ラ・マシアが生んだ新たな希望、リキ・プッチ

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バルセロナをよく知る専門家やファンは、ラ・マシアが輩出した新たなタレント、リキ・プッチの活躍に興奮を隠せずにいる。20歳のMFはシーズン半ばに就任したキケ・セティエン監督の指揮下で出番を増やしつつある。

小柄ながら躍動感溢れるプレーは、若き日のイニエスタを彷彿とさせる。 【(C)LaLiga】

過去に何度もラ・リーガのタイトルを手にしたシャビ・エルナンデスやアンドレス・イニエスタのように、リキ・プッチはバルセロナの中盤に新たな「バルサのDNA」を注入してくれる。多くのファンがそう期待している。ラ・マシアが生み出した多くのクラックと同様に、彼もまた体は小さいが(身長は169cm)、生粋のタレントとプレービジョン、ゲームを支配できるだけのパーソナリティーを持っている。

本名はリカルド・プッチ・マルティー。1999年8月13日、シャビの地元テラッサからほど近いマタデペラで生まれた。地元クラブでフットボールをはじめ、14歳でバルセロナの下部組織ラ・マシアに入団。父のカルロスは地域クラブのテラッサでプレーしていた。

2018年2月、セグンダB(3部相当)のバルセロナBでプロデビュー。当時18歳と6ヶ月だった。同シーズンのUEFAユースリーグでは3ゴール3アシストの活躍で注目を集め、準決勝でマンチェスター・シティ、決勝でチェルシーを破っての優勝に貢献した。

昨季終盤のウエスカ戦にて、ラ・リーガでの初先発を経験。 【(C)LaLiga】

2018/19シーズンはバルセロナBのキーマンに成長し、セグンダBで32試合に出場。閃きに富んだボールコントロールとプレービジョン、狭いスペースでも臆せずボールを持ち運ぶプレーは、見る者に若き日のイニエスタを彷彿とさせた。

当時のプレー映像はSNSを通して世界中に広がり、彼の名は熱心なバルセロナ信者の間で話題を集めるようになった。マークするディフェンダーたちから厳しいタックルを受ければ、怒りの声が上がったほどだ。

同シーズンの終盤、バルセロナのエルネスト・バルベルデ前監督はリーグ優勝を決めた後のウエスカ戦やセルタ戦で、リキに先発出場の機会を与えた。だが2019/20シーズンの前半は他のMFたちに出番を奪われ、バルセロナBにプレーの場を求める日々が続いた。

セティエン監督の初陣となったグラナダ戦で、敵陣でのボール奪取で決勝点の起点となった。 【(C)LaLiga】

しかし、今年1月に就任したキケ・セティエン監督は就任直後からリキを登用した。1月18日、グラナダとの就任初戦では0ー0の後半途中にイバン・ラキティッチに代わって途中出場。わずか5分後には敵陣でボールを奪い、リオネル・メッシの決勝点につながる起点となった。

その後はしばらくバルセロナBでのプレーが続いたが、リーグ再開後は急激に存在感を高め、32節セルタ戦では今季のラ・リーガでは初めて先発起用されている。

セティエンはラスパルマス時代から若手選手を積極的に登用する采配を見せてきた。特にベティスではダニ・セバージョスやファビアン・ルイスら、今ではスペイン代表の中心として活躍する選手をトップチームに定着させている。しかもラ・マシアで培ってきたスピーディーに動き、スピーディーに判断するリキのプレースタイルは、ヨハン・クライフの影響を色濃く受けたセティエンのフットボールに適したものだ。

バルセロナの中盤にはラキティッチに加えてセルヒオ・ブスケッツ、フレンキー・デヨンク、アルトゥール・メロ、アルトゥロ・ビダルら各国代表クラスの選手がひしめいている。イニエスタやシャビもそうだったように、リキも我慢強くチャンスを待ち続ける必要があることを理解しなければならない。

時間は彼に味方するはずだ。生粋のタレントとバルセロナのDNAを擁する新たなスター候補生は、近い将来ラ・リーガで輝きを放つことになるだろう。

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