無敗の二冠馬が始動! 菊花賞トライアル・神戸新聞杯を展望する

JRA-VAN
チーム・協会

【 2020/5/31 東京11R 東京優駿(日本ダービー)(G1) 1着 5番 コントレイル】

今回は菊花賞トライアルの神戸新聞杯を分析する。注目馬はもちろん、無敗の二冠馬コントレイル。無敗の三冠に向けて、秋初戦を飾ることはできるだろうか。また、今年は通常の阪神芝2400mではなく、中京芝2200mが舞台となることもトピックのひとつだ。そこで、当欄の前回(※1)も一部参考にしつつ、過去10年のデータからレースを展望してみたい。データの分析には、JRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。

人気別成績

■表1 【人気別成績】

表1は人気別成績。過去10年の勝ち馬は、1番人気7勝、2番人気2勝、3番人気1勝という内訳。また、3着以内に入った全30頭のうち21頭を1〜3番人気が占め、好走率も4番人気以下とは大きな差がついていることを考えても、神戸新聞杯は上位人気馬が強いレースとみて差し支えないだろう。

キャリア別成績

■表2 【キャリア別成績】

表2はキャリア別成績で、ダービー出走馬と不出走馬に分けて表している。まずはダービー出走組から見ていくと、好走率を示す3項目すべてでキャリア5戦の馬が最高の数値を記録(※勝率はキャリア6戦と同率)。また、連対率と複勝率はキャリアが少ない馬ほど数値が高い関係が成立しており、ダービー出走組に関してはレースを使っていない馬ほど有利なようだ。

一方のダービー不出走組に関しては、キャリア7戦と8戦の間に好走率の溝があることが見て取れる。キャリア8戦以上で好走したのは、10年3着のビッグウィークと16年2着のミッキーロケットの2頭だけ。そして、この2頭はいずれも前走1000万下(現2勝クラス)で1着という共通項を持っている。

前走クラス別成績

■表3 【前走クラス別成績】

表3は前走クラス別成績。前走G1出走組が好走馬の6割にあたる18頭を占め、そのうち17頭の前走は日本ダービーと、まずはこの組が中心となる。次いで好走が多い前走2勝クラス出走組に関しては、表5の項で関連するデータを後述する。前走G3出走組の好走馬3頭はすべてラジオNIKKEI賞組で、そこで1着だったのが2頭、ディープインパクト産駒が2頭という内訳となっている(※11年3着のフレールジャックが重複)。そして、前走3勝クラス・オープン特別・リステッド競走から好走した計3頭には、いずれもノーザンファームの生産馬という共通項がある。

日本ダービーにおける着順別成績

■表4 【日本ダービーにおける着順別成績】

表4は、日本ダービーの着順との関連性を示すデータ。なお、表4ではダービー後にレースを挟んだ馬も集計の対象としている。その傾向は一目瞭然で、ダービーで1〜3着に入っていた馬の好走率は極めて高い。同じく4、5着でも連対率66.7%と、ダービーで掲示板に乗っていればかなり有望だ。

一方でダービー6着以下馬の好走率は決して高いとは言えず、神戸新聞杯で好走したのは26頭中3頭だけ。その3頭、14年2着のサウンズオブアース、16年3着のレッドエルディスト、17年3着のサトノアーサーに共通するのは、皐月賞には出走していないことと、ダービーの前走で重賞2着に入っていたことである。

前走2勝クラス出走馬の各種データ

■表5 【前走2勝クラス出走馬の各種データ】

表5は前走2勝クラス出走馬に関して、前走の着順別とタイム差別の成績を示したもの。まず着順に関しては、2着以内に入っておくことは必要条件と言える。そして、興味深い傾向となっているのがタイム差だ。前走2勝クラス1着の場合、0秒3以上の差をつけて勝った馬は1頭も好走できず、むしろ0秒2以下とタイム差が小さかった馬のほうが好走している。また、前走2勝クラス2着の場合は、0秒1以上負けていた14頭は1頭も好走に至っておらず、好走した2頭はいずれもタイム差なしの僅差負けだった。

【結論】

以上の分析に加えて、前回の当欄で分析した中京芝2200mの傾向を参照に、今年の神戸新聞杯でデータから有力視できる馬を挙げていこう。

もちろん、最初に取り上げるべきは二冠馬のコントレイル。圧倒的な人気も予想されるが、1番人気が非常に強いのは表1の項で確認した通り。また、ダービー1着馬も勝率80.0%、複勝率100.0%を誇り、ダービー出走馬でキャリア5戦という点も申し分ない。また、前回の当欄で確認したデータによると、鞍上予定の福永祐一騎手、父のディープインパクトともに中京芝2200mで好成績を収めている。データ上からも不動の存在とみなせそうだ。

ほかにダービー出走組では、掲示板に載った3着のヴェルトライゼンデ、5着のディープボンドはともに有力。ダービー6着以下からは、このケースで好走した馬の共通項である「皐月賞不出走」「ダービーの前走で重賞2着」を満たすマンオブスピリットの名前を挙げておく。

ダービー不出走組はキャリア7戦以内を基準に、前走ラジオNIKKEI賞出走のディープインパクト産駒であるディープキングと、前走2勝クラス1着でタイム差が0秒1だったターキッシュパレスの2頭をピックアップ。なお、前走2勝クラス2着でタイム差なしのエンデュミオンはすでにキャリア9戦というのが気になる点で、表2の項で述べた通り、ダービー不出走かつキャリア8戦以上の場合は前走を勝っておきたかった。

最後にもう1頭、前走1勝クラス出走の好走例がないことは承知のうえで、前回の当欄で掲載した表5を参照に、中京芝2200mの好走率が非常に高い「前走京都芝2400mで1〜3着」に該当するアイアンバローズを加えておきたい。


(※1)「初めて重賞が行なわれる中京芝2200mを分析!」のこと。下部の関連リンクからアクセスできます。
文:出川塁(でがわ るい)
1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。
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著者プロフィール

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