今年後半の超注目株! 井上忠政(前編)
【(C)BOATRACE】
在校1位の訓練成績
訓練生時代はトップの成績 【(C)BOATRACE】
このイースタンヤング、ウエスタンヤングは、プレミアムG1ヤングダービーの前哨戦という位置づけのレースだ。優勝者にはヤングダービーの優先出場権が与えられることになっている。ヤングダービーの選考基準は前年7月1日から当該年6月30日までの勝率上位者となっているが、そのボーダーに届いていない者にとってはまさに優勝条件の勝負駆け。今年の優勝戦は、ウエスタンの佐々木完太が出場。一発勝負に臨んだがかなわなかった。それ以外の優勝戦メンバーは勝率でヤングダービー出場がほぼ確実の選手ばかりで、優勝した木下も大山ももちろん、何事もなければ東西ヤングの優勝がなくても出場は確定的であった。ようするに、イースタンもウエスタンも、順当な決着だったというわけだ。
とにもかくにも、東西ヤングが終わって、若者たちの視線はヤングダービーが開催される9月に向けられ始める。この稿が公開される頃には出場選手が発表され、機運も高まっていくことだろう。
当稿で取り上げる井上忠政は、執筆時点ではヤングダービー初出場をほぼ確定としている。6月末は津の一般戦を走っているのだが、勝率的には十分な数字を稼いでいるが、問題は事故率で(0.40以上は出場できないことになっている)、津では事故の連発は避けなければならない。しっかり無事故を貫くことができれば、初G1出場の機会を得ることになっているだろう。
デビュー2年足らずで初優勝! 【(C)BOATRACE】
デビューは16年11月の地元住之江。この節では3着1回と、早くも好素材の片鱗を見せている。デビュー期のあいだに初勝利はあげられなかったが、勝率2.63は同期の中でナンバーワンだった。初勝利は65走目の住之江。その前のレースで妨害失格を喫しており、人気はまるでなかったが、見事に6コースからのまくりを決めている。
初勝利の前の妨害失格はデビュー2期目の初戦だったのだが(つまり2期目の2走目で初勝利)、それが象徴していたかのように、この期は事故点に悩まされた。蒲郡で2度目の妨害失格を喫すると、夏にはフライング。その後はオール6コースで慎重なスタートを強いられるなど、成績がガタ落ちしている。結果、事故率オーバーで次期はB2級に降級。我慢の時期だった。
足かせが取れたデビュー3期目は、成績をグンと伸ばしている。1着はもちろん、舟券絡みも急増して勝率は4.47まで上昇した。2期目は2.82だったから、一気に1.65も引き上げたことになる。ポテンシャルの高さが徐々にあらわになってきた時期だ。
そしてデビュー4期目。井上は大仕事を果たしている。18年8月、井上は戸田で自身初の優出を果たしている。優勝戦のメンバーは強烈だった。SGで活躍する柳沢一が1号艇で、重成一人、中澤和志のやはりSG常連が外枠に控えていた。16年ヤングダービー優出で名前を売り、A1級に定着していた若手上昇株の丸野一樹もいた。そうした強豪の先輩が居並ぶなか、井上は道中逆転で優勝をかっさらってしまったのだ。初優出初優勝もなかなかの壮挙だが、デビュー2年に満たない若手がトップクラスを向こうに回して優勝をもぎ取ったのはファンを驚かせたものだ。
この時点で、井上は早くも将来性豊かな若者と目されることになる。
(後編に続く・・・)7/15(水)更新予定
2020年7月1日更新 文:黒須田守(BOATBoy) 写真:池上一摩(BOATBoy)
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