今年後半、注目のルーキー! 吉川貴仁(前編)

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非凡なポテンシャル

養成所成績は優秀だった 【(C)BOATRACE】

 5月6日から11日まで、ボートレース丸亀で「ボートレースレディースvsルーキーズバトル」が開催された。ボート界初の男女対抗戦という触れ込みで2018年12月に第1回が行なわれたこの大会。個人優勝が節間通して争われると同時に、レディース=紅組、ルーキーズ=白組が団体優勝を争うというのが大きな特徴だ。しかも、団体優勝を果たしたチームには、全員に10万円が贈られるのだから、なかなかアツい。ルーキーズは文字通りルーキー世代の若手選手たちで構成されるが、レディースは女子トップクラスも目白押しの豪華メンバーで、歴戦のレディース軍団と若者が真っ向勝負という性格もまた妙味を生んでいる。
 今回の丸亀大会では、団体優勝は紅組にもたらされた。これが5回目の開催だったのだが、これで団体優勝は通算で白組3勝、紅組2勝。また、個人優勝は平高奈菜だったが、これは初のレディースによる個人優勝。それまでの4回はすべて、ルーキーズから個人優勝が出ていた。今のところは、ルーキーズがそのスピードと果敢な攻撃でリードするという傾向が強いと言える。なお、次回は来年2月にボートレース常滑で開催される。
 ルーキーズにとっては名前を売るチャンスともいえる一戦。これまでの大会でも、決してネームバリューが高いとは言えないが、その活躍ぶりで一躍、ファンの目に留まる若手選手が出現している。たとえば、19年2月の江戸川大会の個人戦でデビュー初優勝を果たした澤崎雄哉。それまでは勝率3点台の目立たない存在だったが、一気に名前を売り、またその後成績も上昇している。今回の丸亀でいえば、眞鳥章太がそうした存在だった。デビューしてから一度も1着を獲ったことがないまま参戦したこのシリーズで、眞鳥は嬉しいデビュー初勝利をあげている。全国的な注目が集まる舞台で初の1着とは、なかなか持っている男だ。しかも、デビュー以来初めて準優勝戦にも駒を進めてみせた。これがきっかけとなって、今後は1着数も増えていくだろう。
 当稿の主人公である吉川貴仁もまた、ボートレースレディースvsルーキーズバトルで名前を売った一人である。そして、それを大きな飛躍につなげてもいる。今年後半の注目株の一人として、期待がかかるルーキーだ。

戦法に幅が出てきた近況 【(C)BOATRACE】

 吉川貴仁は、先月取り上げた栗城匠と同期の118期生。2015年春にやまと学校(現ボートレーサー養成所)に入所し、16年5月に地元のボートレース津でデビューした。養成所時代は好成績を残しており、修了記念競走では優勝戦に乗っている。そのポテンシャルはデビュー節でも発揮され、デビュー戦こそ6着大敗も、節間に2着2回、3着1回と早くも舟券に絡んでみせている。初1着は、約3カ月後の津お盆シリーズ。A級選手たちを6コースから一気にまくっての初勝利で、42走目のことだった。最近の新人選手は初勝利に1年以上かかることも珍しくないので、決して遅い初勝利ではなく、むしろ同期の中でも早いほうだった。
 それでも、当初は足踏みも長かった。デビュー期の勝率は2.11、2期目が2.68。3期目に3.03となったものの、4期目は3.00。2年間はなかなか成績を伸ばすことができなかった。特に4期目は転覆が多く、しかもフライングを切って事故点過多の状況に陥ってしまう。我慢のレースを強いられた時期は、吉川にとって消化不良だったことだろう。
 事故パンから解放されて、吉川は好資質を発揮し始める。デビュー5期目の成績上昇度はすごく、勝率は5.47。なんと4期目より2.47も引き上げたのだ。これで初のA2級昇級も決めている。6期目は5.26とやや勝率を下げ、B1級に降級してしまっているが、初の優勝戦進出を果たすなど、進境もうかがえた。同期のなかにはすでに優勝を経験したり、A1級昇級を決めた者もいて、吉川は目立った存在というわけではなかったものの、着々と実力を積み上げていたのは確かなこと。その素質が目を覚ます準備は間違いなく整えられつつあった。

(後編に続く・・・)6/15(月)更新予定


2020年6月1日更新 文:黒須田守(BOATBoy) 写真:池上一摩(BOATBoy)
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