軽ハンデで好走した馬の次走成績を調べる

JRA-VAN
チーム・協会

【2020/6/14 阪神11R マーメイドステークス(G3) 1着 13番 サマーセント】

すこし前のことになるが、今年のマーメイドSを制したサマーセントのハンデは50キロだった。こうした軽ハンデ馬が好走した場合、実力だったのかハンデの恩恵が大きかったのか、次走で判断がつきかねることがある。そこで今回は「軽ハンデ好走馬の次走」について調べてみたい。集計期間は2015年1月4日〜2020年6月21日で、ハンデ戦において牡馬(セン馬を含む)は53キロ以下、牝馬は51キロ以下で1〜3着に入った馬の次走を集計の対象とする。データ分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。

前走斤量との比較

■表1 【前走斤量との比較】

表1は、前走と比べて斤量が「今回増」「増減なし」「今回減」の成績を比較したもの。前走が軽ハンデだったこともあり、約8割は斤量が「今回増」での出走となる。そして、「今回増」のなかでも、今走もハンデ戦となる場合になかなかの好成績を収めていることがわかる。

前走軽ハンデ好走馬が「増減なし」もしくは「今回減」となるのは、今走でもハンデ戦に出走したケースにほぼ限られる。「増減なし」は全55走が、「今回減」も13走中12走はそうだった。そして、前走で好走し、今走でもハンデが増えない(減る)という状況は有利なようにも思えるのだが、表1の数値を見る限り、あまり結果にはつながっていない。

前走着順別成績

■表2 【前走着順別成績】

表2は前走着順別成績で、前走1着のケースでは「今走同クラス」と「今走昇級戦」に分けた成績も掲載した。すると、前走1着かつ同クラスの成績が優秀ということがわかった。このケースに該当する馬の多くはオープンクラスで、重賞でも【4.3.1.15】、勝率17.4%、単勝回収率104%となかなかの好成績。対して、前走1着でも昇級戦の場合は勝率を除く4項目の数値が低調で、やや苦戦の傾向も見え隠れする。前走2、3着の場合は、どちらも好走率は決して悪くないのだが、単複の回収率が振るわない点が気になる。なかでも単勝回収率は30%台にとどまっており、単勝馬券が売れやすい傾向があるようだ。

人気別成績

■表3 【人気別成績】

表3は人気別成績。前走軽ハンデ好走馬が1番人気に推された場合の成績は水準を上回り、特に勝率と単勝回収率が優秀。そのほか、3番人気や5番人気も水準以上で、不思議と奇数の人気が好成績を収めている。対して、偶数の2番人気や4番人気は振るわず、上位評価でも過信は禁物となっている。

前走人気との比較

■表4 【前走人気との比較】

表4は、前走と比べて「人気上昇」「同人気」「人気下降」となった場合の成績を比較したもの。複勝率ベースで見ると、「人気上昇」と「同人気」がいずれも30%台なのに対して、「人気下降」はその半分にも届かず、軽ハンデで好走した前走より人気を落としたケースでは苦戦しているようだ。また、「人気上昇」と「同人気」を比較すると、前者のほうが回収率では明らかに優位という点も押さえておきたい。

牡牝・年齢別成績

■表5 【牡牝・年齢別成績】

表5は、牡牝別と年齢別の成績をまとめたもの。牡牝について言えば、牝馬の勝率が若干落ちるものの、連対率と複勝率の差はなく、牡牝の好走率に大きな違いは見られない。一方、年齢別の成績では3〜5歳の複勝率がいずれも30%を超えているのに対し、6歳や7歳以上では数値が大幅にダウン。若い馬のほうが連続好走を期待しやすくなっている。

距離別成績

■表6 【距離別成績】

表6は、距離別成績を芝・ダートで分けて示したもの。芝から見ていくと、2500m以上の長距離戦で好成績を残していることに目がいく。たとえば、昨年のユーキャンスマイルは、前走の万葉Sをハンデ53キロで2着に入ったあと、3400mのダイヤモンドSで1着。あるいは、今年のモズベッロも日経新春杯をハンデ52キロで1着し、その次走となった2500mの日経賞でも2着に好走した。一方、ダートでは1700〜2000mの好走率が抜けて優秀だ。

クラス別成績

■表7 【クラス別成績】

表7はクラス別成績。条件戦から見ていくと、2勝クラスは水準以上の好走率を記録しているのに対し、3勝クラスはやや苦戦の傾向が見られる。ただし、好走率では差があるのに、単複の回収率がほぼ同等というのは興味深いところだ。オープンクラスに目を移すと、G2、G3、オープン特別(リステッド競走を含む)の複勝率はいずれも20%強と水準以上のレベルにはある。しかし、G1では2着が1回あるだけと、さすがに厳しい戦いを強いられている。

文:出川塁(でがわ るい)
1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。
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著者プロフィール

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