夏の新潟開催終盤の芝コースで「買い」の種牡馬は?
【2016/9/4 新潟11R 新潟記念(G3) 1着 17番 アデイインザライフ (父 ディープインパクト)】
夏の新潟開催・芝コース種牡馬成績(着別度数順)
■表1 【夏の新潟開催・芝コース種牡馬成績(着別度数順)】
そのディープインパクトも含めサンデーサイレンス直仔の種牡馬(競走馬からみれば父の父サンデーサイレンス)が多くの勝ち鞍を挙げており、ハーツクライ、ダイワメジャー、そしてステイゴールドと4位までを独占。ほかにマンハッタンカフェ、マツリダゴッホもランクインを果たしている。
夏の新潟開催(芝)におけるディープインパクト産駒の開催週・コース別成績
■表2 【夏の新潟開催(芝)におけるディープインパクト産駒の開催週・コース別成績】
注目したいのはコース別成績だ。開催1〜2週目は外回りコースの3着内率が50.7%、内回りコースでは同29.6%と、序盤戦は圧倒的に外回りコースの好走確率が高かった。それが3〜4週目になると内外の差がほぼなくなり、5週目以降は内外が逆転。外回りコースで3着内率28.6%にとどまるのに対し、内回りコースでは同40.0%を記録している。夏の新潟序盤戦とは違うタイプの馬、別の言い方をすれば「長い直線で切れる」といった一般的なディープインパクト産駒の印象には当てはまらない馬が、より高確率で好走していると言ってもいいだろうか。いずれにしても、最終週のディープインパクト産駒は特に芝・内回りのレースで注目したい。
夏の新潟開催(芝)における種牡馬開催週別成績(表1の2〜4位)
■表3 【夏の新潟開催(芝)における種牡馬開催週別成績(表1の2〜4位)】
夏の新潟開催5週目以降・芝コース種牡馬成績(3着内率順、出走15回以上)
■表4 【夏の新潟開催5週目以降・芝コース種牡馬成績(3着内率順、出走15回以上)】
一方、2位に入ったディープブリランテは、夏の新潟(芝)全体の3着内率は19.0%止まりだったが、5週目以降は同37.0%と、明らかに終盤戦の成績が良い。細かくみると、1〜2週目は【1.2.1.22】3着内率15.4%、3〜4週目【1.0.1.29】同6.5%、そして5週目以降【2.5.3.17】同37.0%となる。ディープブリランテ自身は良馬場で日本ダービーを制したが、稍重〜不良馬場でも【1.1.1.0】(国内)。代表産駒のモズベッロは、パワーを要する馬場で行われた今年の宝塚記念で12番人気ながら3着に好走しており、この成績も納得のいくところだ。
もう1頭、該当馬は少ないがグラスワンダーも開催全週に比べ5週目以降の3着内率が高い種牡馬として挙げられる。こちらは1〜2週目が【2.0.1.11】3着内率21.4%、3〜4週目は【0.0.1.14】同6.7%、そして5週目以降は【1.2.2.13】同27.8%となる。グラスワンダーといえば、ラスト1ハロン12秒7を要しながらもスペシャルウィークをねじ伏せた宝塚記念(1999年)の走りが印象的。代表産駒のアーネストリー(宝塚記念)やスクリーンヒーロー(ジャパンC)、サクラメガワンダー(宝塚記念2着)も切れよりは持続力、先行力で勝負するタイプだった。また、今回の集計期間外にはなるが、夏の新潟終盤戦では2008年にセイウンワンダーが新潟2歳Sを制している。
以上、夏の新潟開催の種牡馬成績を調べてみた。最終週の開催に向けては、表4で5週目以降の好走確率が高かったディープブリランテ、グラスワンダーの産駒がいれば注目。ディープインパクト産駒なら、内回りコースのレースで適性がありそうな馬が見つかればおもしろい。ほかに、表3〜4で5週目以降の落ち込みが少なかったり、わずかでも良化したりしている種牡馬の産駒も引き続き狙っていいだろう。また、表4本文で何度か「宝塚記念」が出てきたことから、種牡馬を問わず「宝塚記念のようなレースが向きそうなタイプ」を探す手もありそうだ。
文:浅田知広(あさだ ともひろ)
1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。
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