今、注目のロッテ藤原恭大が大事にしている言葉

千葉ロッテマリーンズ
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【プロ1号、2号が先頭打者本塁打を放った藤原恭大】

 「野球が上手ければいいと思うなよ。大切なのは人間力だぞ」。千葉ロッテマリーンズ 藤原恭大外野手にとって忘れられない言葉を掛けられたのは大阪桐蔭高校に入学して間もなくのことだった。

 「中学校までの自分は周りの事などまったく気にすることがありませんでした。それこそ野球が上手ければいい。そんな気持ちが正直、ありました。自分が、自分がという自分勝手な人間でした。でも、それでは駄目だということを教わりました」
 
指導をしてくれたのは大阪桐蔭高校野球部の西谷浩一監督。中学校時代から将来有望な選手として注目を集めて入学をした藤原ら選手たちを集めて諭した。そしてノートに毎日、その日の出来事や思ったことを書きとめるよう指示した。

 「今日あったことや、チームの事、学校の事など、とにかくその日に思った気持ちや悩み、反省点、間違った事を書き込むようになりました。野球の事はほとんど書いてなかったと思います。でも、そうやって一日を振り返ると色々な事を想えるようになりました」

 それまでは自分中心だったという若者は監督から口酸っぱく言われながら、徐々に人としてどうあるべきかを考えるようになった。3年生になると副キャプテンも務め自然とチーム、後輩の事も考えるようになった。プロに入って2年が経過した藤原が今も胸に刻むのは師の人間力を大切にする言葉の数々だ。 

 「野球を長くやれても40歳ぐらい。そこからの人生の方が長い。問われるのは人間力。人として評価されるのは野球選手としてどうだったかではなくて人間としてどう歩んできたか。最後は人間だぞ」

 2年前、西谷監督はそう言って華やかな世界に飛び込む若者を優しく送り出した。いつも謙虚に努力を惜しまず、野球だけではなく人としての成長を望み、求めた。その期待に応えようと若者も必死の日々を送ることを決意し上京した。

  藤原は新入団会見参加のために大阪から千葉入りする際に、木製バットを1本、持ちこんだ。懇親会を終えた夜も、ZOZOマリンスタジアム見学、都内でのマスコミ向け新入団会見、千葉に戻ってファン向け新入団会見とハードなスケジュールをこなした後も宿泊ホテルに戻り近くの公園で黙々と30分以上、汗だくになりながらバットを振った。その姿に「新入団会見でバットを持参した選手は記憶にないよ」とスカウト陣も目を細めた。関係者の誰もが天性の才能に溺れることなく、人間力を磨きながら努力を重ねようとする若武者の姿勢に大きな希望を抱いての入団だった。

 「自分はまだまだです。プロで人間力も磨きたいです。野球だけの人間になりたくない。どちらも、もっともっと成長したいです。立派な社会人となれるように頑張りたい」

 未来への豊富で溢れかえる若者が多い中で背番号「2」は異彩の発言を放っている。それは新たな伝説の幕開けを高らかに宣言しているかのようだった。野球だけの日々ではない。人間としていかに生きたかを見せる道を歩む。藤原恭大、20歳。人間力を磨きながら突き進む長い旅路のスタート地点にまだ立ったばかりである。

文 千葉ロッテマリーンズ広報室 梶原紀章
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