石直球が復活したロッテ石崎!マウンドから尊敬する大先輩に想いを届ける

千葉ロッテマリーンズ
チーム・協会

【ZOZOマリンスタジアムで投げる石崎投手】

 タイガースから昨年、トレードで移籍した石崎剛投手が尊敬をする選手がいる。それはタイガースのレジェンド右腕・藤川球児だ 。石崎剛のスマートフォンには今でも憧れの先輩からのメッセージが残っている。トレードでの移籍が決まった時、真っ先に連絡を入れた。チームを離れる旨を伝えると喜んでくれたのが驚きであり、印象的だった。

 「トレードを言われた時はチームを離れる寂しさもありましたし、結果を残すことなく去ることになって不甲斐ない気持ちもありました。でも(藤川)球児さんに連絡をすると喜んでくれた。チャンスだよと。求められて行くチームで投げさせてもらって結果を出せと送り出してくれたのです」

 だからすぐに気持ちを切り替えて前を向けた。昨シーズンこそマリーンズ移籍後も2試合の登板にとどまったが今年は春季キャンプから猛アピール。井口資仁監督も楽しみな投手の一人として真っ先に名前を挙げるなど首脳陣の評価は上昇している。

 タイガース時代の2018年5月に淡路島で行われたジャイアンツとのファーム交流戦で登板した際に「パチッとひじが変な音がした。嫌な感じだった」と右ひじを痛めた。ひじはあっという間に腫れ上がり、症状は軽くないことを察した。6月に右ひじを手術。その後、懸命なリハビリを経て復帰をしたが「ボールを投げる感覚がなかなか戻らなかった。なにをやってもダメだった」と振り返るように悩み深き日々が続いた。感覚が蘇ったのはマリーンズ移籍後。シーズン中もファームで必死の投げ込みを敢行する中で、取り戻した。

 「下半身の使い方ですけど、うまくボールに伝わり始めた。下半身で弓を引っ張るような感覚です」と石崎は笑顔を見せる。感覚が確信に変わったのは今年に入ってから。石垣島での春季キャンプでアピールするとその後の練習試合、オープン戦でも結果を出し続け、今シーズンはセットアッパー候補に名前を連ねている。
「藤川さんも気にして連絡をくれる。自分に関する情報とかも見てくれている。ありがたいです」と石崎。今はチームメートではないが憧れの先輩の温かいまなざしは変わらない。

 2人の絆はブルペンで深まった。出番を待って待機をしている時に教えてもらった。肩のつくり方、気持ちをどのように上げていくか。試合を見ているとアドバイスをされた。「ただ、ボッと試合を見るな。相手の状態、癖、配球、流れ。色々と考えろ」。懇々と論された。虎のレジェンドは若者に惜しみなく助言をくれた。その時間が宝物となっている。

 「人として野球人として考え方に感動した。技術よりもクローザーを務める人のメンタル、思考を教えてもらいました」

 2年前からは1月の沖縄での自主トレにも参加をさせてもらい、さらに師事を仰いだ。色々な会話からヒントを見つけた。何事においても準備の大事さを改めて噛みしめた。キャッチボールでは1球目からしっかり投げる必要性を説かれた。今まで投げるまでのルーティンも多かったが「いらない」と指摘され、削ぎ落した。

 「マウンドにいったら、もう投げるだけ。やるだけ。それまでに考えて準備をするようにしています」

すでに交流戦の中止が決まり今季、古巣相手に蘇った150キロを越える力強いストレートを目の前で見せることは出来なくなった。しかし、それでも憧れの大先輩はなにかの形で見てくれている。石崎がしっかりとブルペンで準備を整えマウンドに上がる姿。そして石直球と呼ばれる剛速球で打者をねじ伏せていく生きざまを。

文 千葉ロッテマリーンズ広報 梶原紀章
  
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