六畳一間の共同生活からマリーンズ優勝のキーマンへ。美馬と澤村の不思議な縁
【チームの柱として投げ続ける美馬】
六畳一間での共同生活を送っていた時にこんな未来は想像できなかった。美馬学投手は遠い昔の事を思い出した。中央大学野球部では寮生活。六畳一間の部屋に上級生1人の下級生2人の合計3人が入るしきたりとなっていた。美馬は大学3年生になると晴れて部屋長となり、新入学生2人が同部屋となった。そのうちの一人が後にジャイアンツにドラフト1位で入団をする澤村拓一投手だった。
「真面目な子という印象。なんでも一生懸命やっていた。曲がった事が嫌いで、やると決めたらとことんやるタイプ。当時は今みたいに体は大きくなかった」と美馬は懐かしき青春時代を振り返った。
後輩として澤村が入部をしてきたことは美馬にとっても大きな刺激となった。3年春のリーグ戦では背番号はもらえなかった。しかし澤村は一年生ながら試合に投げていた。負けじと必死にアピールして秋には悲願のベンチ入り。先発した澤村の後を投げる役割をになった。それが野球人生の大きな転機となった。
「後輩たちには能力のある投手が多かった。もっと頑張らないと試合に出られない。それが自分の刺激となり、自分も頑張れた」と美馬。
色々な思い出がある。狭い部屋での3人暮らし。どうしても一人、布団を敷く場所が狭くなる。だから後輩のどちらか一人、押し入れに寝る。その役を澤村は買って出ていた。その事について澤村は「押し入れの中に寝るというか、体半分。上半身が押し入れというイメージです」と笑う。
つねに優しかった美馬だが澤村ら後輩に一度だけ怒った事がある。トレーニングの時間。ダッシュ10本のメニューで、後輩たちが少し力を抜き、笑いながら走っている場面があった。「10本ダッシュと決めたのなら、その10本は真剣にやらないと意味がない」。温厚な先輩の一言が澤村の胸に突き刺さった。その後も澤村は先輩の教えを忘れずに実践し続けた。だから美馬が卒業し自分が3年生となり後輩を指導する立場となった時、同じように伝え続けた。そんな2人は時を経て、チームメートになる。プロではハワイでの自主トレを同じ場所で行うなどはしたが、それほど接点は多くはない。美馬はドラフト2位でイーグルスに入団しFAでマリーンズに。澤村はジャイアンツにドラフト1位で入団をしてトレードで加入した。トレードが決まった時も真っ先に電話でやりとりをした。大学時代の同部屋の2人は今、マリーンズ優勝の原動力となっている。
「すごい縁を感じました。澤村から電話がかかってきた時、興奮しているのが声から伝わってきた。自分としては嬉しいし、これからチームの優勝のために一緒に頑張りたい」
新天地で躍動する後輩の姿を美馬は優しい目で見守る。2人の野球人生の原点は中大野球部合宿所の六畳一間。澤村は先輩が一人、部屋で涙していた事も覚えている。美馬も高い身体能力を持ちながらも、それでも努力を重ねウェートで体を大きくしながら汗を流し続けていた後輩の姿、そして押し入れで率先して寝ていた優しき澤村を誰よりも知っている。マリーンズは今、1974年以来、46年ぶりとなる勝率1位でリーグ優勝に向けt邁進している。そしてキーマンは美馬と澤村である。再び巡り合えた縁。最高の瞬間を共に味わうために2人は2020年、再びチームメートとなった。あの時のように濃く熱い日々を送る。
文 千葉ロッテマリーンズ広報室 梶原紀章
「真面目な子という印象。なんでも一生懸命やっていた。曲がった事が嫌いで、やると決めたらとことんやるタイプ。当時は今みたいに体は大きくなかった」と美馬は懐かしき青春時代を振り返った。
後輩として澤村が入部をしてきたことは美馬にとっても大きな刺激となった。3年春のリーグ戦では背番号はもらえなかった。しかし澤村は一年生ながら試合に投げていた。負けじと必死にアピールして秋には悲願のベンチ入り。先発した澤村の後を投げる役割をになった。それが野球人生の大きな転機となった。
「後輩たちには能力のある投手が多かった。もっと頑張らないと試合に出られない。それが自分の刺激となり、自分も頑張れた」と美馬。
色々な思い出がある。狭い部屋での3人暮らし。どうしても一人、布団を敷く場所が狭くなる。だから後輩のどちらか一人、押し入れに寝る。その役を澤村は買って出ていた。その事について澤村は「押し入れの中に寝るというか、体半分。上半身が押し入れというイメージです」と笑う。
つねに優しかった美馬だが澤村ら後輩に一度だけ怒った事がある。トレーニングの時間。ダッシュ10本のメニューで、後輩たちが少し力を抜き、笑いながら走っている場面があった。「10本ダッシュと決めたのなら、その10本は真剣にやらないと意味がない」。温厚な先輩の一言が澤村の胸に突き刺さった。その後も澤村は先輩の教えを忘れずに実践し続けた。だから美馬が卒業し自分が3年生となり後輩を指導する立場となった時、同じように伝え続けた。そんな2人は時を経て、チームメートになる。プロではハワイでの自主トレを同じ場所で行うなどはしたが、それほど接点は多くはない。美馬はドラフト2位でイーグルスに入団しFAでマリーンズに。澤村はジャイアンツにドラフト1位で入団をしてトレードで加入した。トレードが決まった時も真っ先に電話でやりとりをした。大学時代の同部屋の2人は今、マリーンズ優勝の原動力となっている。
「すごい縁を感じました。澤村から電話がかかってきた時、興奮しているのが声から伝わってきた。自分としては嬉しいし、これからチームの優勝のために一緒に頑張りたい」
新天地で躍動する後輩の姿を美馬は優しい目で見守る。2人の野球人生の原点は中大野球部合宿所の六畳一間。澤村は先輩が一人、部屋で涙していた事も覚えている。美馬も高い身体能力を持ちながらも、それでも努力を重ねウェートで体を大きくしながら汗を流し続けていた後輩の姿、そして押し入れで率先して寝ていた優しき澤村を誰よりも知っている。マリーンズは今、1974年以来、46年ぶりとなる勝率1位でリーグ優勝に向けt邁進している。そしてキーマンは美馬と澤村である。再び巡り合えた縁。最高の瞬間を共に味わうために2人は2020年、再びチームメートとなった。あの時のように濃く熱い日々を送る。
文 千葉ロッテマリーンズ広報室 梶原紀章
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