神で開催される天皇賞・春や菊花賞を予想する際にもその一助になるのではないかと考えている。集計対象は2016年1月5日〜2021年2月27日。データの分析には、JRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。

人気別成績

表1 【人気別成績】

表1は人気別成績。集計対象の23戦中10戦で1番人気馬が勝ち、勝率43.5%と強さを発揮している。特に、別定G2(阪神大賞典、ステイヤーズS)では【6.1.2.1】と滅多に崩れないことも注目に値する。この1番人気がしっかり勝っているぶん、2、3番人気は勝率が振るわないものの、2、3着には入って水準以上の複勝回収率を記録。また、5〜7番人気の数値が優秀で、いわゆる中穴馬も狙ってみる価値が高そうだ。8番人気以下は苦戦傾向と言えるが、20年ダイヤモンドSで16頭立ての16番人気だったミライヘノツバサが単勝3万2550円の大穴をあけた例もある。

枠番別成績

表2 【枠番別成績】

表2は枠番別成績。なにより目を引くのが23戦12勝、勝率26.1%の8枠だ。この距離のレースは少頭数戦も多く、外枠の不利が比較的小さいからではないかとも思ったのだが、13頭立て以上のレースに限っても12戦6勝、勝率25.0%と数字が落ちない。比較対象として同期間の天皇賞・春と菊花賞における8枠の成績を示すと、合わせて【1.0.1.26】。勝ったのは20年天皇賞・春のフィエールマンしかいない。この両レースの結果から3000m級では外枠不利という印象もあるのだが、京都のG1以外では8枠がよく勝っていることには注意すべきだろう。

前走距離別成績

表3 【前走距離別成績】

表3は前走距離別成績。前走ダートの好走例はなく、前走芝のみを集計対象とした。最初に前走でも芝3000m以上のレースを走っていた馬を見てみると、好走率は悪くないものの、単複の回収率は50〜60%台にとどまり、あまり妙味はないようだ。好走率が高いのは前走2200〜2500mのあたりで、そのなかでも優位に立つ芝2500mは勝ち切りが多いことも特徴となっている。逆に、芝2200mや芝2400mは2、3着が多く、1着は少なめの傾向を示している。その他、芝2000mや2600mは部分的に数値が高い項目もあるが、全体の好走率ではやや見劣り、芝1800mから臨んだケースでは好走例がひとつもなかった。

牡牝・年齢別成績

表4 【牡牝・年齢別成績】

表4は、牡牝別と年齢別の成績。牡牝別では全23勝を牡馬(セン馬を含む)が挙げ、2着も1回を除いて牡馬が占める。ただし、複勝率に関しては牝馬のほうが高い数値を残しており、まったくの消しというわけではない。年齢別では4歳の好走率が非常に高く、出走があれば有望な存在となりうる。とはいえ、5歳や6歳の好走例も多く、8歳の好走率も悪くない。9歳以上の好走例は見られないが、8歳まではチャンスありと言えそうだ。

前走着順別成績

表5 【前走着順別成績】

表5は前走着順別成績。全体的な傾向としては前走着順がよかった馬のほうが好走率も高い。具体的に好走率の隔たりが出ているのは「前走4着と前走5着のあいだ」と「前走6〜9着と前走10着以下のあいだ」で、このラインを下回ると好走率が明らかにダウンしてしまう。一方、回収率に目を転じると、前走4着や前走5着、前走6〜9着は最低でも単複どちらかで100%以上の数値を記録しており、妙味があるのはこのあたり。前走10着以下からの巻き返しも不可能ではないが、好走率、回収率ともに凡庸というのが実情だ。

前走との斤量増減別成績

表6 【前走との斤量増減別成績】

表6は、斤量の増減別(前走比)成績を別定戦とハンデ戦に分けて示したもの。具体的なレース名としては、阪神大賞典とステイヤーズSの両G2が別定戦で、その他のレースはハンデ戦となる。

先にハンデ戦から見ていくと、好走率でいえば「今回増」が明らかに高く、特に1、2番人気なら【4.2.0.2】の好成績。本命・対抗級の評価を受ける馬なら、ハンデ増を気にする必要はなさそうだ。また、「増減なし」と「今回減」を比較すると、好走率では大差ないものの、回収率では「今回減」が有利。その「今回減」でも5〜7番人気は【4.3.2.15】、勝率16.7%、複勝率37.5%、単勝回収率349%、複勝回収率137%と抜群で、これは狙い目となるだろう。一方の別定戦は、率直に言ってデータの解釈がなかなか難しい。勝率では「今回増」、連対率では「増減なし」、複勝率では「今回減」がそれぞれ最も高い数値をマーク。特にどれが有望とも言いづらく、三者三様となっている。

文:出川塁
1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。
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著者プロフィール

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