ロッテの若き4番安田の2021年はもう始まっている。力不足を感じた一年。自分と向き合い、さらなる成長を

千葉ロッテマリーンズ
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【マリーンズの若き4番 安田尚憲】

 シーズンが終了した時、最初に口から出た言葉は「力不足です」という悔恨の想いだった。113試合に出場して打率221、6本塁打、54打点。プロに入って初めて規定打席に到達した安田尚憲内野手がプロ3年目に残した成績だ。21歳の若者にとっての濃厚な一年だった。喜びもあったが、記憶に残っているのは悔しかった日々。反省の連続だった。

 「正直、苦しかったです。打てなくても次の日になれば試合がある。打席がまわってくる。苦しかったけど、こんな状態でも出させてもらった事にはすごく感謝の気持ちがある。ずっと我慢して使ってもらった。来年はその期待に絶対に応えたいと思っているし、そうではないと今年の意味がなくなる」と安田は長かったシーズンを振り返り来年を見据えた。

 安田は2020年のマリーンズで誰よりも4番を打った。今季27試合目となる7月21日のライオンズ戦(メットライフドーム)で初めて4番に座ると以降86試合連続で4番を打ち続けた。打ってヒーローになる時もあった。ただ打てない時が多かった。最初は何も考えずにガムシャラに打っていた打順だったが途中から重みを背負った。4番の重圧を感じるようになった。4番がチャンスで打てずに負ける怖さを知った。

 10月31日のイーグルス戦(ZOZOマリンスタジアム)で4番を外れ7番で起用された。それまでの5試合で20打数2安打の9三振。チャンスで見逃し三振を喫するなど消極的な打撃が目立つようになっていた。自分の打撃スタイルを見失っているように立ち振る舞う若者の姿にこれまで将来を見据えて我慢の起用を続けてきた井口資仁監督ら首脳陣が動いた。打順を変えると全体練習前に特打を行う事を提案した。本拠地ZOZOマリンスタジアムで試合が続く6日間。もう一度、スイングと見つめ合う時間を作った。安田自身も、もがいた。様々な強打者の映像を見てヒントを探した。自分との違いは何か。ある打者の打撃映像が目に留まった。スワローズの村上宗隆内野手。今季28本塁打を放った安田と同じ年のライバルからヒントを得た。

 「肩が開く感じと足の上げ方。同じ年ですけど、いいバッターであるのは間違いない。凄い選手のいい部分を参考にするのは当然の事だと思う」
 
 ガムシャラに自分と向き合う気持ちが同世代のライバルからヒントを得るキッカケを作った。そして安田は少しずつ状態を上げていく。シーズン最終戦となった11月9日のファイターズ戦(ZOZOマリンスタジアム)で再び4番に座ると3打数1安打1打点。そして迎えた福岡でのクライマックスシリーズでは初戦に球界を代表する投手といわれるホークスの千賀滉大投手から先制2ランを右翼スタンドに運ぶと2試合目でも先制の2点適時打を放つなど3安打2打点の活躍。大舞台で成長をした姿を見せた。

 「オフの期間にもう一度、しっかりと自分と向き合って、これだというフォームを作りだします。そして来年、4番に自分の力で戻ってきたいと思います」

 背番号「5」の2021年は始まっている。井口監督も「最低でも20本。そして3割打てる選手」と期待を寄せる。ファンの期待も大きい。4番という重責を21歳で担い沢山の挫折を味わい重圧と戦い向き合った一年は終わった。満足いく結果は残せなかったがなにかを大きなものを掴んだ一年でもあった。それを生かせるかどうかは自分次第。安田にとって真価が問われる2021年はもう始まっている。

文 千葉ロッテマリーンズ広報室 梶原紀章
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