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フォート・キシモト

【記録と数字で楽しむ第104回日本選手権】男子100m

日本陸上競技連盟

10月1日〜3日に新潟で行われる「第104回日本選手権(一般種目)」の「見どころ」や「楽しみ方」を「記録と数字」という視点から紹介する。「混成競技」は、9月26・27日に終了。「長距離種目」は、12月4日に大阪・長居で実施される。

「日本一」を決める試合なので、本当は全種目についてふれたいところだが、原稿の締め切りまでの時間的な制約があったため、「日本新」が期待されたり、好勝負が予想される種目に関してのみの紹介になったことをご容赦いただきたい。

「コロナ」のため世界陸連(WA)の決定によって、今年4月6日から11月30日までの競技会の成績や記録は「五輪参加標準記録」や「WAランキングポイント」には反映されないが、「2020日本チャンピオン」を目指して各種目で選手たちが全力を尽くす。

なお、これまた「コロナ」に配慮して、「スタンドから生で観戦」ができるのは3日間とも「新潟県民2000人限定」となった。そのため、全国の陸上ファンの方々のほとんどが「TV」や「ライブ・ネット中継」での観戦となるが、その「お供」にしていただければ幸いである。

・記録は、9月27日判明分。
・記事は、9月28日時点の情報による。直前に「欠場」となった選手については、文中
に 【★*月*日に欠場を発表★】 と付記した。

【男子100m】桐生vsケンブリッジに誰が割って入るか? 「9秒台決着」はなるか?

・予選/10月1日 15:30 6組2着+4
・準決/10月1日 19:30 2組3着+2
・決勝/10月2日 20:30

2013年4月の織田幹雄記念で桐生祥秀(当時、京都・洛南高3年。現、日本生命)が「10秒01」で走って以降、毎年の日本選手権での「最注目種目」となっている。今回の決勝も大会2日目、土曜日20時30分からの最終種目で、ゴールデンタイムに「NHK」で生中継される。

2013年以降の優勝者(所属は当時のもの)は、

2013 10.11 +0.7 山縣 亮太(慶 大)=初優勝
2014 10.22 +0.6 桐生 祥秀(東洋大)=初優勝
2015 10.28 -0.9 高瀬  慧(富士通)=初優勝
2016 10.16 -0.3 ケンブリッジ飛鳥(ドーム)=初優勝
2017 10.05 +0.6 サニブラウンAハキーム(東京陸協)=初優勝
2018 10.05 +0.6 山縣 亮太(セイコー)=2回目の優勝
2019 10.02 -0.3 サニブラウンAハキーム(フロリダ大)=2回目の優勝

以上の通りで、2013年以降は連覇した選手はなく毎年チャンピオンが変わっている。2019年に優勝した日本記録保持者のサニブラウンがエントリーしなかったため、今回も「連覇なし」が確定した。

2013年以降のチャンピオン5人のうち上述のサニブラウンと高瀬慧選手を除く3人がエントリー。
参加資格記録(2019年1月1日〜2020年9月13日)では、

1) 9.98 小池祐貴(住友電工)
2)10.01 桐生祥秀(日本生命)
3)10.03 ケンブリッジ飛鳥(Nike)
4)10.11 山縣亮太(セイコー【★9月29日に欠場を発表★】)
5)10.12 多田修平(住友電工)
6)10.13 飯塚翔太(ミズノ)
7)10.19 白石黄良々(セレスポ)
8)10.20 デーデー・ブルーノ(東海大)

がトップ8。

2020年の記録では、10秒03(+1.0)のケンブリッジ(8月29日)と10秒04(+1.4)の桐生(8月1日)が、他の選手からは1mくらい抜け出ている様相だ。9月27日判明分の「2020年・世界リスト」では、ケンブリッジが6位タイ、桐生が12位タイに位置している。

桐生とケンブリッジの2020年の直接対決は、2試合で4レース。
8月23日、ゴールデングランプリ(国立)は、同じ組だった予選(0.7)が1着10.09・桐生、2着10.11・ケンブリッジ。決勝(-0.2)も、1着10.14・桐生、2着10.16・ケンブリッジの順だったが、その差はともに「0秒02」。
8月29日、ナイトゲームズin福井は、予選(+0.9)が1着10.05・ケンブリッジ、2着10.07・桐生。決勝(+1.0)が、1着10.03・ケンブリッジ、2着10.06・桐生の順。その差は、「0秒02」と「0秒03」。

と、2試合での勝負は2勝2敗で「互角」である。

これまでの「決勝レース」での直接対決は、

年月日   競技会名  桐生祥秀  vs  ケンブリッジ
2014.05.17 関東学生  1)10.05 ○ ● 2)10.21
2015.04.29 織田記念  2)10.40 ● ○ 1)10.37
2015.09.12 日本学生  1)10.19 ○ ● 8)10.78
2016.06.25 日本選手権 3)10.31 ● ○ 1)10.16
2017.05.13 上海DL   失格  ● ○ 4)10.12
2017.06.24 日本選手権 4)10.26 ● ○ 3)10.18
2018.05.20 GGP大阪 4)10.17 ○ ● 5)10.19
2018.06.23 日本選手権 3)10.16 ● ○ 2)10.14
2019.03.23 ブリスベン 1)10.08 ○ ● 8)10.35
2019.05.19 GGP大阪 2)10.01 ○ ● 9)10.30
2019.06.28 日本選手権 2)10.16 ○ ● 8)10.33
2020.08.23 GGP東京 1)10.14 ○ ● 2)10.16
2020.08.29 ナイトG  2)10.06 ● ○ 1)10.03
―――――――――――――――――7-6―――――

と、桐生が「フォルス(不正)スタートで失格」だった2017年・上海でのレースを含めて、桐生の7勝6敗だ。

2020年の桐生は、

8.01 北麓SP   予選 1)10.12 +1.1
8.01 北麓SP   決勝 1)10.04 +1.4
8.10 標準突破会  予選 1)20.51 +1.4 =200m
8.23 GGP東京  予選 1)10.09 +0.7
8.23 GGP東京  決勝 1)10.14 -0.2
8.29 ナイトG福井 予選 2)10.07 +0.9
8.29 ナイトG福井 決勝 2)10.06 +1.0

6レースのうち4レースが「10秒0台」の安定ぶり。

桐生の「10秒09以内(追風参考も含む)」をまとめると以下の通り(3月の競技会は新年度で記載)。

<2013/高校3年/10.09以内2回。うち追風参考1回>
04.29 織田記念    予選 1)10.01 +0.9
04.29 織田記念    決勝 1)10.03W +2.7

<2014/大学1年/10.09以内1回>
05.17 関東学生    決勝 1)10.05 +1.6

<2015/大学2年/10.09以内2回。うち追風参考1回>
03.28 テキサスリレー 決勝 1) 9.87W +3.3
10.18 布勢カーニバル 決勝 1)10.09 +0.3

<2016/大学3年/10.09以内3回>
06.05 布勢スプリント 決勝 2)10.09 -0.5
06.11 日本学生個人  準決 1)10.01 +1.8
09.03 日本学生    決勝 1)10.08 +1.1

<2017/大学4年/10.09以内5回>
03.11 キャンベラ   予選 1)10.04 +1.4
04.23 吉岡記念    決勝 1)10.08 -0.5
04.29 織田記念    決勝 1)10.04 -0.3
07.23 トワイライトG 決勝 1)10.05 +0.6
09.09 日本学生    決勝 1) 9.98 +1.8

<2018/社歌人1年目>
 10.09以内なし(最高は、10.10 +0.4 7.18)

<2019/社会人2年目/10.09以内7回>
03.23 ブリスベン   決勝 1)10.08 +2.0
05.19 GGP大阪   決勝 2)10.01 +1.7
06.02 布勢スプリント 予選 1)10.04 +1.3
06.02 布勢スプリント 決勝 1)10.05 +0.1
08.17 ナイトG福井  決勝 1)10.05 +0.9
08.25 マドリード   予選 1)10.04 +1.0
08.25 マドリード   決勝 4)10.08 +1.6

<2020/社会人4年目/10.09以内4回>
08.01 北麓スプリント 決勝 1)10.04 +1.4
08.23 GGP東京   予選 1)10.09 +0.7
08.29 ナイトG福井  予選 2)10.07 +0.9
08.29 ナイトG福井  決勝 2)10.06 +1.0

追風参考を含めて2013年以降、2・1・2・3・5・0・7・4回。

公認記録に限ると予選を含めての「10秒09以内率」は、

2013  5.00%(1回/20レース中)
2014  8.33%(1回/12レース中)
2015 10.00%(1回/10レース中)
2016 14.29%(3回/21レース中)
2017 29.41%(5回/17レース中)
2018  0.00%(0回/13レース中)
2019 33.33%(7回/21レース中)
2020 75.00%(4回/6レース中)
――――――――――――
合計 18.33%(22回/120レース中)

故障などがあった18年を除き年々よりハイレベルな力をつけてきていることがわかる。

他の選手の「10秒09以内」の回数は、

2)12回 山縣亮太
3)10回 サニブラウンAハキーム
4)4回 朝原宣治、伊東浩司、小池祐貴
7)2回 末續慎吾、多田修平、ケンブリッジ飛鳥
10)1回 飯塚翔太、江里口匡史、高瀬 慧、塚原直貴

と続く。

一方のケンブリッジの2020年シーズンは、

7.23 東京選手権   予選 1)10.29 +0.3
7.24 東京選手権   準決 1)10.26 -0.3
7.24 東京選手権   決勝 1)10.22 -0.8
8.23 GGP東京   決勝 2)10.16 -0.2
8.29 ナイトG福井  予選 1)10.05 +0.9 =自己新
8.29 ナイトG福井  決勝 1)10.03 +1.0 =自己新
9.06 北麓トライアル 決勝 1)10.13 +0.6

福井で予選・決勝と立て続けにこれまでのベスト10秒08(2017.6.23)を3年ぶりに更新した。

3年前の10秒08の時は、

・100mに要した歩数 47.1歩
・平均ピッチ 4.673歩/秒
・平均ストライド 212.3cm
・ストライドの身長比 118.0%

だったが、10秒03の時は、

・100mに要した歩数 46.5歩
・平均ピッチ 4.636歩/秒
・ストライド 215.1cm
・ストライドの身長比 119.5%

と、ストライドを3cmあまり伸ばしていた。

参考までに桐生(176cm・70kg)が2017年に「9秒98」で走った時は、

・47.1歩 4.719歩/秒 212.3cm 120.6%

サニブラウン(188cm・83kg)が、2019年に「9秒97」の時は、

・43.7歩 4.383歩/秒 228.8cm 121.7%

だった。

スタンドからのリアルタイムではその歩数を数えることは困難だろうが、TVやYoutubeの動画をスロー再生して、今回の決勝での歩数をカウントして、「平均ピッチ」「平均ストライド」などを計算&比較してみるのも「楽しみ方」のひとつであろう。

今季、10秒0台を複数回マークしている桐生とケンブリッジを中心にふれてきたが、過去2回「日本一速い男」となった山縣【★9月29日に欠場を発表★】も「日本選手権に合わせたい」と9月19日の全日本実業団を回避してピークを持ってくることだろう。9秒98の小池もまたしかり。最終日の200mで4回目の頂点を目指す飯塚は、それに向けて、まずは100mで「勢い」をつけたいところだ。

日本選手権・決勝での「着順別最高記録」は、

・「/」の後ろは、追風参考での最高記録
1)10.02 2019年
2)10.14 2018年/10.12w 1999年
3)10.16 2018年
4)10.17 2018年
5)10.22 2018年
6)10.30 2018年/10.28w 1999年
7)10.30 2018年/10.28w 1999年
8)10.33 2019年/10.30w 1999年

以上の通りで、2018年と2019年のレベルが高かったとがわかるが、今回もそれをも上回るハイレベルなレースが予想され、風次第では「9秒台」や「日本新」での決着も期待できよう。


野口純正(国際陸上競技統計者協会[ATFS]会員)

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日本陸上競技連盟
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