カルファニ選手に聞く、母国ウルグアイと日本の文化(後編)

川崎ブレイブサンダース
チーム・協会

【©KAWASAKI BRAVE THUNDERS】

日本人にはあまりなじみのない国・ウルグアイの実態を、ウルグアイ出身のマティアス・カルファニ選手に聞くインタビュー。後編の今回ではウルグアイや南米のバスケ事情、川崎ブレイブサンダースに加入するときのエピソードなどを話してもらいました。

マティアス・カルファニ
1992年生まれ。ウルグアイ・アルティガス出身。16歳で国内プロデビューを果たし、2016-19シーズンは隣国・アルゼンチンの強豪「サン・ロレンソ」で活躍し、チームの二連覇の原動力となった。2019-2020シーズンより川崎ブレイブサンダースに加入し、クレバーかつ熱いプレーでファンの心をつかむ。204センチ99キロ。愛称は「マティ」「松本」。

バスケットボールの楽しさに衝撃を受けたマティアス少年

【©KAWASAKI BRAVE THUNDERS】

ーーブラジルやアルゼンチンに代表されるように、南米の国々は圧倒的にサッカーに人気がある印象です。ウルグアイではバスケはどれくらい人気なのでしょうか?
ウルグアイでもサッカーは一番人気のスポーツです。子供へ最初に買い与えるボールにサッカーボールを選ぶ親が多いですし、僕も最初はサッカーをやっていました。サッカーの次に人気があるのがバスケかな。ラグビーやバレーボールも人気ですよ。

ーーマティアス少年がバスケを選んだ決め手は何だったのでしょう?
うーん、サッカーはあまり性に合わなかったかな(笑)。今でもウルグアイに帰ったら友達とサッカーをするぐらい好きなスポーツではあるんですけど、それほど上達しなかったし大きなパッションを感じるものでもなかったです。

ーーバスケにはそのパッションを感じたのですね。
はい。出会った時、サッカーやその他の遊びでは感じたことのないような強い衝撃を受けました。いきなりハマって、毎日5〜6時間くらいプレーしていましたね。「ああ、僕は今すごく楽しんでるな」って実感できました。何事も、自分が楽しみ、喜べるものに取り組むことが大事ですよね。

ーーカルファニ選手が本格的にバスケを始めたのが14歳。そして2年後の16歳には国内リーグでのプロデビューを飾っています。これはすごいことなのでは…????
そうですね、今は18歳くらいでプロになる選手が増えましたが、それでも16歳でのデビューは特別かもしれません。当時はそれがどれくらいすごいことなのかピンと来ず、「もっと友達と遊びたいな」なんて思うこともありましたが、貴重な経験をさせてもらいました。

ーー日本の子どものほとんどは、学校に所属してバスケをします。ウルグアイはどうですか?
クラブチームが主体です。始める年齢にはばらつきがありますが、アンダーカテゴリーのリーグで経験を積んで、機会を得られたら徐々にディビジョンを上げ、プロに昇格するという形式です。

ブレイブサンダースへの加入を後押ししたのは、あの名将!?

【©KAWASAKI BRAVE THUNDERS】

ーーカルファニ選手は24歳のときにアルゼンチンに渡りました。海外移籍にチャレンジする選手は多いですか?
当時はそれほどではありませんでしたが、今は国外でチャレンジして、レベルを上げようと考える選手が増えてきています。その第一歩となるのがアルゼンチン。隣の国ですし、アルゼンチンのプロリーグは南米で一番レベルが高いですから。

ーーアルゼンチンはFIBAランキング4位(2021年1月現在)と世界的な強豪でもありますね。どのようなことを学びましたか?
国を離れてプレーするのも初めてでしたし、最初は「ウルグアイに戻りたい」という気持ちも正直ありました。でも、1-2ヶ月も立つとアルゼンチンでの生活にもなれてきて、すごくいい経験ができました。何より勝つことを経験できたのが大きかった。

ーーリーグ二連覇という素晴らしい経験ですね。
はい。「勝てればすべてがうまくいく」っていうのがアルゼンチンの考え方です。

ーー所属した「サン・ロレンソ」のヘッドコーチが現在日本代表のヘッドコーチを務めるフリオ・ラマスさんだったそうですね。
はい。アシスタントコーチのエルマン・マンドーレさんも元チームメートです。ラマスコーチは僕をアルゼンチンと日本に連れてきてくれた恩人。僕のバスケットボールキャリアを変え、大きな自信を与えてくれた人です。初めて母国を離れ、レベルの高いアルゼンチンリーグで右往左往していた僕を育て、スキルを引き出してくれたのがラマスコーチだったんです。

ーーブレイブサンダースの加入にも、ラマスヘッドコーチが深く関わっているとか。
最初クラブからオファーが来たときに、すでに日本でのキャリアをスタートしていたラマスコーチに相談したんです。「川崎ってどんなクラブ?」と聞くと「素晴らしいクラブだよ。君のプレースタイルにすごく合ってるし、素晴らしい選手も揃っている環境もいい。上達できるクラブ」と、加入を決める最後の後押しをしてもらいました。

ーーカルファニ選手のBリーグでの活躍を見て、第二、第三のウルグアイ人Bリーガーが今後登場するかもしれませんね。
イエス、イエス!!!確かに、ウルグアイでプレーする友人から「日本はどんな国?Bリーグってどんなリーグなの?」と聞かれることが増えましたね。

ーーその点を踏まえて、何か意識していることってありますか?
自分が「ウルグアイ人第一号Bリーガー」ということは、実はそんなに深く考えたことはなかったんですが、改めて考えてみると、僕や僕の家族にとってすごく光栄なことですね。いずれキャリアを終えて振り返ったときに「日本でプレーしてよかったな」と思えるようにがんばりたいです。

ーーそれでは最後に、応援してくれているファミリーのみなさんにメッセージをお願いします。
まずは、いつも応援、サポートをありがとうございます。特にケガしたときにも、暖かく見守っていただけたことがとてもうれしかったです。ファンの皆さんには僕ができることをすべてで恩返ししたいですし、優勝に向け、ファンの皆さんと一緒に戦っていきたいです。

【©KAWASAKI BRAVE THUNDERS】

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著者プロフィール

川崎ブレイブサンダースは、1950年のクラブ創設以降70年以上にわたり川崎市をホームタウンとして活動する「B.LEAGUE」所属のプロバスケットボールクラブです。前身の東芝バスケットボール部時代を含めてリーグ優勝4回、天皇杯では2021年・2022年の連覇を達成、クラブ史上と天皇杯でクラブ史上初・5回目の優勝となる連覇を達成しました。 2021‐22シーズンにキャプテンを務めた藤井祐眞選手は3年連続のリーグ個人賞3冠を受賞、2021-22シーズンには初めてレギュラーシーズン最優秀選手賞(MVP)を受賞。2021年11月に行われた2023年W杯予選では日本代表にも選出されました。 その他篠山竜青選手、2018年に帰化したニック・ファジーカス選手をはじめ日本代表経験のある選手も在籍しています。

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