重賞が立て続けに予定されている阪神芝1400mを分析!

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【2020/3/1 阪神11R 阪急杯(G3) 1着 14番 ベストアクター】

先週より関西主場では阪神開催がスタートした。変則日程のため例年より2週早い開幕となり、今週土曜の重賞・京都牝馬Sも阪神芝1400mで行なわれる。さらに1週後には阪急杯、3週後にもフィリーズレビューが組まれ、秋にも重賞3レースが予定と、例年以上に阪神芝1400mは重要度を増している。そこで今回は、過去3年(18年2月25日〜20年12月27日)のデータをもとに、阪神芝1400mの傾向を調べてみたい。データ分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。

全体成績および東西・牡牝別成績

■表1 【全体成績および東西・牡牝別成績】

表1は、全体成績および東西の所属別、牡牝別の成績を示したもの。なお、牡牝別成績の牡馬にはセン馬を含み、牝馬は牝馬限定戦を除いたデータとした。東西別では、遠征となる関東馬が苦戦しており、地元の関西馬がやはり有利と言える。牡牝別では、牝馬が牡馬と互角の好走率を残している点に注目したい。特に牝馬の複勝回収率102%は優秀で、2、3着に人気薄の牝馬が突っ込むケースに注意を払っておきたい。

クラス別成績

■表2 【クラス別成績】

表2はクラス別成績。なお、集計期間内にリステッド競走とG1はレースが組まれなかった。興味深い傾向が表れているのは単勝回収率だ。新馬戦〜2勝クラスは39〜55%の範囲に収まっており、人気サイドの馬が勝つことが多い様子が伺える。ところが、3勝クラス〜G2はいずれも100%以上と、上級戦では穴馬の1着が多いことが見て取れるのだ。そのほか、新馬戦と未勝利戦はいずれも複勝回収率が90%台で、1着は堅いものの、2、3着は穴馬にも期待できることを確認しておきたい。

人気別成績

■表3 【人気別成績】

表3は人気別成績。なお、表3〜5は、上半分はコース全体、下半分は重賞のみのデータとなる。コース全体として1番人気は優秀な数値で、2番人気もまずまず。そして、4〜6番人気の単勝回収率がいずれも100%を上回っているように、いわゆる中穴級の勝ち切りが多いことは大きな特徴と言える。この中穴の強さは重賞に限っても同様で、8番人気まで満遍なく勝ち馬が出ている。なお、過去3年で重賞は全部で10レースだが、1着同着があった関係で1着馬11頭、2着馬9頭となることを念のため記しておく。

枠番別成績

■表4 【枠番別成績】

表4は枠番別成績。コース全体で安定した好走率を残しているのは1〜4枠で、回収率も概ね良好だ。対して、7、8枠の外枠は好走率を落とし、特に大外の8枠は回収率も厳しい。重賞の傾向は一風変わった印象を受けるが、ひとまず言えるのは3枠が抜群ということ。また、10レース中4レースで7、8枠から勝ち馬が出ており、重賞に関しては外枠も不利とは言い切れない。気になるのは、4枠と6枠の成績が極端に悪いこと。コース全体では見られない傾向であり、一時的な偏りと判断すべきかもしれないが、ちょっと気をつけておきたい。

脚質別成績

■表5 【脚質別成績】

表5は脚質別成績。「逃げ」の好走率は、過去3年の芝全レースにおける「逃げ」の数値(勝率15.5%、複勝率36.4%)を上回っている。以下、「先行」の好走率は標準程度で、「中団」や「後方」は水準に満たず、基本的には前有利のコースと考えられる。

重賞になるとどうか。「逃げ」の2勝はどちらもダイアナヘイローによるもので、18年阪急杯が7番人気、18年阪神Cが11番人気だったことを思えば軽視はできないが、好走例は同馬だけ。コース全体ほどの「逃げ」の有利さは感じられない。「先行」の好走率も全体と比べてダウンしており、重賞では前有利の度合いが低くなる。その一方で「中団」が10レースで6勝を挙げ、単勝回収率124%を記録と、重賞になると差し馬が台頭してくる様子が見て取れる。実際、昨年3月の重賞勝ち馬も、阪急杯のベストアクターは4角10番手、フィリーズレビューのエーポスも4角10番手と、いずれも中団から差し切っている。

前走コース別成績

■表6 【前走コース別成績】

表6は前走コース別成績。「前走1〜3着」と「前走4着以下」に分け、それぞれ着別度数順と単勝回収率順(10走以上)の上位5コースを掲載した。

「前走1〜3着」は、好走が直結しやすいコースと言い換えられる。特に注目すべき成績を残しているのが京都芝1600m内で、該当馬は【6.2.1.1】と驚異的だ。一例として、19年2月に京都芝1600m内の未勝利戦を勝ち上がり、次走フィリーズレビューで12番人気1着(同着)の穴をあけたノーワンを挙げておこう。ほかに京都芝1400m外東京芝1400mで好走していた馬も有望。もちろん、同コースの阪神芝1400mで1〜3着だった馬の好走率も高いが、さすがに人気になりやすく、回収率という点ではひと息にとどまる。

「前走4着以下」は、前走で凡走に終わっていても巻き返しが利きやすいコース。京都芝1400m外東京芝1400mはこちらでも好走率が高く、着順に関係なく前走で使っているだけでも注目する価値がある。また、この時期の出走は少ないかもしれないが、前走札幌1200mは好走率、回収率ともに抜群。秋開催を中心に、前走凡走でも警戒を怠らないほうがよさそうだ。

騎手別成績

■表7 【騎手別成績】

表7は騎手別成績で、着別度数順で10位まで掲載した。最多の11勝を挙げた松山弘平騎手は、一見すると単勝回収率59%が物足りない印象もある。とはいえ、全11勝中10勝を挙げた1、2番人気なら勝率41.7%、単勝回収率150%と、本命・対抗級での信頼性は高い。ともに10勝の川田将雅騎手福永祐一騎手は、松山騎手を上回る好走率を記録。北村友一騎手は5番人気で2勝を挙げ、8番人気、10番人気、14番人気での勝利もあり、このコースの穴ジョッキーとして要注意。騎乗機会はやや少ないが、M・デムーロ騎手C・ルメール騎手はいずれも複勝率60.0%を記録しており、乗ってきたら有力な存在となる。

種牡馬別成績

■表8 【種牡馬別成績】

表8は種牡馬別成績で、着別度数順で10位まで掲載した。1位のロードカナロア、2位のディープインパクト、3位のダイワメジャーに共通するのは、1〜3着を数えたときに3着がもっとも多いことだ(ダイワメジャーは2着と同数)。そのため、単勝回収率より複勝回収率のほうが高いという傾向も一致している。1〜3着になる回数はこの3種牡馬が抜けて多く、重要な存在であることは間違いないが、勝ち切れないケースも想定しておいたほうがいいかもしれない。逆に4位のハービンジャー、5位のヴィクトワールピサ、6位のスクリーンヒーロー、7位のオルフェーヴルは単勝回収率のほうが高く、その数値も100%以上をマーク。これらは1着で狙って面白いタイプとなっている。

文:出川塁(でがわ るい)
1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。
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著者プロフィール

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