感謝の30周年 Part 6 〜 ベテランたちのステップ・アップ・ツアー

チーム・協会

【<Photo:Ken Ishii/Getty images>】

 2020年、ステップ・アップ・ツアーは30周年を迎えました。長い歴史の中で、さまざまな強化策が行われ、ツアーは変遷していきます。連載をスタートする上で、さまざまな記録を調べてみました。今回、クローズアップしたのは、最多出場。2000年、JLPGAへ入会した新坂上ゆう子は昨年、プロ20年で130試合出場を果たしています。優勝には縁がないものの過去、2位が4回。「試合がある限り、挑戦し続けたい」と、プロ初優勝を狙ってきょうも努力を続けています。

 歴代最多出場は、当の本人もご存じではなかった。電話の向こうで、アッと息を飲むような瞬間が伝わってくる。「エッ…。本当ですか。うれしいです。何かもう、鳥肌が立ってきて。130試合とうかがい、本当にすごいと思う。私もプロになって、20年が過ぎた。30周年ということは、入会する前からステップ・アップ・ツアーが行われていたのですね」。しみじみと語った。

 当然ながら、現在までステップの変わりようを間近で観察し、肌で感じている。もっとも変わったことは、「ツアーへ出始めたときは、選手の多くがスポンサーの方々、試合を開催してくださってありがとうございます。勝敗よりも、そういった気持ちが先だった。もちろん、今でも選手はスポンサーや、関係者の皆さんへ感謝の気持ちを忘れていない。でも、それ以上に、優勝してJLPGAツアーへ行くぞーに変わっている。年齢は若くても気持ちが強い選手が増えた。闘志をムキ出しです。私も変化に戸惑いながら、置いていかれないようにしている。だって、勝ちたいでしょう」と本音が飛び出す。

 一方で、闘争心以上に抱き続けるのは、感謝の二文字だった。「試合があるから、練習が楽しみです。特に、私が最初に出場した頃は、試合数が少なかったから。シーズンを通してプレーできる今とは違います。もちろん、応援してくださるスポンサーさんのおかげですけどね。また、こんなに試合が増えたのは、テレビ中継してくださったスカイAさんのお力も大きいと思う。テレビに映してくださったことがきっかけで、コースへ足を運んだギャラリーも多いとうかがっている。さらに、オンタイムで成績がわかることも進化のひとつでしょう。以前は、試合が終わった夕方に成績が出るだけでした。成績表をみながら、選手は自分のスポンサーさんへ連絡をしていたものです。すごい時代になった。ギャラリーが増え、ボランティアさんもたくさん。歴史の積み重ねですね」という。

 さらに、続けた。「優勝するって、すごいことだなぁと思います。勝てるチャンスは何度もあった。振り返ると、もっと頑張っていればと後悔をすることもある。しかし、私は全力でプレーしていないわけでも、気を抜いたわけでもありません。2位が多くても、いい2位だったーと胸を張れる。もちろん、優勝していれば、もっとネームバリューがあったかもしれない。だけど、130試合、すべて全力でプレーしたと言い切れます」スカッと言い切った。

 そして、もうひとこと。「30周年、おめでとうございます。最近は手や腰を痛めてツラいときもある。でも、試合がある限り、JLPGAツアー、ステップ、レジェンズとすべてに出場したい。スポンサーの皆さま、これからも試合を開催してください。どうぞ、よろしくお願いいたします」と、真心を込めて締めくくる。気さくで、誠実な人柄を表すようなインタビューに、130試合の感謝を込めた。

=つづく
取材、データ構成=中山 亜子、鈴木 孝之、宮崎 善秀
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