【新日本プロレス】「この高揚感、満足感、カタルシス!」8.29神宮決戦を大総括!

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【新日本プロレスリング株式会社】

プロレス界随一の論客・“GK”金沢克彦氏の独特の視点から、現在進行形の新日本プロレスに関するコラムを続々レポート(不定期連載)!!

「この高揚感、満足感、カタルシス!」内藤が王座奪還!“忘れかけていたハッピーエンド”で幕を閉じた、8.29神宮決戦を大総括! 

テキスト/金沢克彦

※以下、コラムの「序盤部分」をSportsnaviで無料公開!

球場を見渡すと、ソーシャルディスタンスを守ったカタチで観客が満遍なく入っている

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8月29日、新日本プロレスが21年ぶりに開催した明治神宮野球場(以下、神宮球場)での大会。屋外会場においてもっともリスキーであり、人間の力がまったく及ばないのは天候面。ただし、常日ごろ真正面から徹底して取り組んできたコロナ対策、それを厳守して会場観戦するファンと取材するマスコミ……こういう行ないが天にも通じたのか当日は快晴。しかも、日中の最高気温は35度を超える猛暑日というおまけもついた。

私が会場入りしたのは、開始1時間前の午後4時だった。基本、選手との接触は禁止されているので事前の取材はできないから、1階の通路を歩いてみたり、内野スタンドからリング周辺の様子を垣間見たりしながら、時間をつぶしていた。

それにしても蒸し暑い。21年前もこんなに暑かったかなあとか思い出そうとしても、さすがにそのときの皮膚感覚までは憶えていない。

実際、試合開始の午後5時前に500ml入りのミネラルウォーターを1本空けてしまったので、熱中症対策として自販機でもう1本購入しておいた。

試合開始時刻になって、ネット裏の空席部分を探して座り観戦態勢に入った。プロ野球はシーズン中だし、バックネットの取り外しはできない。そういう事情もあって、イチバン高い位置までネットの張ってあるバックネット裏前方席のチケットは売っていなかった模様。

ただ、ネットの網目越しに観戦することをそれほど気にしなければ、リング上とバックスクリーンに設置されている大型ビジョンが交互に同時進行で観られるので、攻防がわかりやすい。

球場を見渡すと、ソーシャルディスタンスを守ったカタチで観客が満遍なく入っている。フィールド(アリーナ)のイス席は内野部分のみに設置。スタンド席は外野も開放されていて、そこにも結構お客さんが入っている。

主催者発表の数字は、4710人。政府から大会場でのイベントはマックス5000人までと最近あらためて通達があり、この規制は9月末まで続行と発表されたばかり。

いま現在の社会情勢(コロナ禍、熱中症対策)が不安でいっぱいのなか、よくここまで集客したなあと感心してしまう。

そんなことを思っていると、すでに日が落ちはじめているためか、暑さを感じることもなく、快適な気温になってきた。

第1試合はマスター・ワトvs金丸義信。これがワトの出世試合になるかと思いきや、そうはいかないのが新日本マット。

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第1試合はマスター・ワトvs金丸義信のシングルマッチ。並みいる先輩を押しのけてこの大舞台に立ったワトだから、大抜擢である。これがワトの出世試合になるかと思いきや、そうはいかないのが新日本マット。空中戦、打撃で金丸を追い込みながら、勝負どころでクルリと丸め込まれ3カウントを奪われた。

さすが、金丸という結末だった。ノア在籍時代の2000年代、団体の垣根をこえて獣神サンダー・ライガーとライバル関係にあったのが金丸。当時と変わらぬ上手さにプラスして、なによりコンディションがいい。

出る杭は打たれる、決して期待通りとはいかないところも新日本らしさだろう。
そういう意味では、第2試合も同様だった。

(過去の変則マッチの)そのほとんどが、アントニオ猪木が絡んだもの。だからこそ、それもまた「新日本の原点」だとオカダは主張した。

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あえて「新日本プロレスらしくない試合」として、『KOPW2020』開催を提唱したのがオカダ・カズチカだった。

さかのぼれば新日本マットでは、ランバージャックデスマッチ、ネイル(釘板)デスマッチ、フェンスマッチ、1対3の変則マッチ(アントニオ猪木vs国際軍団)など、既成概念を覆す奇抜な形式の試合も行なわれてきた。

そのほとんどが、アントニオ猪木が絡んだもの。だからこそ、それもまた「新日本の原点」だとオカダは主張した。今年の2.2札幌(北海きたえーる)のメイン終了後、オカダが「アントニオ猪木――ッ!!」と叫んだなかには、そういう思いも込められていたのかもしれない。

ともかく提唱者のオカダが神宮のリングにいなければ話にならない。それは2.26後楽園ホールのメインイベント、BULLET CLUB(高橋裕二郎、外道、邪道)との1対3変則マッチを制して突破した。
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著者プロフィール

1972年3月6日に創業者のアントニオ猪木が旗揚げ。「キング・オブ・スポーツ」を旗頭にストロングスタイルを掲げ、1980年代-1990年代と一大ブームを巻き起こして、数多くの名選手を輩出した。2010年代以降は、棚橋弘至、中邑真輔、オカダ・カズチカらの台頭で再び隆盛を迎えて、現在は日本だけでなく海外からも多くのファンの支持を集めている。

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