今年も難解で激戦必至!? フィリーズレビューを占う!

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【2020/8/29 小倉9R ひまわり賞 1着 2番 ヨカヨカ】

今週は平地重賞が3つと障害の重賞が1つ組まれている。今回は日曜日に阪神競馬場で行われる桜花賞トライアルのフィリーズレビューを分析していくことにする。2019年は12番人気ノーワンと3番人気プールヴィルによる1着同着という結果となり、20年は5番人気エーポスが勝利するなど、例年予想が難しく、波乱傾向が強いレースだ。今年はフルゲート18頭を超える出走登録数があり、なおかつ実力も伯仲したメンバー構成という印象だ。桜花賞への優先出走権をかけた激しいレースになることだろう。いつものように過去10年のレース結果を分析し、今年のレースを展望していくことにする。データの分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。

過去10年のフィリーズレビュー上位馬

■表1 【過去10年のフィリーズレビュー上位馬】

表1は過去10年のフィリーズレビューで3着以内に入った馬の一覧。今回は特に前走レースの成績・位置取り・上がり3ハロンに注目した。前走レースはクラスごとに色分けをしている。前走重賞組(橙)、オープン特別(L・非L)組(青)、1勝(500万)クラス組(桃)、新馬・未勝利組とで分けて考えたい。

まず前走重賞組は12頭いて、芝1600mのレースに出走していた。その内7頭は阪神ジュベナイルフィリーズ組だった。2012年1着アイムユアーズは前走同レースで2着に入っており、本競走では1番人気に応えた。やはり2歳G1で好走した実績は評価すべきだろう。15年3着ムーンエクスプレスや16年2着アットザシーサイドも前走阪神ジュベナイルフィリーズで5着以内に入っていた。

一方で、14年2着ニホンピロアンバーは前走阪神ジュベナイルフィリーズで17着と惨敗していた。ただ、同レースでは3コーナーと4コーナーの位置取りが1番手と、逃げて大きく失速したという内容だった。また、14年1着ベルカントは前走朝日杯フューチュリティSに挑戦し、逃げて10着と敗れていた。2歳G1でハナを切れるスピードがあるというのは武器であり、芝1400mのG2では生きる可能性が高まる

このように前走重賞組は4コーナーで4番手以内に位置するレースをしていた馬が多かった。11年2着スピードリッパーや17年1着レーヌミノルも該当する。まとめると前走芝1600mの重賞で逃げ〜先行の競馬をして、5着以内に入っていた馬には特に注目したい。

続いて前走オープン特別組(L・非L)だが4頭と少ない。前走レースはバラバラだが、最近2年で連対馬が2頭出ている。20年1着エーポスは前走エルフィンSを4コーナー2番手で通過し、4着という結果だった。前走重賞組同様、逃げ〜先行で5着以内に入っていた馬に注目すべきかもしれない。

続いて前走1勝(500万)クラス組をみていく。好走馬は13頭と前走重賞組を上回った。牝馬限定の平場戦を使われていた馬の3頭が最も多いものの、レースの内訳はかなりバラバラで、13年3着のティズトレメンダスはダート1400mのはこべら賞に出走して勝っていた。

ただし、前走距離は1400〜1600mに限られる。前走1200mを使われていた馬が一頭もいない点は、大きな特徴であることを認識しておきたい

また、前走の上がり3ハロンはメンバー中3位以内に入っていた馬が比較的多い。18年の1〜3着馬はすべて前走1勝クラスに出走し、速い上がりを使って好走していた。15年の1〜2着馬も同様で、前走メンバー中上がり1位をマークして勝っていた。前走重賞・オープン特別組は先行力に注目したが、前走1勝クラス組は末脚が鋭い馬の方がよく馬券に絡んでいる。

最後に前走新馬・未勝利組は1頭(19年1着ノーワン)しかいない。今回は格上挑戦となるので出走例自体が他の組に比べて少ないが、いい結果を残すのは難しいかもしれない。

今年のフィリーズレビュー出走予定馬(フルゲート18頭)

■表2 【今年のフィリーズレビュー出走予定馬(フルゲート18頭)】

それでは今年のフィリーズレビューを占っていくことにする。出走予定馬は表2の通りだ。

【結論】

フルゲート18頭に対して1週前の段階で27頭もの登録があった。本稿執筆時点では出走馬が確定していないので、除外の可能性がある馬も候補として考える。前走重賞組は10頭いて、そのうち阪神ジュベナイルフィリーズ組はオパールムーン、シゲルピンクルビー、ポールネイロン、ヨカヨカの4頭。この中で前走再先着を果たしたのがヨカヨカ(5着)。熊本産馬としてデビューから3連勝を飾り、一時注目を浴びた。2走前、阪神芝1400mで行われたファンタジーSでは5着と敗れている点は気になるものの、前走G1で逃げて5着に粘った地力をあらためて評価したい。

シゲルピンクルビーは前走17着、ポールネイロンは前走18頭と惨敗したが、それぞれ4コーナーでは4番手、2番手とかなり前目で競馬をしていた。オパールムーンは前走4コーナーで16番手にいたが、メンバー中3位の脚を使って6着まで追い上げた。この3頭も軽視はできそうにない。

前走クイーンCで逃げて4着だったエイシンヒテンも要注目。ちなみに2走前の阪神ジュベナイルフィリーズでは11着に敗れたが、4コーナーを3番手で通過していた。ベッラノーヴァは前走フェアリーSを鋭い脚で追い込み3着と好走した。デビュー戦の東京芝1400mでもメンバー中最速の上がりをマークして勝っていた。差し馬ならば本馬に注目か。

前走オープン特別(L・非L)組は3頭。強力な逃げ〜先行タイプはいないが、いずれも前走で連対を果たしている。

前走1勝クラス組は9頭。その内芝1400〜1600mを走り、メンバー中3位以内の上がりを使って連対していた馬はアンブレラデートしかいなかった。ただ、同馬の場合は前走で逃げており、それ以前のレースでは2番手からの競馬をしていた。母がダイワスカーレットという良血馬で、本質的には瞬発力を生かすというタイプではなさそうだ。

前走新馬・未勝利組も5頭登録があった。もし出走できれば前走東京芝1600mでメンバー中最速の上がりをマークして勝ったリュクスフレンドが面白いか。総合的に考えると、今年は前走重賞組に有力馬が多い印象だ。

文:小田原智大(おだわら ともひろ)
1975年6月、東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、業界紙記者を経て、(株)レイヤード入社。ライター&エディターとして活躍。JRA-VANデータの配信初期から、いち早くデータ競馬の有効性に着目する。05年5月より「競馬 最強の法則WEB」にて、障害戦を除く全重賞レースの傾向と対策、予想を展開。「オッズパーク ダートグレードデータ作戦」では、地方競馬の重賞の攻略にも取り組んでいる。仕事の関係でなかなか競馬場には行けなくなったが、年に1、2回行くローカル遠征が楽しみ。
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