稲葉篤紀監督新春特別インタビュー【第2回】24人の東京五輪出場選手を決める基準とは

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【©侍ジャパン】

 2009年のWBC以来、10年ぶりの世界一奪還となった2019年のプレミア12。東京五輪は2021年に延期となってしまったが、2020年はプレミア12の優勝にも貢献した侍ジャパン経験者から未経験ながら台頭した新進気鋭の若手まで、あらゆる選手たちが活躍した1年だった。その中で東京五輪出場メンバー24人という狭き門をくぐり抜けるのは誰なのか。新春特別インタビュー第2回は選考の基準や狙いなどを聞いた。

――2020年のペナントレースを振り返ると、プレミア12のメンバーだった選手の活躍も目立ちました。
「やはりプレミア12を共に戦ったメンバーというのは、11月半ばまで公式戦があり、短いオフを経ての2020年のシーズンでしたから嬉しいですよね。一方でなかなか調子の上がらなかった選手も中にはいました。しかし、昨年に関してはオリンピックが延期になった時点で“調子”ということは気にしない。とにかく元気で今年1年過ごして欲しいという思いで観ていました」

――プレミア12のメンバー以外でも、ソフトバンクの日本一に貢献した千賀滉大投手や柳田悠岐選手ら代表経験者が大いに活躍しましたし、若手の選手が何人も台頭してきました。
「延期になったことで、若い選手も出てきて、もともと力のある選手も成長してきて嬉しい悩みです。先日のスタッフ会議で180人以上の候補者を出しましたが、そこから24人に絞っていくのは、大変な作業です」

――例えば2021年の新人選手も入っているのでしょうか?
「可能性が1%でもあれば入れています。今はそれだけしか言えません」

――まず180人以上というのは、幅広い人選ですよね。
「新型コロナで様々な情勢が分かりませんから、1%でも可能性があるなら、幅広く選出しました」

――選考に向けてはどのようなことを重視していきたいですか?
「その時の調子も含めてでしょうね。(東京五輪までに)試すということはできないので、プレミア12の選手が土台にはなります。侍ジャパンの経験が無い選手や、私のもとで戦ったことが無い選手は“メンバーに入った時にどうなっていくのだろう?”という想定をしながら選出していきます。だから、なかなか選考基準というのは難しいです。ただひとつ言えるのなら投手は“フォアボールを出さない”というコントロールですよね。打者も選球眼と言うと(消極的に)ボールを見てしまうというマイナスなイメージがありますが、“ボール球に手を出さない”という見極めができる。こうしたことの大事さというのは、2019年のプレミア12で感じました」

――打者ですと外国人投手への対応という部分もありますよね。
「そうですね。その対応の仕方や、当然打てる時ばかりでは無いので、その1つのアウトに対してどういう1打席にしているのか?など、色々なところを見ていきたいです」

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――侍ジャパンのメンバーも一部が変わる可能性があるように、東京五輪の出場各国のメンバーが変わる可能性も大いにあります。そうした情報収集はどのようにされるのですか?
「イスラエルはMLBのマイナーリーグの選手が多く、昨年のマイナーリーグ全体のシーズン中止があったので情報収集は正直難しい部分があります。メキシコも国内リーグは中止でしたし難しさはありますが、韓国は豊富に映像があります」

――それだけに対応力が求められますよね。
「あとは球場ですね。私が横浜スタジアムで指揮を執るのは初めてですし、マウンドの形状に合う・合わないもあるでしょう。そればかりではないのですが、様々なことを加味して24人に絞らなくてはいけません」

――横浜スタジアムは「本塁打が出やすい」イメージです。
「フェンスは高いですが基本的にはホームからセンターに向かって風が吹いていることが多いです。投手もバットに当てられると逆方向にも本塁打は出やすいですから、そういう意味では“三振が獲れる、バットに当てさせない”ということもなかなか難しいことですが、必要になる要素のひとつかと思います」

第3回へつづく
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