史上初の父子無敗の三冠はなるか! 菊花賞を分析する

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【2020/9/27 中京11R 神戸新聞杯(G2) 1着 2番 コントレイル】

先週のデアリングタクトに続き、今週はコントレイルが三冠に挑む。秋初戦の神戸新聞杯を危なげなく完勝。未知の3000m戦となるが、父ディープインパクトに続く史上初の「無敗の父子三冠」はなるか。また、来月から工事のため長期の開催休止に入る京都競馬場にとっては当面最後のG1でもある。熱戦を期待しつつ、過去10年のデータを調べていこう。データ分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。

人気別成績

■表1 【人気別成績】

表1は人気別成績。過去10年で5勝の1番人気は、計8頭が3着以内を確保。馬券圏内に入れなかった2頭のうち1頭は4着で、崩れたのは14年9着のワンアンドオンリーしかいない。全馬にとって適性が未知の3000m戦だが、それでも1番人気に推された馬はしっかりと結果を出しているようだ。以下、奇数の3番人気、5番人気、7番人気の成績がよく、偶数の2番人気、4番人気、6番人気は振るわない。明確な理由は見出しづらいが、気になる傾向である。

キャリア別成績

■表2 【キャリア別成績】

表2はキャリア別成績。この通り、現在の菊花賞ではキャリア6〜8戦あたりの好走が多くなっている。また、時間の流れを追っていくと、集計対象10年間の最初の2年、10年のビッグウィーク、11年のオルフェーヴルはいずれもキャリア9戦の馬が制したのに対し、直近の2年は18年のフィエールマンがキャリア3戦、19年のワールドプレミアはキャリア5戦と、より浅いキャリアの馬が勝つようになってきている点も押さえておきたい。

枠番別成績

■表3 【枠番別成績】

表3は枠番別成績。過去10年、1〜3枠が計7勝と内枠から勝ち馬が多く出ているが、好走率自体が高いわけではない。実際、6、7枠も計3勝を記録し、5枠を含めて複勝率では遜色のない数字を残している。ただし、8枠は明らかに苦戦と言えそうだ。

前走クラス別成績

■表4 【前走クラス別成績】

表4は前走クラス別成績。主流は前走G2で、具体的には東西のトライアルであるセントライト記念と神戸新聞杯、特に後者が過去10年で18頭の菊花賞好走馬を送り出している。前走G2の好走例はもう1頭おり、16年2着のレインボーラインは札幌記念3着からの臨戦だった。前走G3の好走は18年1着のフィエールマンが唯一、7月のラジオNIKKEI賞2着から休み明けで制したのは記憶に新しい。重賞以外では前走2勝クラス(1000万下)から3着に入った馬が5頭おり、この組にも可能性がある。

前走神戸新聞杯出走馬の各種データ

■表5 【前走神戸新聞杯出走馬の各種データ】

表5は、前走神戸新聞杯出走馬について、その着順別と上がり3F順位別の成績を示したもの。明快な傾向が出ており、着順別では1〜3着に入っていた馬の好走率が高く、最低でも掲示板は確保しておきたい。上がり順位については上がり1位か2位だった馬の好走率が抜群で、5位まではチャンスあり。しかし、上がり6位以下だった場合は25頭で3着1頭のみと、かなりの苦戦傾向が見受けられる。

前走セントライト記念出走馬の各種データ

■表6 【前走セントライト記念出走馬の各種データ】

表6は、前走セントライト記念出走馬について、その着順別と人気別の成績を示したもの。着順別では、好走した5頭中4頭が1、2着に入っていた一方で、3着以下だった38頭ではセントライト記念9着から菊花賞2着に巻き返した17年のクリンチャーしか好走例がない。また、人気別では、セントライト記念で1、2番人気だった馬の好走例がなく、むしろ3番人気以下だった馬に好走が限られるという興味深い傾向が出ている。

前走2勝クラス出走の好走馬一覧

■表7 【前走2勝クラス出走の好走馬一覧】

表7は、前走2勝クラス出走から好走した5頭をまとめたもの。競馬場はさまざまだが、全馬に共通するのは芝2200m以上のレースを勝っていたこと。また、4角通過がもっとも後ろでも5番手と、前のほうで競馬をしていた馬が多いことも指摘しておきたい。

【結論】

今年の菊花賞には出走18頭のところ29頭の馬がエントリー。このうち、最有力のトライアルである神戸新聞杯に出走していた馬が10頭いて、この組は1〜3着だった馬と上がり1、2位だった馬の好走率が高いことは表5の項で確認した通り。今年は神戸新聞杯が例年と異なる中京芝2200m開催だった点に留意する必要はあるが、上がり2位で1着のコントレイルと、上がり1位で2着のヴェルトライゼンデはやはり有望だろう。

セントライト記念組は、そこで3番人気以下から1、2着に入った馬の好走が多く、今年は4番人気1着だったバビットが該当する。逃げて重賞連勝中の同馬が大仕事をやってのけることはできるだろうか。

2勝クラス組は、芝2200m以上のレースを先行して勝ってきた馬が3着に入るケースが多い。今年でいえば、札幌芝2600mの阿寒湖特別を4角2番手から制したアンティシペイト(キャリア6戦)、中京芝2200mの小牧特別を4角1番手から制したアリストテレス(キャリア8戦)が該当する。前走2勝クラス1着馬はあと2頭いるが、中山芝2500mを勝ったダノングロワールは4角通過が6番手だった点、京都芝2400mの高雄特別を勝ったディアマンミノルはキャリア10戦という点で割り引いた。なお、本稿執筆時点で、この4頭は抽選を突破することが出走条件となる。

文:出川塁(でがわ るい)
1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。
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著者プロフィール

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