牝馬が活躍する重賞の条件は?
【2018/11/25 東京11R ジャパンカップ(G1) 1着 1番 アーモンドアイ】
ただ、牝馬が多く活躍する重賞といえば、現在開催中のサマースプリントシリーズ各競走など、短距離〜マイル戦が中心という印象もある。果たして近年の傾向はどうなっているのか、JRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用して分析したい。集計期間は2010年1月5日以降、本年6月28日まで。6月以前の重賞は過去11回、7月以降の重賞は過去10回が対象となり(一部除く)、牝馬限定戦と障害競走は除外している。
重賞競走における牝馬の成績(着別度数順、牝馬4勝以上)
■表1 【重賞競走における牝馬の成績(着別度数順、牝馬4勝以上)】
重賞競走性別成績
■表2 【重賞競走性別成績】
G1競走における牝馬の成績(牝馬が3着以内に入ったレースのみ)
■表3 【G1競走における牝馬の成績(牝馬が3着以内に入ったレースのみ)】
しかし一方で、連対率25%、複勝率30%を超えたレースには、ジャパンC、宝塚記念、天皇賞(秋)、そして大阪杯と、3・4歳以上の芝2000〜2400m戦ばかりが並び、特にジャパンCや宝塚記念は好走馬数も多い。この4レースに、芝2500mの有馬記念も合わせると集計期間内に13勝。そのうち、2016年の宝塚記念を8番人気で制したマリアライトを除くのべ12頭は、4番人気以内で勝利を収めている。2005年の宝塚記念・スイープトウショウあたりからこの路線でも勝負になる牝馬が増え、今や牝馬であることを減点材料として捉えるファンは少なくなっているようだ。
G1以外の重賞競走における距離・性別成績(牝馬限定戦除く)
■表4 【G1以外の重賞競走における距離・性別成績(牝馬限定戦除く)】
以上、牡牝混合重賞における牝馬の成績について、いくつかデータを調べてみた。好走馬数という意味で活躍が「目立つ」のはやはり短距離戦だが、「目立つ舞台」=G1になると芝2000〜2400mでの好走馬も多く、好走確率が非常に高い点は見逃せない。表4で触れたように3000mの阪神大賞典で馬券に絡む馬も出ているだけに、今後は春の天皇賞を制する馬が現れるかどうかにも注目したいところだ。
文:浅田知広(あさだ ともひろ)
1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。
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