【新日本プロレス】高橋ヒロムがJ-CUP優勝者、IWGPジュニア王者へ宣戦布告!

チーム・協会

【新日本プロレスリング株式会社/中原義史】

『SUPER J-CUP 2020』優勝者のエル・ファンタズモと対戦する高橋ヒロム選手に直撃インタビュー!

そして、その先に待ち受けるIWGPジュニアヘビー級王者・石森太二についても言及!

撮影/中原義史

優勝決定戦の相手がデスペラードで良かったなと。そして、この10人で良かったなと思いましたね。この10人だからこそ見せられた『BEST OF THE SUPER Jr. 27』だった

【新日本プロレスリング株式会社】

――さて、ヒロム選手。東京ドームへの話を伺っていく前に、いまテーブルに並べられている雑誌は?

ヒロム これは今週発売の『週刊プロレス』(ヒロム選手が表紙の『週刊プロレス』12月30日号)、そして高橋ヒロム初の単独スタイルブック(『HIROMU BOMB!!!』)ですよ!

――なるほど! 初の単独スタイルブックの仕上がりはいかがですか?

ヒロム 最高ですよ(ニヤリ)。これを買わない人間はこの世にいないんじゃないですか? たぶん80億冊ぐらい売れちゃって生産が追いつかないんじゃないかなって心配ですよ。

【新日本プロレスリング株式会社/中原義史】

――そして、『週刊プロレス』では『BEST OF THE SUPER Jr. 27』優勝のシーンが表紙となっていますが、『SUPER Jr.』優勝して東京ドームのカードも決まりました。

ヒロム まず、『SUPER Jr.』を優勝して東京ドームっていうより、一つ一つっていう感じですよ。いまでこそ『SUPER Jr.』が終わって東京ドームっていう気持ちになれてますけど、『SUPER Jr.』中は東京ドームのことなんて一切考えられなかったですから。

――目の前のことに集中されていたわけですね。

ヒロム この『SUPER Jr.』を優勝しないと次が生まれない。『SUPER Jr.』を優勝しないと何も始まらないと思っていたので、『SUPER Jr.』が終わってやっと東京ドームっていう感じですね。

――2年ぶり2度目の『SUPER Jr.』優勝のご感想は?

ヒロム もちろん、うれしい以外の言葉なんてないですし、うれしい以上の言葉があるんだったら教えてもらいたいぐらいですよ。なんなら新しいヒロムちゃん言葉を作っちゃおうかなっていう気持ちですけど、やっぱり単純にうれしいですし、優勝決定戦の相手が(エル・)デスペラードで良かったなと。そして、この10人で良かったなと思いましたね。この10人だからこそ見せられた『BEST OF THE SUPER Jr. 27』だったなと。

――『SUPER Jr.』はどの公式戦も大激闘で、優勝決定戦ではヒザに集中攻撃を受けたなかでの勝利でしたが、東京ドームへ向けて現在のコンディションはいかがですか?

ヒロム もう“完全完治”ですよ(キッパリ)。やっぱり、「つねにアドレナリンを出してる」っていうのが大事なことなのかなと。っていうか、『SUPER Jr.』を優勝して、たった4日後で新しいシリーズが始まるって意味がわからないじゃないですか。

――過密な大会日程ですよね。

ヒロム 正直に言いますよ。もう「狂ってるな」と。ただ、「この狂ってるスケジュールだからこそ、高橋ヒロムという男は活きるんだな」とも思いましたね。だから、逆に怖いのは(年内最終戦の)23日以降ですよね。ここで一回スイッチが切れてしまって、次の試合がいきなり東京ドームっていうのが一番難しいなと。そこが一番怖いところですよ。

――なるほど。

ヒロム 正直、メチャクチャ身体もキツいですし、大変なのは全選手が一緒なので、そこに関しては「キツい」「ツラい」「痛い」としか言わないです。ただ、こうやって『SUPER Jr.』からずっと連戦できてるからこそコンディションを維持できてますし、アドレナリンを出せているから痛みも飛んでるんですけど、23日が終わったあとにきっと痛みが出てくるんですよね……。まあ、そこからが本格的な痛みとの闘いになってくると思いますよ。

――23日以降、東京ドームまでどうやってモチベーション、コンディションを上げていけるかがカギということですね。

ヒロム そうです。そこが一番の敵だなと思いますね。

その強さっていうのがよくわらないっていう部分が一番の脅威ですね。自分のなかに持ってるプロレスの型みたいなのがないんじゃないかなっていう怖さはありました

【新日本プロレスリング株式会社】

――そして、2021年開幕戦の相手は、『SUPER J-CUP 2020』覇者のエル・ファンタズモ選手となりましたが、『SUPER Jr.』優勝直後になぜ『SUPER J-CUP』覇者への対戦を要求されたんですか?

ヒロム まず、『SUPER Jr.』の開催が決定したあとに「アメリカでも『SUPER J-CUP』をやります。ジュニアで一番強い男を決めます」と。「オイオイ、ジュニアで一番強い男が何人いるんだ?」って話じゃないですか。ただでさえ、一番強い男はIWGPジュニアヘビー級チャンピオンの石森(太二)選手ですよ。そのなかでも「ジュニアで一番強い男を『SUPER Jr.』で決めます」っていうのはわかりますけど、さらに、「『SUPER J-CUP』で決めよう」ってなったら「ジュニアで一番強い男は何人いるんだ?」と。

――現段階では3人いることになりますね。

ヒロム 「それだったら誰が一番強いのかハッキリさせたい」っていう気持ちは開幕の前からありましたね。俺が優勝した時に言う相手は石森であるべきなのか、『SUPER J-CUP』覇者とやりたいっていう言うべきなのかっていう葛藤はずっと自分のなかでありましたけど、これに関しては優勝しなければ言う権利がないわけですよ。

――おっしゃる通りです。

ヒロム これを言う最低条件が優勝っていう、かなり大きな条件でしたけど、それは開幕前の話であって開幕してからは一切そういうことを考えてなかったので、優勝してふと思い出したっていう感じですよ。あの瞬間に、「俺と闘うべき相手は『SUPER J-CUP』の覇者だ」という言葉が出ましたね。

【新日本プロレスリング株式会社】

――その『SUPER J-CUP』はエル・ファンタズモ選手が2連覇をはたしたわけですが、試合はご覧になりましたか?

ヒロム もちろん、新日本プロレスワールドで全試合を観ましたけど、1Dayトーナメントですよね。あれはキツいですよ。俺はてっきり「どの選手も1回戦、2回戦っていうのはなるべく早く決着をつけるような闘い方をするんじゃないかな?」って思ってたんですけど、結構じっくりと闘ってきた中で3試合なので、あれは凄いなと思いましたね。

――厳しい試合を1日3試合しての優勝というのもかなり過酷ですよね。

ヒロム 自分たちは『SUPER Jr.』でリーグ戦を連戦で闘ってきましたけど、俺たちは俺たちでキツい闘いをしたし、向こうは向こうで優勝する人間は1日3試合を闘わなければいけない。一回も負けられない中で優勝するっていうのは凄いなと素直に思いましたよ。

――試合をご覧になって、ファンタズモ選手の強みや脅威というのは?

ヒロム まあ、『SUPER J-CUP』を優勝してるわけだから強いんでしょうけど、その強さっていうのがよくわらないっていう部分が一番の脅威ですね。何を考えてるかわからない、何をしてくるかわからないっていうのは感じましたよ。

――予測不能だと。

ヒロム ええ。試合を観てても、歴代のBULLET CLUBのリーダー格であるAJスタイルズのスタイルズクラッシュとか、ケニー・オメガの片翼の天使を出そうとしたり、彼にとって「俺の技でいく」とか自分のなかに持ってるプロレスの形というか、型みたいなのがないんじゃないかなっていう怖さはありましたね。

『SUPER Jr.』が強いのか、『SUPER J-CUP』が強いのか、俺は単純にそこの闘いだと思ってます

【新日本プロレスリング株式会社/中原義史】

――たしかに、『SUPER J-CUP』でも勝ち方がバラバラでしたよね。

ヒロム そうなんですよ。普通に闘って勝ったり、反則絡みで勝ったり、技へのこだわりというかそういうものがあまりないのかなと。その何をしてくるかわからない具合が怖いと思いましたね。ただ、俺も何をするかわからないっていう同じような部分の武器を持ってますけど、なんか似たような感覚なのかなと。

――ご自身とタイプが似ていると。

ヒロム だから、「俺と闘う選手はみんなこういう気持ちだったのかな」ってちょっと思いましたね。なんかそれぐらい自分のなかで「どう対策を練ったらいいのか?」「いや、もしかしたら対策を練る意味がない選手なのかな?」と思ったりもしましたね。なので、現時点ではもうリングで対峙した時に感じるモノで闘った方がいいのかなっていう考えですね。

――しかも、シングル初対決ですよね。

ヒロム シングル初対決ですし、自分が闘ったのってたしか今年1月6日(大田区大会)の4WAYタッグマッチで、あんなの触れたうちに入らないですよ。

――ちなみに、ファンタズモ選手の『SUPER J-CUP』1回戦の相手は、元WWEのリオ・ラッシュ選手でしたが、ヒロム選手としては気になる存在であったと。

ヒロム もちろんですよ。自分の中では注目してましたね。ただ、「1回戦でリオ・ラッシュvsエル・ファンタズモを持ってくるのか!」っていう驚きはありましたよ。そして、この1回戦が終わった時にはどっちかがいなくなると。こんな残酷なトーナメントはないなと思いましたね。

【新日本プロレスリング株式会社】

――リオ・ラッシュ選手はかなり評価をされてますか。

ヒロム 凄いですよ。タイプで言うと、現IWGPジュニアヘビー級チャンピオンの石森に似てるんですよ。小柄なんですけどパワーもあって、とにかくスピードがズバ抜けてるんですけど、俺がいままで闘ってきた中で一番スピードがありましたね。

――いつ頃、対戦されたんですか?

ヒロム 海外遠征時代にROHでやったんですけど、4、5年も前の話なので、あの当時のことは参考にならないと思いますよ。俺が持ってるデータはあそこで止まっているので、いま闘ったらまた別の印象だと思うんですけど、なによりもスピードがズバ抜けてますよ。

――リオ・ラッシュ選手も今後闘ってみたい相手であると。

ヒロム やっぱり興味はありますね。あのトーナメントの中で個人的に注目してたのはファンタズモ、リオ・ラッシュですし、あとTJPとACHを1回戦で当ててきたのもビックリしましたね。決勝でやっててもおかしくないようなカードを1回戦で持ってきたんですから。

――では、あらためて1月4日のファンタズモ戦へ意気込みをお願いします。

ヒロム まず、「ハッキリしたい」っていう気持ちはありますよ。『SUPER Jr.』が勝つのか、『SUPER J-CUP』が勝つのかっていう部分もありますし、俺としてはアメリカでジュニアが盛り上がってる。日本でも盛り上がってる。これは最高じゃないですか。今回のこの形、俺は好きですね。

――たしかに日本でもアメリカでもジュニアが盛り上がってますね。

ヒロム ただ、そのなかでも「俺が一番なんだ!」っていう意地の張り合いを自分たちはずっとやってきたので、今回の闘いもその延長戦ですよ。『SUPER Jr.』が強いのか? 『SUPER J-CUP』が強いのか? 俺は単純にそこの闘いだと思ってます。で、その先に待ってるのが1月5日のIWGPジュニアヘビー級選手権試合だなと。

(石森は)パワーもスピードもズバ抜けてますし、欠点がないっていうのは悔しい部分ですよ。

【新日本プロレスリング株式会社】

――その1月5日に待ち受けているIWGPジュニアヘビー級王者・石森太二選手をどのようにご覧になってますか?

ヒロム なんのスキもないですよ。完璧だなと思いますよ。っていうか、完璧すぎるんですよ。だからこそ、毎試合どう攻略すればいいのか難しいんですけど、「やっぱり真正面から当たっていくのが一番の攻略法なのかな」と、このまえの(11.15)愛知県体育館の試合で思いましたね。

――それぐらい石森選手は盤石ですか?

ヒロム ホントにスキがないのでいろいろ考えましたし、いろいろと過去の映像とかも観たんですけど、やっぱり凄いですよ。パワーもスピードもズバ抜けてますし、欠点がないっていうのは悔しい部分ですよ。

――ベタ褒めですね。

ヒロム これを褒めると捉えるのかは聞いてる皆さんにお任せしますよ。

――逆に言えばやりがいはありますよね、

ヒロム そうですね。だから、やってて楽しいんですよ。

――では最後に、来年の東京ドーム2連戦、そして2021年への意気込みをお願いします。

ヒロム 俺は常日頃から全力ですし、「2021年はこうしてやろう」みたいなのはとくにないので、いつでも全力でプロレスを楽しみ、そして皆さんにプロレスを楽しんでほしい。正直、「そろそろ歓声を聞きたいな」「やっぱり足りないな」って思いますよ。

――歓声に飢えていると。

ヒロム ええ。優勝決定戦も含めて「今回の『SUPER Jr.』でもし歓声があったら、どんな世界になっていたんだろう?」って毎試合、考えちゃってましたね。だからこそ、来年は歓声が欲しいなと。「なによりも欲しいのは歓声だな」と思いましたね。

――ある選手は「ヒロム選手にとって歓声はガソリン」ということもおっしゃってました。

ヒロム おっしゃる通りですよ(ニヤリ)。そこは間違いないです。ガソリンを入れた俺がどれだけ凄いことになるのかって楽しみですよ。だから、結局『SUPER Jr.』が終わったあとに言った言葉がすべてですよ。俺たちが必死に試合をすることでみんなに元気を与え、いまは拍手しかできないですけど、みんなが拍手を送ることでこっちは元気をもらってると。俺はどんなことがあっても、いまのジュニア、そして新日本プロレスが好きだと。その言葉がすべてですよ。そして、いま生きている人間にしか乗り越えられない時代を乗り越えたうえで早く歓声をくれ! もうそれしかないですよ。

――この苦境をファンとともに乗り越えた先に歓声が待っていると。

ヒロム だから、2021年も何がどうとかじゃなくて、俺は常日頃からただプロレスを全力で楽しんで、そして結果を出すだけなので、それに歓声が加わった時、俺は“完全究極体ヒロムちゃん”になりますよ(ニヤリ)。

【新日本プロレスリング株式会社/中原義史】

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著者プロフィール

1972年3月6日に創業者のアントニオ猪木が旗揚げ。「キング・オブ・スポーツ」を旗頭にストロングスタイルを掲げ、1980年代-1990年代と一大ブームを巻き起こして、数多くの名選手を輩出した。2010年代以降は、棚橋弘至、中邑真輔、オカダ・カズチカらの台頭で再び隆盛を迎えて、現在は日本だけでなく海外からも多くのファンの支持を集めている。

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