<国内男子ゴルフ>僕らのツアー選手権 / 星野英正の選手権

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【病いを乗り越え大会初制覇©JGTO】

前年の08年の片山晋呉の感泣シーン。星野英正は検査入院のベッドで見ていた。原因不明の目の腫れと尋常ではない目まい。ふらついて、まともにプレーもできない。

「みんなが優勝争いしているときに、寝てなくちゃならない。悔しくてたまらなかった」。
ツアープレーヤーの最強を決める試合に、出場すらできない自分。歯がゆかった。
「そんな思いで、病院のテレビを見ていた次の年に、まさか自分が勝つなんて。信じられなかったです」。

翌09年に、病み上がりで挑んだビッグタイトルの舞台は宍戸。
「飛距離と、ショットの安定性と、球の高さと打ち分けを要求される。宍戸はまぐれでは勝てない。高いレベルのオールラウンドプレーヤーしか攻略できない」。

得意コースの自負はあっても、病いの再発をおそれ、緩和の薬も手放せず、期間中は猛暑も重なった。
過酷な条件が重なり、たとえ5打差の独走でも「何が起きるか分からない」と、最後までおびえた。

2.5メートルのウィングパットを沈めた時には「やっと戦争が終わったと思った」。
安堵のため息とともに、自然と涙がこぼれた。
前年の片山に続く感泣シーンを演じた。

【©JGTO】

07年の9回大会を合わせてツアー通算3勝。
アマ時代は、52冠の無敵を誇った。
星野英正にとっての「ツアー選手権とは?」

「俺のキャリアの中でも一番のタイトル。いま思っても、改めてタイトルの重みを感じるし、コース的にも”難しさナンバーワン”。あそこで4日間、戦い抜くのは精神的にも大変。そこに5年シードや海外ツアーの出場権もついてくるわけだから。選手権に勝っているのといないのとでは、今後のゴルフ人生も、全然、違ってくると思う」。

NO.1の称号を胸に、今は後身の指導にも力を入れる。
元来の美しいスイングフォームに、現代のゴルフ理論を取り入れた確かな指導法は最初、ユーチューブで火がつき、門を叩く若手が後を絶たない。

「自分は現役と思ってやっているけど、そちらのほうも今、忙しくなってきて。プロゴルファーって、試合でお金を稼ぐだけじゃない。違う方向から、ゴルフ界に貢献する道もあるってこと」。

今は指導者として極めながら、ビッグタイトルを追うスタイル。
「試合でも活躍できたら教え子も、ますます頑張ろうって思ってくれるじゃない?」。
今年42歳になったタイトル保持者の新たな挑戦だ。

【©JGTO】

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