進化を続ける優良助っ人、ステフェン・ロメロ。データから見える大活躍の理由とは?
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移籍初年度から、チームに欠かせない存在となりつつあるロメロ選手
そんなロメロ選手だが、オリックス時代に相次ぐケガに悩まされてきたこともあってか、今季も序盤戦においては、もう1名の助っ人大砲であるジャバリ・ブラッシュ選手と併用されるケースも少なくなかった。そんな中で、リーグ1位タイ(8月9日終了時点)の14本塁打、同2位の打率.348という数字を記録し、成績の面でも優秀な数字を残している。
優秀な数字を残していた2019年から、さらに打撃内容を進化させている
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その一方で、打点に関しては3年続けて60点台と、その打撃能力からすればやや物足りないものとなっている。だが、昨季はわずか81試合で63打点を挙げている点は特筆もので、143試合に換算すると約111打点と、2019年の打点ランキングにおける第3位に相当する数字だ。
以上のように、オリックス時代から優れた打撃内容を示していたロメロ選手だが、やはり、OPS1.100を超える破格の数字を残している今季の活躍ぶりは目を見張るものがある。今回は、各種の指標や、コース別や球種別の成績、打球方向といった要素を基に、ロメロ選手が今季見せている活躍の理由について、より深く掘り下げていきたい。
ロメロ選手が9人いれば、1イニングに1点ずつ入る!?
野手の得点能力を示す数値である「XR(eXtrapolated Runs)」、ある打者9名で打線を構成した場合、1試合平均で何点取れるかを示す「XR27」、打率よりも長打と四球の数を重視した指標であり、“第二の打率”とも呼ばれる「SecA(Secondary Average)」という3つの指標におけるロメロ選手の成績は、それぞれ以下の通りとなっている。
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だが、そのXRをもとに計算されるXR27においては、その打撃内容に即した変化が生じているといえよう。直近の2年間では1シーズンごとに約2点ずつ数字を向上させており、2020年にはロメロ選手が9名いれば、1イニングに1点以上が入るという領域にまで達している。盗塁数も評価対象となるXR27において、今季0盗塁のロメロ選手がこれだけの数字を記録している事実は特筆に値するだろう。
また、SecAにおいても昨季までに比べて.160以上の差が出ており、こちらの面でも長足の進歩が見られる。長打力、出塁率ともに、ロメロ選手にとっては従来からの長所といえる分野だったが、今季はそれらの武器をさらに研ぎ澄ませているということが、OPSを含めた各種の指標にも表れている。
ストライクだけでなく、ボールゾーンの球すらも打ち返す
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また、低めのボールコースの球に対しても一定の打率を記録しており、ローボールヒッターの傾向も持っているといえる。それでいて、高めの球に対してもストライクゾーンであれば.300以上の数字を記録しており、助っ人打者に対して釣り球として用いられやすい、真ん中高めのボール球に対しても.333と言う数字を記録。総じて穴が少ない打撃を見せていることが、今季の好成績にもつながっているといえよう。
得意としているコースの多いロメロ選手だが、アウトコースの低め、インコースの真ん中という2つのコースに対しては、数字の面でもやや苦しめられているようだ。インコース、アウトコースともに他の高さに来る球は得意としているだけに、この2つのコースへの対応策を見いだせれば、さらなる打撃成績の向上も見込めるかもしれない。
球種別の打率にも表れる、その対応力の高さ
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大半の球種に対応している一方で、シュートに関してはやや対応に苦慮しているとも取れる数字が残っている。ただ、シュートに近い球種であるツーシームやシンカーに対しては、全球種の中でも最も高い打率を記録しているという面もある。それだけに、今後改善が見られる可能性も大いにあるのではないだろうか。
長距離砲らしく、安打は左方向が多くなってはいるが……
その傾向がより顕著となっているのが本塁打の方向で、右方向への本塁打が2本だったのに対し、中堅方向と左方向がそれぞれ6本と、センターから左への本塁打に関しては同数となっている。柵越えも含めてセンター方向に強い打球を飛ばすことができるという点も、ロメロ選手が持つ大きな特徴の一つだ。
本塁打の内訳にも、高い打撃技術が反映されている
右方向への2本塁打は、いずれも外角真ん中へのストレートを逆方向に流し打ったもので、無理に逆らわずにスタンドまで持っていく打撃技術とパワーの詰まったもの。先述の通り、逆方向への安打の数自体は少ないものの、本塁打の数自体は引っ張ってレフト方向に運んだものと1本しか違わない点もポイントだ。
そして、左方向と並んで多かった中堅方向への本塁打は、ストレートが4本、ツーシームが1本、スライダーが1本と、速球系の球が多くなっていた。投球コースに関してはアウトコースが3本、インコース高めが2本、真ん中低めが1本とさまざまであり、速い球を狙った際のタイミングの合わせ方の上手さと、先述した各コースへの対応力の高さが反映された内容といえる。
走攻守すべてにおいて全力の、まさに“優良助っ人”と呼べる存在
引っ張り専門ではなくセンター方向にも強い打球を飛ばすことができ、コース別、球種別の打率でもそれぞれ穴が少ない。各種の数字においても例年以上に優れた数字が記録されている今季のロメロ選手は、ケガに悩まされることさえなければ、かなりの打撃成績が期待できるのではないだろうか。
豪快な打棒とたびたび見せるハッスルプレーで、加入初年度からチームに欠かせない存在となりつつあるロメロ選手。故障もあって高い実力を持ちながらこれまで個人タイトルとは縁がなかったが、開幕から圧巻の打棒を見せている2020年はまさに大チャンスといえる。今季こそケガに悩まされることなく、2年ぶり2度目の規定打席到達を果たし、このままタイトルを争うような活躍を見せ続けてほしいところだ。
文・望月遼太
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