連敗中に響いた鳥谷の言葉。ベテランの言葉が若い選手たちを成長させる

千葉ロッテマリーンズ
チーム・協会

【円陣で想いを伝える鳥谷】

 試合前円陣の真ん中に鳥谷敬内野手がいた。10月25日のバファローズ戦(京セラドーム)。6連敗中のチームにあって、39歳の大ベテランが大きな声を出した。鳥谷が試合前の円陣で声を出すのは今シーズン2度目の事だった。

 「昨日の事、過去の事を気にするのではなくて今を精一杯やろう。目の前のこの試合をどうするかを考えよう。目の前の事にベストを尽くそう」

 2000本安打を達成するなどタイガースで一時代を築いたレジェンドの言葉を選手たちは聞き入った。そして盛り上がった。最後は全員に元気に声を出し勝利を誓った。

 その一声の効果は絶大だった。14安打10得点の猛攻。マリーンズが二桁得点を挙げるのは8月14日以来。そしてなによりも二桁得点へと導いたのは鳥谷自身のバットだった。

 八回一死二、三塁で代打として登場すると141キロストレートを綺麗にはじき返した。打球は右中間を抜けていく2点適時二塁打。これでチームの得点は10点となった。そしてなにより鳥谷にとってこの二塁打は通算350二塁打。プロ野球史上46人目の快挙となった。

 「正直、個人的な記録に関して特にこだわりもなければ、興味もないです。ただ、これは積み重ねで、続けてきた事が結果につながったと思う。自分ではどうこうしたいという想いはなかったのですけれど、マリーンズに拾ってもらわなければ記録はなかった」と試合後の鳥谷はいたって冷静で、まずはチームの勝利を喜んでいた。

 そして10月28日のホークス戦(PayPayドーム)ではもう一つ勲章が加わった。遊撃手として歴代最多となる1768試合出場を達成。これは元横浜の石井琢朗氏を抜くプロ野球記録となった。日々の準備を徹底しているからこその偉業だ。ナイターでも基本的に寝るのは夜の12時で起きるのは午前7時。デーゲームでもナイターでも同じリズムを作る事で体の状態をいつでもフラットに整える。本拠地では早めに球場に来てウェートを行い、ショートダッシュにマシン相手に打ち込み、全体練習に臨むのが日課だ。毎日、最善の準備を行い、出番を待つ。準備をしているから結果は生まれるのだ。

 イレギュラーな形でスタートしたペナントレースも残すこと6試合となった。リーグ優勝こそ逃したもののマリーンズは07年以来となる2位を目指す戦いが続く。2位に入り、なんとしても、もう一度、王者ホークスに挑む。その権利を獲得するためのライオンズ、イーグルスとの戦いは熾烈を極めている。若い選手の多いチームにあって重圧は重くのしかかる。そんな時、経験豊富な大ベテランの存在は頼もしい限り。鳥谷の言葉が若い選手たちを成長させる。そしてその背中は見本となっている。

文 千葉ロッテマリーンズ広報室 梶原紀章

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