ラ・リーガに帰ってきた知将、マヌエル・ペジェグリーニ

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ベティスの新監督に就任することが決まったチリ人指揮官は、来季ラ・リーガ・サンタンデールで通算10シーズン目を迎えることになる。


7月9日、ベティスは2020/21シーズンからトップチームを率いる新監督としてマヌエル・ペジェグリーニと契約したことを発表した。66歳のチリ人指揮官はヨーロッパにおいて豊富な指導経験を持ち、スペインでは過去に3つのクラブを率いている。

近年はイングランドのマンチェスター・シティやウェストハム・ユナイテッド、中国の河北華夏を率いていたが、彼の名がヨーロッパで知れ渡ったのは2004年夏に契約したビジャレアルでの成功がきっかけだ。彼の指揮下でビジャレアルは初のチャンピオンズリーグ出場を果たしただけでなく、初出場で4強入りの快挙まで実現。さらに2007/08シーズンのラ・リーガではレアル・マドリーを抑えて2位に躍進している。

これらの成功により、2009/10シーズンにはレアル・マドリーの監督に就任。だがペップ・グアルディオラ率いるバルセロナの黄金期と重なる不運もあり、ラ・リーガでは当時のクラブ史上最多記録となる勝ち点96を積み重ねながら無冠でシーズンを終えることになった。

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1シーズンでレアル・マドリーを去った後、ペジェグリーニは翌シーズンの途中にマラガの監督に就任した。マラガではビジャレアル時代の再現と言える成功を手にし、クラブ史上初めてチャンピオンズリーグ出場権を獲得。さらに翌シーズンの同大会では初出場にして8強入りの快挙を実現し、惜しくもドルトムントに競り負けたものの、準決勝進出まであと一歩のところまで迫った。その功績の大きさは、後にマラガ市がスタジアム近くの交差点に彼の名を付けたことからも窺える。

マラガを退団した後はマンチェスター・シティから声がかかり、プレミアリーグ優勝を経験した。だがスペインのクラブではまだビッグタイトルを獲得しておらず、ベティスとの契約はやり残したことを成し遂げるために帰ってきたと言えるかもしれない。エル・インヘニエロ(=エンジニア。大学で土木工学の資格を取得したことから付いた愛称)は2度もラ・リーガで優勝まであと一歩まで迫り、ヨーロッパでは躍進を遂げた末にショッキングな敗退を経験しているからだ。

マンチェスター・シティがそうだったように、彼が9シーズンに渡ってスペインで実践してきた攻撃的かつバランスの取れたフットボールを見てきた者ならば、彼がタイトルを獲得するために必要な要素を兼ね備えた監督であることが分かるはずだ。ラ・リーガではビジャレアル時代に3位、7位、5位、2位、5位、レアル・マドリーでは2位、マラガでは11位(初年度はシーズン途中で就任)、4位、6位という成績を残してきたことからも分かる通り、彼が率いるチームは常に上位を争っている。

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ベティスは昨夏、後にバルセロナの監督となるキケ・セティエンとの契約を解消。エスパニョールをヨーロッパリーグ出場に導いたルビを監督に引き抜いたが、シーズン終了を待たずに解任している。66歳のベテラン指揮官に声をかけたのは、過去に彼が率いたクラブと同様の成功を手にするために他ならない。

現在ベティスの暫定監督を務めているアレクシス・トルヒージョは言う。

「ペジェグリーニは明確なプレーのアイデンティティーを持った監督だ。自分のチームがゲームを支配し、主導権を握って攻撃的にプレーすることを好むが、同時に攻守のバランスも重視する。我々のクラブにとって理想的な監督になれると思う」

ベニト・ビジャマリンで指揮を執る来季、ペジェグリーニには自身のアイデアをピッチ上で完璧に体現できる代弁者がいる。マラガ時代にラ・リーガで計57試合を共に戦った、ホアキン・サンチェスである。彼がキャプテンを務めるチームと新監督が噛み合えば、ベティスには輝かしい未来が待っているはずだ。

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