波乱のハンデ重賞・七夕賞を分析する

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【2018/7/8 福島11R 七夕賞(G3) 1着 4番 メドウラーク(11番人気)】

今週は福島競馬場でサマー2000シリーズの開幕戦・七夕賞が行われる。かつては1番人気馬が勝てないレースとして有名で、1979年から2004年までなんと26連敗を喫していた。その後は1番人気馬も4頭が勝利を飾っているものの、3連単の配当は過去10年のうち9回(3着同着が1回あり10通り)が8万馬券以上と、荒れ模様であることに変わりはない。そんな波乱の一戦をJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用して分析したい。

人気別成績

■表1 【人気別成績】

過去10年、1番人気は【2.1.2.5】。2005年に26連敗で止まってから数年に一度は勝利を収めているが、ここ10年の連対率30.0%、複勝率50.0%は1番人気馬としては物足りない。その一方で、10番人気以下の馬が【3.1.5.54】と9頭も馬券に絡み、単複の回収率も非常に高い。2桁人気馬の3勝(過去10年)は、JRA重賞としてはフェアリーSと並んでトップ。また、馬券圏内9頭は京阪杯(10頭)に次ぐ2位である。

年齢別成績

■表2 【年齢別成績】

年齢別では【2.1.1.7】の4歳馬が複勝率36.4%の好成績。3着以内の好走馬数が多いのは5、6歳馬で、10番人気以下で馬券に絡んだ9頭中7頭もこの5、6歳馬だった。7歳以上のベテラン馬は劣勢だ。

ハンデ別成績

■表3 【ハンデ別成績】

ハンデ別の成績をみると、51キロ以下の軽ハンデ馬は連対なし(今年は該当馬不在)。57〜58キロを課された馬の連対率が高い。ただ、56キロ以上を背負った2桁人気馬は【0.0.0.14】に終わっているため、大穴狙いなら55キロ以下の馬から激走候補を探したい。

枠番別成績(中山代替の2011年を除く)

■表4 【枠番別成績(中山代替の2011年を除く)】

枠番別(中山代替の2011年を除く)の成績は、4枠が複勝率43.8%、そして6枠が同33.3%。その間の5枠は勝利こそないものの複勝率は27.8%と高いため、この4〜6枠に注目したい。しかし、すぐ外の7枠は【0.0.0.18】。馬番7番は【0.1.3.5】で複勝率44.4%を記録しており、「七夕賞」というレース名にちなんで買うなら、7枠よりも馬番7番のほうが良さそうだ。

前走クラス別成績

■表5 【前走クラス別成績】

前走クラス別では、中央G3組【6.4.2.58】と、オープン特別組(L含む)【3.3.5.27】で3着以内馬31頭中23頭を占める。ただ、G3組は馬券圏外に敗れた馬も多く、勝率〜複勝率はさほど高くない。対してオープン特別組は複勝率が高く、回収率も優秀だ。
なお、条件戦組で好走した2頭は、2017年3着のソールインパクトが前走芝2400m、2018年3着のパワーポケットが前走ダート1600mと、芝2000mの七夕賞とは距離が400m違うレースに出走していた。今年はこういったタイプの登録馬は不在である。

前走オープン特別からの好走馬

■表6 【前走オープン特別からの好走馬】

前走オープン特別からの3着以内好走馬は表6の11頭。この組で注目したいのは前走着順と本競走での人気で、どちらも「4以内または10以下」が狙いになる。前走着順は11頭中7頭が4着以内で、3頭が10着以下。前走5〜9着で好走したのは1頭のみだった。また、七夕賞での人気は4頭が4番人気以内、6頭が10番人気以下で、5〜9番人気の好走馬はやはり1頭にとどまる。なお、この組は5歳馬から8歳馬までが好走しているが、中では5歳馬が【2.2.1.1】で複勝率83.3%と抜群だ。

前走中央重賞からの好走馬

■表7 【前走中央重賞からの好走馬】

表7は前走中央重賞組の好走馬17頭である。このうち、2014年以降の10頭中8頭に共通するのが、七夕賞よりもグレードが上のG1やG2で3着以内の実績を持っていたことだ。残る2頭、2014年3着のマイネルラクリマは前年の本競走優勝馬、そして2016年2着のダコールは前年の新潟大賞典優勝馬だった。G1やG2での好走歴がなければ、本競走と同じ芝2000mのG3優勝実績くらいは欲しい。

【結論】

七夕賞は前走G3組とオープン特別組で好走馬の3分の2以上を占めており、特にオープン特別組が好成績を残している。今年の注目は、まずオープン特別(表6)の福島民報杯(L)を勝ってきたマイネルサーパス。福島芝は【2.1.0.0】の好相性で、昨年のこの時期にはラジオNIKKEI賞で2着の実績もあるだけに、この組の好走条件「今回4番人気以内」も恐らくクリアできるだろう。
ほかに、オープン特別組で好成績を残す5歳馬としてバレリオや、「前走10着以下」かつ「今回10番人気以下」になりそうなアウトライアーズあたりに一発の可能性がある。前走重賞組では、昨年の金鯱賞(G2)3着で表7をクリアするエアウィンザーを挙げたい。

文:浅田知広(あさだ ともひろ)
1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。
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