令和最初の天皇賞(春)を制するのはどの馬か!?
【2019/4/28 京都11R 天皇賞(春)(G1) 1着 10番 フィエールマン】
過去10年の天皇賞(春)好走馬の前走成績
■表1 【過去10年の天皇賞(春)好走馬の前走成績】
と言うのも2018年以前は前走日経賞や阪神大賞典で連対していた馬が、毎年1頭は好走していたからだ。つまり天皇賞(春)まで5〜6週となる前哨戦のG2を経て本番へ向かうローテーションが理想だった。また天皇賞(春)まで4週の大阪杯組も結果を残している。ところが昨年は違った。アメリカJCC、日経新春杯、京都記念、いずれも年明け以降のレースではあるが、天皇賞(春)までの間隔は10週以上あった。
前哨戦を使わないで結果を残したという意味では、皐月賞も似た傾向になっている。今年はコントレイル、昨年はサートゥルナーリアが前年のホープフルS(1着)から直行。休み明けながら見事に優勝を果たした。以前は休み明けでG1を制するのは至難の業というイメージだった。しかし、近年はそうした常識が通用しなくなっている。ブランクがあっても調教だけでしっかりと仕上げることができるのだろう。
したがって、天皇賞(春)も昨年のケースが例外とは言いにくい。今後は日経賞や阪神大賞典、大阪杯をパスして結果を出す馬が増えてくるかもしれない。
過去10年の天皇賞(春)好走馬の枠番・種牡馬・母父馬
■表2 【過去10年の天皇賞(春)好走馬の枠番・種牡馬・母父馬】
傾向は一目瞭然。父サンデーサイレンス系の好走馬が非常に多い。優勝馬9頭、2着馬7頭、3着馬9頭と圧巻の数だ。2014年以降は毎年上位を独占している。中でもディープインパクト、ステイゴールド、ハーツクライ産駒が多い。一方、母父の系統はダンジグ系、ミスタープロスペクター系、ロベルト系が多い。同一馬が複数回好走しているパターンもあるが、このレースと相性がいい血統と言えるだろう。
また、枠番で興味深い傾向が出ている。過去10年、10番人気以下で好走した馬は5頭いる。その5頭はすべて1〜3枠からの発走だった。つまり内枠から大穴馬が出ているというわけだ。この傾向が令和も継続することを期待して、穴馬を抜擢するなら内枠の馬を狙いたい。
過去10年の天皇賞(春)好走馬の実績
■表3 【過去10年の天皇賞(春)好走馬の実績】
天皇賞(春)は芝3200mの長距離戦だが、中距離G2・G1にも対応できるスピードや瞬発力があれば大きな武器になる。例えば、フェノーメノやレインボーラインは芝2000mの天皇賞(秋)で好走実績があった。また京都芝2400m以上の重賞実績も重要なポイント。過去の天皇賞(春)や菊花賞はもちろん、日経新春杯や京都大賞典の好走馬もチェックしておきたい。コース実績・適性がある馬として要注意だ。
いずれか片方の実績しかない場合は、取捨が難しい。その時々によって判断するしかないが、どちらかと言えば京都芝2400m以上の重賞実績を重視したい。芝2000〜2200mの実績は古馬G1であることが望ましいのだが、それがない馬については、日経新春杯、菊花賞、前年以前の天皇賞(春)で好走した経験を持つ、という傾向が見られるからだ。こうした実績に関する傾向は、過去10年で特に変化はないように感じる。今年も通用する考えとして臨みたい。
【結論】
今年の天皇賞(春)出走予定馬(1)
■表4 【今年の天皇賞(春)出走予定馬(1)】
今年の天皇賞(春)出走予定馬(2)
■表5 【今年の天皇賞(春)出走予定馬(2)】
キセキの父はルーラーシップ。近年、ミスタープロスペクター系種牡馬の産駒は11年2着のエイシンフラッシュしか好走例がない。また前走阪神大賞典(7着)をみる限り、今では長距離戦は不安だ。出遅れないことが必要で、道中の折り合いもカギになるだろう。
その他で芝2000〜2200mの古馬G2以上で好走実績がある馬はスティッフェリオ、ダンビュライト、ミッキースワロー、ミライヘノツバサ。いずれも古馬G1で好走実績はないが、ミライヘノツバサは長距離のダイヤモンドSを勝利している。穴馬としてマークする手はあるだろう。
次に京都芝2400m以上の重賞で好走実績があるのは、前述したキセキとフィエールマンを除くと、エタリオウ、シルヴァンシャー、モズベッロ、ユーキャンスマイル。この中では、父がサンデーサイレンス系で前走成績もいいシルヴァンシャーとモズベッロに注目してみたい。シルヴァンシャーは母父がミスタープロスペクター系なので、このレースで結果が出ている配合だ。フィエールマンの相手候補として注目してみたい。
文:小田原智大(おだわら ともひろ)
1975年6月、東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、業界紙記者を経て、(株)レイヤード入社。ライター&エディターとして活躍。JRA-VANデータの配信初期から、いち早くデータ競馬の有効性に着目する。05年5月より「競馬 最強の法則WEB」にて、障害戦を除く全重賞レースの傾向と対策、予想を展開。「オッズパーク ダートグレードデータ作戦」では、地方競馬の重賞の攻略にも取り組んでいる。仕事の関係でなかなか競馬場には行けなくなったが、年に1、2回行くローカル遠征が楽しみ。
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