みんなでつくるFC今治観戦体験向上プロジェクト #3 FC今治の愛のかたちと成長マップ

FC今治
チーム・協会

【みんなでつくるFC今治観戦体験向上プロジェクト 】

2019シーズン、FC今治とデロイト トーマツ コンサルティングの協働で実施した「観戦体験向上プロジェクト」を連載でお届けする本企画。第3回は、「FC今治の愛のかたちと成長マップ」と題し、FC今治のファンの定義やコアなファンになって頂くための議論や取り組みについて、FC今治植野準太とデロイト トーマツ コンサルティング川野遥香がご紹介します。
植野
皆さん、こんにちは。FC今治の植野準太です。本連載も早くも3回目となりました。
FC今治は、おかげさまで2020年シーズンからJ3に昇格、はじめてのJリーグが開幕しました。でも、これはまだ私たちが目指していることの過程にすぎません。2025年に目指す姿として、FC今治では「地域の人たちに愛され、常に満員のサポーターに応援される」「トップチームは常時J1の優勝争いをする」という目標を掲げています。
中長期的にもっと多くのファンの方に応援して頂くためにはどうしたら良いのか、連載3回目は、ファンの定義やコアファンになって頂くための取り組みについて、ご紹介したいと思います。

川野さん
過去2回の調査結果を通じて、来場者の方の特徴や観戦の動機については、主に下記のような学びがありました。
・4割以上が学生試合も含めた観戦経験があり、サッカー自体への関心が高い
・FC今治観戦者はJリーグ平均に比べ、年齢構成は50代以上、男女比では女性が多い
・Jリーグ観戦と比較して、FC今治観戦体験は「試合前にイベント会場で過ごすとき」「帰宅後の情報共有するとき」の影響・評価が明らかに高い
・試合前は「スタグル」、試合中は「応援団との応援」、試合後は「ダイジェスト」と、試合の勝ち負けに関わらず様々なタッチポイントで楽しまれている
・Jリーグと比較しFC今治では、「家族・知人・友人がチームの関係者(選手以外)」の割合が高い
・初観戦のきっかけが「家族に誘われた」と回答された方は、その後も継続して来場する傾向がある

“FC今治らしさ”を大切に、多様性あるファンづくりをしていきたい。そのためには、来場して下さる方々それぞれの動機をもっと深く知って、有効な施策を打つ必要があります。第2回以降のアンケート調査を基に、FC今治さんとこうしたディスカッションを深堀していきました。
―どのようなアプローチで多様なファンを可視化されたのでしょうか?

川野さん
はい、ファンの定義は議論がある部分かと思いますが、まずはFC今治の皆さんとデロイト トーマツ メンバーで、共通の理解のもとで議論するために、今回はまずシーズンパスをお持ちだったり、年間14試合以上ご来場頂く方、さらには他の方まで誘ってくださるような方を「コアファン」、年間2回以上来場される方を「ファン」、年間1回程度の方を「ライトファン」と定義しました。

さらに、3回目のアンケート調査では、(1)初めて来場した時の動機と、(2)現在の来場動機を各々質問し、ホーム戦に来ていただく動機にどのような変化があったのかを「愛のかたち」という切り口で整理しています。「愛のかたち」については、ここでぜひ、考案者のデロイト トーマツ コンサルティング 土屋俊輔さんにゲストに登場してもらい、詳しく解説してもらいたいと思います!土屋さん宜しくお願いします!

土屋さん
皆さん、こんにちは!デロイト トーマツ コンサルティングの土屋です。私は普段、お客様との“顧客接点”をより良いものにしていくことで、企業やブランドの「ファン」になってもらうような改革の支援をさせていただいています。今回、これまで企業向けに展開してきたノウハウを応用することで、「FC今治のファン拡大」に寄与できればという思いでこのプロジェクトに取り組んできました。
―「愛のかたち」って、おもしろいですね!なぜこうした切り口で分類を試みたのでしょうか?

土屋さん
実は私はサッカー観戦が趣味でして、「どうやったらサッカーの魅力をもっと多くの人に理解してもらえるか」ということを当初は考えていました。それがファンを増やすために重要なことだと考えていたんですね。

ところが、実際にFC今治の試合に足を運んでみると、試合以外にも、子供たちが夢中で参加するイベントがあり、美味しいグルメがあり…、子供からお年寄りまで笑顔で応援している姿を見ることができ、単なる「サッカー好き」だけが集まっているわけではない、多様性を感じることができました。この多様性こそがFC今治の魅力であり、ファンを拡大していくためのカギになると考え、これを言語化できないかと思ったのが「愛のかたち」が生まれたきっかけです。
ちなみに「愛のかたち」という名称は、FC今治のファンの方の写真をみながら自然と浮かんできたものです(笑)

FC今治、デロイト トーマツのワークショップの様子(写真左がデロイト トーマツ コンサルティング 土屋俊輔さん) 【デロイト トーマツ コンサルティング】

―初めて来場した時と現在と、コアファンの「愛のカタチ」にはどのような変化が見られたのか、コアファンになるための要件は何か等解説頂けると助かります

土屋さん
コアファンの方に、「初めて観戦したとき」と「現状」の愛情の変化を聞くことで、コアファン化のための要件が見えてきました。
特に際立っていたのは、「選手愛」「活気愛」、そしてその結果といえる「FC今治愛」で、初めて来る方よりも多くのものに魅力を感じているということがわかりました。
「スポーツ好き」で初めて来るような人に対して、特定選手を気に入ってもらったり、FC今治ならではの熱気を体験してもらったりと、「スポーツ以外の魅力」を感じてもらうことが、継続的な来場につながるといえそうです。

―ディスカッションエピソードがあれば教えて下さい・

土屋さん
「愛のかたち」というこれまでとは異なる切り口ということもあり、植野さんたちとのディスカッションはとても盛り上がりました。私が印象的だったのは「休日の居心地愛」ですね。あるスタッフの方のご家族の方の話を例に、「ぐいぐいこない繋がり・場づくりが重要」といった話が挙がり、共感する人も多く盛り上がっていました。「活気愛」を大切にしながらも、ぐいぐいいくような強制力は働かせない、というのがFC今治らしいなと印象に残っています。

【デロイト トーマツ コンサルティング】

植野
この「愛のかたち」の議論含めて、ワークショップ以外でも、毎週デロイト トーマツのみなさんとディスカッションしましたよね。毎週ものすごく頭を使う1時間でした(笑)。
この調査結果から、充実したイベントを引き金にライトファンを誘引すると共に、選手への愛着(選手愛)と盛り上がりの共有(熱気愛)を刺激することが、最終的にコアファンの増加につながるということもわかってきました。

ー昨シーズン全3回のアンケート調査を通じて、変化はありましたか?

川野さん
はい、もともとFC今治さんの推奨度は高いのですが、3回のアンケートの回を追うごとに数値はさらに良くなって、最終回は過去最高値を記録しました。これは、J3昇格争いの盛り上がりと共に、終盤に向けて様々な施策を実施した結果、観戦体験が向上し続けたことを示していると思います。
こうした結果を踏まえて、FC今治の皆さんと2020シーズンに向けた取り組みについても議論を行ってきました。連載最終回ではFC今治の皆さんとの議論の内容や、ニューノーマルを踏まえた今後の観戦体験の可能性についてもお話ししていきたいと思います。

土屋さん、川野さん、ありがとうございました。次回はいよいよ最終回です。昨シーズン全3回のアンケート調査とワークショップを通じて、はじめてのJ3での2020シーズンはどのようなことに取り組むか、具体的な施策や今後の可能性についてもご紹介します。
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著者プロフィール

2020年シーズンよりJリーグクラブとなったFC今治。ホームタウンはしまなみ海道の玄関口、愛媛県今治市です。わたしたちは「次世代のため、物の豊かさより心の豊かさを大切にする社会づくりに貢献する。」を企業理念に掲げる(株)今治.夢スポーツという法人です。今治.夢スポーツは、FC今治の運営を核に、教育事業や地域貢献活動などさまざまな事業にチャレンジしています。当アカウントでは、イベントや試合情報、選手に関する情報など、クラブの最新情報をお届けします。

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