【WE・広島】近賀ゆかり選手「WEリーグのスタートは大きな第一歩」

サンフレッチェ広島
チーム・協会

【©2021 S.FC】

※2021シーズンイヤーブック 掲載インタビュー

――日本初の女子プロサッカーリーグが、いよいよ誕生します。
「W杯優勝から10年という節目に、女子サッカーのプロリーグがスタートすることになりました。少し時間がかかったかもしれませんが、うれしい気持ちと期待感でいっぱいです。新しいチャレンジが始まり、ワクワクしています」

――サンフレッチェに加入した決め手を教えてください。
「女子サッカーに真剣に取り組んでいこうとする熱量を感じました。『女子サッカーは未知の世界』とおっしゃっていましたが、男子と近い状態でチームがスタートできることはプラスしかありません。女子サッカーが成長していくために、一緒にいろんなことを学びたいと思い、とても魅力を感じて加入を決めました。プロリーグが始まる最初の年に、新設されるクラブのスタートにかかわれることを幸せに思います」

――加入リリースのコメントには『集大成』という言葉もありました。
「年齢的な部分でも、(選手として)先は長くないと思っています。いつまで続けるか決めているわけではなく、求められればできるところまでやりたいと思っていますが、今回、お話をいただいたときに、自分のなかで勝手にわいた気持ちが、その『集大成』という言葉でした。自分が決めたわけでも、まして周りに言われたわけでもありませんが、そういう言葉がぴったりだと思いました」

――チームはゼロからのスタートとなります。不安と期待感、両方あると思いますが。
「最初にお話をいただいたときは、メンバーが集められるのかということや、環境面なども含めて、多少、不安はありました。ただ、それを超えるワクワク感があり、『プロジェクト』を成し遂げたい気持ちの方がとても強く、今は楽しみでしかありません」

――サンフレッチェというクラブの印象はいかがですか。
「男子は優勝もしている伝統あるクラブだと思います。イメージとしては、堅いサッカーをする印象ですね。そのなかでうまさがあったり、試合の流れが読めるチームだと感じています」

――中村監督は、女子でも男子チームと同じサッカーを目指したいとおっしゃっていました。
「男子も女子も、育成でも、同じ考えのもとにサッカーを進めていくことは魅力の1つです。メンバーやチーム状況でサッカースタイルそのものは変化すると思いますが、男女を通じてサンフレッチェらしいチームを作っていくことは楽しみです」

――日本代表としてW杯優勝を果たし、海外クラブでもプレーした素晴らしい経験を、新たにスタートするチームのなかでどのように活かしていきたいですか?
「何がいいか悪いかではなく、どうしたらよくなるかを、経験を踏まえたうえで、チームのなかで発揮していくことも自分の役割だと思っています。若い選手が伸び伸びとプレーするなかでベテランや中堅がバランスをとり、自分自身のパフォーマンスもしっかりと出していきたいです。悪いところを消しあうのではなく、いいものを出しあえるチームを作っていくために、自分も何かできればと思っています」

――日本の女子サッカーの現状を、どのようにみていますか? WEリーグの誕生による変化もあると思いますが。
「ヨーロッパはここ数年間でかなり盛り上がりをみせ、レベルがグッと上がっているように感じます。そのなかで、おそらく日本の女子サッカーは、少し遅れをとってしまっているのではないでしょうか。ただ、WEリーグがスタートしたことは、本当に大きな第一歩です。最初はいいことも悪いこともあるかもしれませんが、このスタートをきっかけにして、女子サッカーがもっと活性化し、外国籍選手が来たいと思ってもらえるようなリーグになればと思っています」

――広島の街の印象はいかがですか?
「人が温かく、スポーツを応援するモードがあるな、と感じています。広島に来てまだ日は浅いですが、私がサッカー選手だということが分かると、とても喜んで「応援するよ」「頑張ってください」といった言葉もかけていただきました。地域の方にもっと知っていただき、応援したいと思ってもらえるチームになっていけたらと思います」

――近賀選手は、「なでしこケア」をはじめとした社会貢献活動も積極的に行っています。
「スポーツは、元気を与えたりもらったりするパワーを秘めていると思うんです。私たちが何か活動をすることで、パワーを与えられればいいですし、ふれあいが応援するきっかけになれば、私たちも力をもらうことができます。地域の方と、お互いがいい関係でいられることをやっていけたらいいですね」

――開幕までの期間をどのような時間にしたいですか。
「長いようで短いと思っています。今はチームとして何もない状況なので、基盤をしっかりと作っていかなければいけません。他のチームよりも内容の濃い時間にしないと、戦うチームになっていけないと思うので、チームとしてより密に話して、濃い数カ月を過ごしたいです」

――初年度の目標を教えてください。
「新設されるチームということで、「徐々に」と考えている方もいらっしゃると思いますが、私としては、やはり優勝を目標にしています。初年度に新設されたチームが優勝するのは難しいことだと分かっていますが、そこを目指していきたいです」

――サンフレッチェファミリーの皆さんにメッセージをお願いします。
「男子を応援していただいているサンフレッチェファミリーの皆さんにも、女子チームを知って応援していただけたらと思います。女子サッカーが好きな方はもちろん、逆にサッカーに興味がない方にも身近に感じて、女子から入って男子を応援するなど、一体になってサンフレッチェを応援してもらえるチームになっていけたらと思います。一度、試合に来て応援していただけたらうれしいです。皆さんに会えることを楽しみにしています」
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著者プロフィール

東洋工業(株)蹴球部として1938年に創部。1992年にサンフレッチェ広島と改称し、1993年の初年度からJリーグに参戦している。サンフレッチェの名称は、日本語の「三」とイタリア語の「フレッチェ=矢」を合わせたもの。広島にゆかりの深い戦国武将、毛利元就の故事に由来し、「三本の矢」を意味している。本拠地はエディオンスタジアム広島。2012年にJ1リーグを初制覇、2013年、2015年も優勝し、4年で3度のJ1リーグ制覇を果たした。2015年には、FIFAクラブワールドカップで3位になるなど、育成型クラブとして結果を残している。

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