有村智恵ー15年目の原点回帰

チーム・協会

【<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>】

 プロ15年目を迎えた有村智恵。新型コロナウイルス感染症の影響で試合中止が続く今季、改めてアスリートの使命を自問自答する毎日を送っている。JLPGAツアー第2戦・NEC軽井沢72ゴルフトーナメントを見据え、新たな決意を語った。 (中山 亜子)

――次戦へ向け、どのような調整を行っているか。
 「コロナ禍で予断を許さない状況が続く毎日。当然、できることは限定されます。今、取り組んでいることは実戦形式の練習。ラウンド数を増やし、精神面を含め、試合に近い状態でプレーしている。第1戦のアース・モンダミンカップでは試合勘、勝負勘が少し鈍っていた。たとえば、いいボールを打ってもピンへ寄っていかないことが結構あったと思う。練習はずっと続けていても、丁寧にプレーしすぎていたのかもしれません。まっすぐなボールばかりを打とうとしていた。もともと、試合を重ねて調子を上げていくタイプです。試合で感性を磨き、状況にあわせながら、いろいろなボールを打って調整してきた。感覚に身を任せ、感性を研ぎ澄ませていく」

――試合とは、いったい。
 「人生そのものです。いろいろな気持ちを味わえる。また、試合ならではの緊張感が好きです。そうした状況でいいショット、いいパッティングができたときの快感は、何物にも代えがたい。プロゴルファーの特権ですね」
 「試合がないと一人の時間が長い。ツアーで会場にいるだけで、不思議なことに家族団らんの気持ちがしてきます。コースでは選手、キャディーさん、スタッフの皆さんと会話をすることが特に楽しい。アースは残念な結果でも、プレーできたことがうれしくて、楽しくて…。第2戦まで結構、間隔があったからせっかく気持ちが高ぶってきても、どうやって過ごしたらいいーちょっと、何もする気が起こらない。1週間ぐらい、クラブを握らなかった」

――今シーズンの目標は。
 「優勝したい気持ちは当然ある。今年はもっと高い目標を立てていた。しかし、ここまで、コロナでいろいろと考えさせられました。結果より、みんなが元気で幸せだったらいいとか…」
 「アースでは渡邉彩香さんが優勝。感動しました。ドラマがありました。ああいう試合を見て、ありがたいと思った。次は私も気持ちを込めて、白熱した試合を皆さんにみてほしい。できることなら、断トツで優勝したいですね」

――2011年7月、スタンレーレディスゴルフトーナメントでは、3万年に一度の奇跡ー伝説のアルバトロス&エースを同一ラウンドで達成しました。
 「ちょうど、東日本大震災の年。運が味方したことより、皆さんが元気になるようなニュースをお届けできたことがうれしかった。そのために私が選ばれたと思っています。あの年は、なでしこジャパンがワールドカップで世界一に。明るい話題をアスリートは届ける使命があることを学んだ。自分がすごいことをしたことより、プロとして、もっと意味があるのかなと思っていました」
 「(2011年スタンレーのような)奇跡のショットは日々、積み重ねの証です。コツコツと頑張った先に、奇跡があればいいですね。どでかいことを成し遂げる人は日々、丁寧にすべてを行う。私も、たくさんの経験から、丁寧に向き合うこと以外の方法はないと感じます。一打にしっかりと向き合う。いいプレーをする一番の秘訣です」

――コロナ禍でのアスリートとは。
 「感謝を忘れないことです。私も日々、医療の最前線でお仕事をしてくださっている関係者の皆さんへ感謝をしています。行動が限定される新しい生活様式。楽しみを見つけるのは難しいと思います。だから、私たちがドキドキして、わくわくするようなプレゼントをしたい。全国に、ゴルフを楽しみにしてくださるファンが大勢います。皆さまに楽しんでもらえるよう、いいパフォーマンスをしたいです。試合が純粋に楽しみで仕方がない。初心に帰った気持ちがします」
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