一直線に伸びていった打球はそのままバックスクリーンのスタンド席まで届いた。

9月12日にプロ入り初本塁打を放った高木渉。「手ごたえは完璧でした。ただあの打球が入るんですね…（テラス席ではなく）スタンドまで届いていました？」。打球が最後、どこまで飛んだかはわからなかったという。

8月13日、プロ入り初安打を放った高木は翌日猛打賞の活躍でヒーローに。ところが翌日、右足首を痛め登録を抹消され、再びファームでの調整が続いていた。

8月下旬に実践復帰。DHでの起用が多かった高木だが、「打撃の感覚は（8月に）一軍に昇格したときと同じくらい調子がいい」と手ごたえを感じていた。

一軍に昇格する直前の9月9日の巨人3軍との試合では4打数2安打。第二打席で左投手の高めの直球をとらえてライナーで打ち返したライト前ヒットの感触が良かった。「カウントも有利だったので良かったです。状態がいいですね」と明るい表情を見せていた。

ファームでの高木は、試合を終えるとウエイトを行い、食事のあとは寮の自室で自分と向き合う時間を大事にする。「部屋に戻ったら、自分の打撃を見直しや、相手投手の研究などを気づいたらしていますね。ルーティーンの1つになっています」

まさに四六時中、野球中心。当たり前といったらそれまでかもしれないが、野球に向き合い、取り組む時間が昨年に比べ格段に多くなっている。

「プロ初ホームランは（自分の描いていたイメージより）早く打てたと思います。8月の半ばにけがで離脱してしまいチームに迷惑をかけてしまった。それを取り返すことができればいいですが、自分の若さを活かして精一杯プレーしたいです」

CAR3219フィールドで日々鍛錬を重ねた結果、福岡Pay Payドームのホームベースから122M先にある高さ5・84Mのフェンスを越える大きな弧を描いた高木。故郷で放ったこの一発を自信に、2本目、3本目がこの男のバットから生まれることを期待したい。