東京大賞典に向けてチャンピオンズCを振り返る

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【2020/12/6 中京11R チャンピオンズカップ(G1) 1着 11番 チョウワウィザード】

今年の中央競馬は有馬記念が行われた12/27(日)の開催で終了した。しかし、地方競馬はまだ終わっておらず、ダートでは注目の大一番が残っている。12/29(火)に大井競馬場で行われる東京大賞典(G1)だ。地方競馬のなかで唯一の国際競走に格付けされており、無論JRA所属馬も出走することができる。JRAのホームページ(https://www.jra.go.jp/news/202012/122401.html)でも出走予定馬が発表されており、即PAT会員であれば馬券を買うこともできる。そこで先に行われたチャンピオンズCを少し振り返り、東京大賞典を展望してみたい。データの分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。

2020年チャンピオンズCの結果

■表1 【2020年チャンピオンズCの結果】

今年12/6(日)に中京ダート1800mで行われたチャンピオンズCでは4番人気のチュウワウィザードが優勝した。2着に3番人気ゴールドドリーム、3着に10番人気インティが入り、馬連11,170円、3連複35,310円、3連単206,940円の高配当が飛び出した。今秋のG1はスプリンターズS(グランアレグリア)からジャパンC(アーモンドアイ)まで1番人気が7連勝しており比較的堅い配当が多かった。このレースも平穏な結果で収まりそうな雰囲気だったが、思わぬ波乱となった。ただ、上位に入線した3頭はすべて実績馬。すでに国内のダートG1/Jpn1を勝利しており、実力的にこれぐらいは走って全く不思議はない。波乱となった大きな要因は1番人気のクリソベリル(4着)と2番人気のカフェファラオ(6着)が馬券圏外に敗れたことだった。

特にクリソベリルは2019年のチャンピオンズCでは今年の上位3頭馬に競り勝ち優勝している。チュウワウィザードに対しては、今年の帝王賞とJBCクラシックでも3着に退けていた。それだけにここで逆転を許すシーンは想像しづらかった。

3(4歳)以上の平地G1で単勝1.4倍以下に支持された馬の成績(2010年以降)

■表2 【3(4歳)以上の平地G1で単勝1.4倍以下に支持された馬の成績(2010年以降)】

今年のチャンピオンズCでクリソベリルは単勝1.4倍という圧倒的な支持を集めた。そこで3(4)歳以上の平地G1で単勝1.4倍以下に支持された馬の成績を調べてみることにした(表2参照)。2010年以降、わずか10レースしかなく、そのうち4つは今年行われたレースだった。結果は10戦あって5勝2着1回、4着以下が4回。勝率は50.0%で連対率・複勝率は60.0%だった。単に1番人気ということであればまずまずの成績かもしれないが、単勝1.4倍の馬としては特別にいい数字ではない印象を受ける。

クリソベリル以外で圧倒的人気を裏切ってしまったケースは、2012年天皇賞(春)のオルフェーヴルと13年天皇賞(春)のゴールドシップ、17年宝塚記念のキタサンブラックがあった。いずれも敗因はハッキリしていないが、それぞれ力を発揮できずに負けたことは間違いない。ただ、確かな実績・実力がある名馬ばかりで、次走のG1ではしっかりと勝利を果たした。

したがって、クリソベリルに関しても今年のチャンピオンズCの敗戦は度外視すべきだろう。次走は未定のようだが、無事に出走できれば期待に応えてくれるはずだ。基本的に3(4)歳以上の平地G1で圧倒的人気を集めること自体が難しく、図抜けた実力を持つ証しでもある。ただ、そうした馬でも不可解な敗戦を喫することが稀にあるということを、あらためて教えられる。

チャンピオンズC(ジャパンCダートを含む)に出走した3歳馬の成績(2010年以降)

■表3 【チャンピオンズC(ジャパンCダートを含む)に出走した3歳馬の成績(2010年以降)】

表3はチャンピオンズC(ジャパンCダートを含む)に出走した3歳馬の成績(2010年以降)。延べ20頭の出走があり2勝2着1回3着1回という結果だった。好走率でみると意外とたいしたことがないようにも思えるが、古馬と比較して勝率と連対率は若干いい(複勝率はほぼ互角)。そして1〜3番人気に支持された馬に限ると【2.1.0.2】と成績は大きくアップする。18年ルヴァンスレーヴや19年クリソベリルは勝利を果たし、15年ノンコノユメは2着と好走した。それだけに今年2番人気に支持されたカフェファラオの6着という結果は残念だ。来年以降も古馬のG1戦線で活躍できるかという目安にもなる一戦だったからだ。

今年の東京大賞典に出走を予定しているJRA所属馬

■表4 【今年の東京大賞典に出走を予定しているJRA所属馬】

以上のような観点を踏まえて今年の東京大賞典を少し展望してみたい。本稿執筆時点(12/26)ですでに枠順は確定しており、JRA所属馬は表4の7頭が出走を予定している。メンバーの第一印象としてはやや小粒といったところ。なぜならば前走チャンピオンズC出走馬が1頭もいないからだ。今年の同レースの出走メンバーには実績馬が揃っていたので、さびしい感じがする。

こうなるとオメガパフュームが不動の中心馬になりそうだ。チャンピオンズCを回避したのは、本競走に全力投球するためだ。東京大賞典は連覇中で、大井での成績は6戦3勝2着3回と抜群の相性を誇る。大井2000mで行われた前走JBCクラシックではクリソベリルの2着で、チュウワウィザード(3着)に先着した。さらにダノンファラオ(5着)とデルマルーヴル(6着)も退けている。

ウェスタールンドは18年のチャンピオンズCで2着に入ったことがある。末脚の破壊力と地力は侮れないが、大井2000mでオメガパフュームを負かせるかどうか。テーオーケインズは3歳馬。これからまだ力をつけていきそうな素材だが、同世代のカフェファラオを考えるといきなりG1ではどうか。ハナズレジェンドとヒストリーメイカーは実績的に落ちるのは否めない。

まとめるとJRA勢はオメガパフュームが1頭だけ抜けていて、ダノンファラオやウェスタールンド、デルマルーヴルがどこまで迫れるかといったところ。地方勢が食い込む余地も十分ありそうだ。
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