パ・リーグ70年の歴史を「ファッション」から振り返る。【ユニフォーム着こなし解剖】
【(C)パ・リーグインサイト】
■終戦〜
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しかし、当時の物資不足の煽りを受けユニフォームの素材やつくりが悪いものが多く、すぐに破れたりと使用期間が短くなることも珍しくなかった。そのたびにデザインを新調するので、ユニフォームの種類がやたらと多かったり、縦縞の布が余っていたからという理由で、特に意図はなく縦縞のユニフォームにしたりと、球団のブランド・アイデンティティが曖昧な時期だったようだ。
■1970年代〜
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この頃は特に新しい試みが多く、今では見ないような派手なカラーリングのユニフォームやベルトレス式のズボン、プルオーバーなど様々なスタイルが取り入れられた。
1950年頃はどこの球団もモノトーンなデザインで、米メディアに「葬式のようだ」と言われるほどだったようだが、この頃からそれぞれの球団のカラーが前に出されるようになってきた。この時代のユニフォームは「復刻ユニフォーム」として球場で配布されていることも。そのため馴染みがある人も多いのではないだろうか。
■2000年代〜
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メッシュ生地の導入により軽量化が進み、機能性が向上。昇華プリントのおかげでグラデーションなどの細かなデザインの表現が可能になり、今までよりもさらに自由で奇抜なユニフォームが各球団から登場している。
また、刺繍ロゴ部分も昇華プリントにすることで、更なる軽量化を計った。2009年にはWBCの日本代表ユニフォームも昇華プリントになっている。
■2020年
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そういったなかで、現代の流行を各々が取り入れ、自由でスタイリッシュな着こなしを楽しんでいるようだ。特に20代から30代の選手は、近年の「ノームコアファッション」や「スポーツカジュアル」などからも見える「シンプルさ」と「適度な着崩し」がユニフォームにも反映されているように見える。
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1950年から最近までのユニフォームの変化を追ってみると、流行の移り変わりに加え、技術の進化やメーカーの苦労もわかりやすく見えた。今後の流行や素材の変化によっては、さらに変化が出てくる可能性もある。選手のプレーにも注目しつつ、着こなしなどの意外な部分にも注目してみると、よりプロ野球がおもしろく見れるかもしれない。
また、今回お話を聞かせていただいた野球殿堂博物館では、記事中で紹介したユニフォームや、アマチュア・プロ野球の歴史とこれまでの変遷、今見ても胸が熱くなるような国際試合の歓喜の瞬間などを振り返ることができ、選手個人や球団から寄贈された貴重な物品も展示されている。更に詳しく知りたい方、実物を見てみたい方は、ぜひ足を運んでみてほしい。
取材協力・野球殿堂博物館 学芸員 井上 裕太さん
参考文献・『プロ野球ユニフォーム大図鑑』
『プロ野球ユニフォーム図鑑1934〜2013』
文&イラスト・出内テツオ
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