【新日本プロレス】EVILとの2冠王座戦目前! 高橋ヒロムにインタビュー!

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【新日本プロレスリング株式会社/タイコウクニヨシ】

7月25日(土)『SENGOKU LORD in NAGOYA』愛知県体育館にて、“L・I・Jの裏切者”EVILの持つIWGPヘビー&IWGPインターコンチネンタル王座に初挑戦する、“IWGPジュニアヘビー級王者”高橋ヒロム。

IWGPジュニア王座を持ちながらIWGPヘビー級戴冠を“夢”と公言してきたヒロムにとって、キャリア史上最大のチャンスが到来! しかし、その相手は非常に複雑な思いを抱えるEVIL。

はたして、いまヒロムは何を考え、何をやろうとしているのか? 7.25愛知決戦目前、スペシャルインタビュー!

撮影/タイコウクニヨシ

EVILは現状では周りにチヤホヤされてるかもしれないけど、ジェイやKENTAやファレたちが帰って来たときに、アイツはどういう位置になるのか?

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――さて、ヒロム選手、まず今回のEVIL選手の“裏切り”に対し、L・I・Jのファンは大きな衝撃を受けています。そういった声が耳に入っていると思いますが。

ヒロム もちろん、みんなと同じように衝撃を受けてますよ。俺たちはずっと切磋琢磨してきた仲だし、今回のことが起こる前に、コッチに何か覚悟があったわけじゃないので、いざEVILにああいう行動をされて複雑な気持ちはありますね……。

――EVIL選手はバックステージで「ロス・インゴのオマエら全員、腐りきってんだよ。虫唾が走りに走りまくってるんだ」という強烈な発言もありました。

ヒロム べつに腐りきってるだとか、虫唾が走ってるだとか、アイツのそんな言葉は何一つ響いてないですよ? じゃあ、具体的に「何が腐りきってるんですか?」と。「もっと具体的に言ってみろ」と言いたいですよ。……まあ、そのへんに関しては、ここからが“見もの”なんじゃないですかね。

――見ものというのは?

ヒロム いま、BULLET CLUBに日本人しかいない中、二本のベルトを獲ったEVILは現状では周りにチヤホヤされてるのかもしれないけど、ジェイ(・ホワイト)やKENTAや(バッドラック・)ファレたちが日本に帰って来たときに、はたしてアイツはどういう位置になるのか。俺はそこを楽しみにしてますよ。

【新日本プロレスリング株式会社】

――もともといたメンバーが合流したときに、どういう立ち位置になるかという部分ですね。

ヒロム 他のメディアで、EVILが俺に対して「『先を越された』とでも思ってるんじゃないか?」「いつまでも内藤哲也と一緒でいいのか?」っていうコメントを出してたみたいですけど、その言葉イコール、アイツ自身が内藤哲也の「下だった」ということを認めたのと同じですよ。そのへんは思わず本音が出たんだなって。
 
――内藤選手の下から脱却する手段が、BULLET CLUB入りだったのかもしれないですね。
 
ヒロム だから、EVILにとって、日本人しかいない現状のBULLET CLUBは、それはそれは居心地がいいことでしょう。ただし、いずれ居心地が悪くなって逃げ出したとしても、もうL・I・Jには戻れないですよ? それと同時に「L・I・Jを裏切った自分自身も、いつかBULLET CLUBの人間に裏切られる日が来るかもしれないよ?」とも俺は思っちゃいますね。

EVILとしては、けして気持ちのいい勝ち方ではないと思いますけどね。本人は“そういうもの”を嫌ってきた人間だと思うので

【新日本プロレスリング株式会社/タイコウクニヨシ】

――EVIL選手は7.12大阪城ではディック東郷選手の介入もあり、内藤選手から二冠王座を奪取しました。かつて内藤選手もIWGPヘビー初戴冠の際、同じような戦法を取っていたので、EVIL選手はあえてやったようにも思えますが、ヒロム選手はどう捉えていますか?

ヒロム そこがプロレスのルールの難しいところというか。反則が5カウントまで許される、そしてレフェリーが絶対的な権限を持っている。このふたつを利用し、EVILはベルトを手中に収めたわけで、その結果がすべてなんじゃないかなって俺は思います。ただ、EVILとしては、けして気持ちのいい勝ち方ではないと思いますけどね。

――というのは?

ヒロム 本人はどちらかというと、“そういうもの”を嫌ってきた人間だと思うので。L・I・Jにいたときの彼のファイトスタイルを観て、俺はそう思いますけどね。試合中にイスを使うことはあっても、最後は真っ向勝負でしたから。

――『NJC』からEVIL選手は手段を選ばないファイトスタイルになりましたが、そこにはある種の覚悟が見える気もしますが。

ヒロム う〜ん。本人がこんな勝ち方で本当にうれしいのかなとは思いますけどね。でも、どんな勝ち方でも、勝ちは勝ちですから。「プロレスとはなんなんだ?」って、考えさせられる試合だったと思います。

――ベルトの価値は王者が築く部分があると思いますが、EVIL選手が保持している二本のベルトは、ヒロム選手にはどう映っていますか?

【新日本プロレスリング株式会社/タイコウクニヨシ】

ヒロム たしかに「ベルトの価値は王者が築く」ってよく聞きますけど、俺にはシックリきてなくて。逆にその言葉自体がベルトの価値を下げてる気がするんですよね。大前提としてIWGPとつくものは世界最高峰のものなんで、価値もクソもないというか。

――価値を築く云々ではなく、最高峰のものだ、と。

ヒロム 俺の中で新日本といえばIWGPジュニアヘビー、そしてIWGPヘビーのベルトなんですよ。この二つのベルトを、新日本のレスラーは目指すものだと思うし。言ってしまえば、誰が持ってようが、王者がどんな扱いをしようがどうでもいい。価値をどうこう言わずとも、そんなものあるに決まってるじゃないですか。世界最高峰のベルトに、わざわざ価値なんて言葉はいらないですよ。

いろんな思いで集中できない。もっと自分のペースをつかみたいんですけど、EVILのペースにハマッてるんじゃないかっていうのが、凄くイヤですね

【新日本プロレスリング株式会社/タイコウクニヨシ】

――本来、ヒロム選手は内藤選手と3.3大田区の『旗揚げ記念日』で、ノンタイトルながら“IWGP王者対決”を行なう予定でした。ヒロム選手は勝った暁には、あらためて内藤選手の王座に挑戦すると宣言していた中で、EVIL選手が二冠王者となったわけですが。

ヒロム ……まあ、EVILがどこまでのことを考えて、裏で動いてきたのか。実際のことはわからないですけど、このやり方には正直イライラしますね。そもそも、俺はプロレスっていうのはなんでもアリだって思ってるし、「勝てばなんでもいい、ベルトを獲った者が勝者だ」って考えなんですよ。でも、イライラしてしまうのは、これをやってるのがEVILだからなのかも知れないですね。

――相手がEVIL選手だけに、どうにも割り切れない部分があると。

ヒロム よくわからないですけど、7月25日(愛知大会)に思い切りぶつかれば、その答えがわかると思うし、そこをたしかめたい気持ちは強いです。

――イライラという部分では、ヒロム選手は12日にベルトを獲った直後のEVIL選手に対し、リング上で「裏切るってどういう気持ちだ!?」と怒りをぶつけてましたね。

ヒロム EVILは裏切った瞬間にニヤリとした表情を見せましたよね。L・I・Jのときは見せなかった表情を出したEVILが、どういう気持ちなのか、単純に知りたかったのかもしれないですね。でも、その直後に俺は「オマエの裏切りなんかどうでもいいんだ!」って言ってますから。

――裏切ったことだけで、イライラしてるのではないと。

ヒロム そこが「複雑な感情」という部分ですね。いろんな思いがあって、集中できない。俺としては、もっと自分のペースをつかみたいんですけど、EVILのペースにハマッてるんじゃないかっていうのが、凄くイヤですね。

なんで俺がL・I・Jを抜けてBULLET CLUBに行かなきゃいけないのか?

【新日本プロレスリング株式会社】

――ファンの一部では、ヒロム選手もEVIL選手を追ってBULLET CLUBに入るんじゃないかという憶測もありました。
 
ヒロム それはさっきも言った、EVILが「いつまでも内藤哲也と一緒でいいのか?」って投げかけたからですよね。まあ、そこは20日の後楽園で観てもらったとおりですよ、「俺が行くわけねえだろ!」と。。

――ヒロム選手は7.25愛知の前哨戦となる7.20後楽園(6人タッグ)の試合前、BULLET CLUBのTシャツを着用した姿を見せますが、これは駆け引きであり、その直後に奇襲攻撃を仕掛けました。

ヒロム フフフ。なんで俺がL・I・Jを抜けてBULLET CLUBに行かなきゃいけないのか? もし仮にL・I・Jを抜けるとしても、あんなEVILみたいなつまらない裏切り方はしないですよ! 抜けるとしたら、俺は正々堂々、真正面から「L・I・Jを抜けます!」って言って出ていきますから。

――そもそも、ヒロム選手は「L・I・Jに入ったのは、内藤哲也とEVILとシングルをやりたいから」と発言されてますよね。

ヒロム そうです。あの二人と一番近い場所にいて、来るべきタイミングで戦いたいと思ったからL・I・Jに入ったんです。その中で、思いがけないかたちでEVILが抜けてしまった。でも、今回こうしてEVILとシングルをやることになった。この裏切りは、高橋ヒロムという物語の中ではおもしろい展開になったのかなと、いまはそういうふうに受け取るしかないんじゃないですかね。

……俺の中では、IWGPヘビーとIWGPインターコンチネンタル王座を獲ったら、内藤哲也とやる前にオカダ・カズチカとやりたいなと。

【新日本プロレスリング株式会社/タイコウクニヨシ】

――『NEW JAPAN CUP』についても伺わせてください。ヒロム選手は、準決勝でオカダ・カズチカ選手に惜敗しました。試合後のオカダ選手からは、ヒロム選手の夢(IWGPジュニアを持ちながら、IWGPヘビー級王者を戴冠)に関して、「オマエがやろうとしてることは、そんな簡単にできることじゃないんだよ」という言葉がありましたね。

ヒロム ……響きましたよ。あの言葉は、もの凄い響きました。響きましたけど、簡単な夢だなんて一回も思ったことはないし、簡単な夢だったら見ないよって。簡単じゃないからドキドキするし、ワクワクするし、おもしろいんじゃないのかなと。俺はそう思います。

――なるほど。

ヒロム だから、あんまり勝ったあとのプランだとか、そういうことは言うのは止めようと思ってたんですけどね。……俺の中では、IWGPヘビーとIWGPインターコンチネンタル王座を獲ったら、内藤哲也とやる前にオカダ・カズチカとやりたいなと。

――おお、そうですか。

ヒロム 俺がIWGPヘビーに挑戦することに関して、オカダ選手は「俺がいつでも相手になってやる。内藤さんじゃねえぞ。この俺だ」って言いましたけど、彼がチャンピオンとして俺をチャレンジャーに指名するのじゃなく、「逆に俺がおまえの前に立ってやる」と。王者・高橋ヒロムvs挑戦者・オカダ・カズチカ、これをやりたいなと思ってます。

【新日本プロレスリング株式会社】

――これまた実現したら、とんでもないことになりますね。
 
ヒロム ただ、いまは正直そこまでは観てないです。いまは7月25日にEVILに勝って、IWGPジュニアを含めた三冠王者になることしか考えてないです。オカダ選手に関しては、いまはこう言いましたけど、べつに深くは考えているわけではない。ただ、ベルトを獲ったときに見えてくるのは、オカダ・カズチカなのかなとは思いますね。

――それだけ、あのオカダ戦はキャリアの中でも大きいものだったというか。

ヒロム ものすごく大きいです。正直、オカダ・カズチカという男はいつでもIWGPヘビーのチャンピオンになれる人間なんですよ? 何度もベルトを獲ってるし、最多防衛もしている。「新日本プロレスのチャンピオンは誰ですか?」って聞いたときに、確実に名前が上がってくる人間。その男と戦えたことは、俺にとってものすごく大きいことで。

――その新日本プロレスの代名詞のような選手と初めてシングルで勝負した。

ヒロム あと、俺はいままでさんざんIWGPヘビーのベルトを口にしてきましたけど、実際はその“距離”がわからなかったんです。

――IWGPヘビー級王座までの“距離”ですか。

ヒロム ハイ。でも、オカダ選手と戦ったことで、その夢の距離が初めて掴めたというか。「こんなに遠いのか、こんなに凄いのか……」って思いましたよ。でも、ジュニアとして、俺はそれをやり遂げなければと思っているので。なぜなら、「ジュニアはヘビーの下じゃない」って、俺はずっと言い続けてきましたから。

――そこに関しては使命感がある、と。

ヒロム だから、今回の7.25愛知は、全ジュニアファンのためにも負けられない試合なんです。絶対に負けられない試合なんです。なんでかって、IWGPジュニアヘビーが世界で一番凄いベルトだって証明するために、勝たなきゃいけないんですよ!

オマエが何度やっても勝てなかったあの石井智宏に、俺は勝ってるんだよ? その試合を、目を見開いてしっかりと観ておいたほうがいい

【新日本プロレスリング株式会社/タイコウクニヨシ】

――今回のEVIL戦は、ヒロム選手にとって夢に近づく最大のチャンス到来というか。

ヒロム ええ。近づいてはいるんですけど、やっぱり複雑な部分もあって、まだ実感が沸かないんですよね。どうしても、ベルトだけじゃなくEVILという存在が見えてしまうというか。もし、これがEVILじゃなかったら、IWGPヘビーとインターコンチネンタル、この二つだけに素直に目線が行ってると思うんですけど。

――それだけEVIL選手が大きな存在だ、と。

ヒロム イライラもするし、モヤモヤもするし、ドキドキもするし、戸惑ってる自分がいる。でも、この結局のところ、俺はこの状況を楽しんでるのかなって。

――EVIL選手が7.12大阪城の一夜明け会見で、ヒロム選手に対して「オマエ、病み上がりだろ? その首で俺の攻撃耐えられんのか?」と挑発したことにつ
いては?

ヒロム そこは「いまさら?」って感じですね。もう復帰して半年以上も経ち、結果を残してきても、まだ首のことを言ってくるということは、EVILは復帰してからの俺の試合を観てないんだなあって。

――チェックが足らないんじゃないかと。

ヒロム 7月25日のタイトルマッチの前に俺の試合を観ておきなさい! オマエが何度やっても勝てなかったあの石井智宏に、俺は勝ってるんだよ? その試合を、目を見開いてしっかりと観ておいたほうがいい、よく、覚えとけ。

【新日本プロレスリング株式会社】

――EVIL選手は「アイツの攻撃パターンはお見通しだ」って発言していましたが、同門だったからこそ手の内を知られているという危機感は?

ヒロム べつに手の内も何も、お互い様でしょう。……というか、当日の俺は何をするか、わからないですよ? L・I・Jという、ベビーでもヒールでもないユニットの本当の怖さを教えてあげますよ。

――今回は二冠王座戦ということを差し引いても、本当にスペシャルな試合になりそうですね。

ヒロム 間違いないですね。俺がずっとシングルマッチで闘いたかった相手ですから。それに加えて、俺の夢もかかってる。こんな最高な舞台はないですよ。「このチャンス、逃すわけにはいかない!」って思います。『NJC』の戦いが、俺に勇気と自信を与えてくれたというか、いまの勢いだったら間違いなくEVILに勝てますよ。間違いなく! 愛知で、俺が三冠王者になります!

【新日本プロレスリング株式会社/タイコウクニヨシ】

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著者プロフィール

1972年3月6日に創業者のアントニオ猪木が旗揚げ。「キング・オブ・スポーツ」を旗頭にストロングスタイルを掲げ、1980年代-1990年代と一大ブームを巻き起こして、数多くの名選手を輩出した。2010年代以降は、棚橋弘至、中邑真輔、オカダ・カズチカらの台頭で再び隆盛を迎えて、現在は日本だけでなく海外からも多くのファンの支持を集めている。

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