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ドイツの大型スポーツクラブ閉鎖のお知らせ

ドイツにみる「コロナウイルスとスポーツ」

笹川スポーツ財団

世界中で猛威をふるうコロナウイルス。日本でも各国同様、各スポーツ大会・イベントが中止に追い込まれている。ここでは、笹川スポーツ財団・高橋範子によるレポートで、ドイツの状況をお届けする。

コロナウイルスのドイツ スポーツ界への影響

コロナウイルスの蔓延で、社会生活に影響が出始めている。ドイツは連邦制で文化・教育は州の管轄である。ほとんどの州が学校・保育園を閉鎖した。連邦政府はアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相、イエンス・スパーン(Jens Spahn)健康大臣、ロベルト・コッホ細菌学研究所所長の記者会見を通じて、コロナの蔓延のペースを遅らせることに協力するよう国民に呼びかけている。これを受けて、人の集まるところへは行かない、大きなイベントは中止するなどの対策が取られている。

ドイツ全土的なスポーツへの影響はどうだろう。

ドイツアイスホッケー協会はいち早く対応し、シーズンの早期閉幕を決め、上位10チームが進出し優勝チームを決めるプレーオフは行われなかった。これにより、今シーズンは、1部・2部ともに優勝チームが不在のまま終わったため、閉幕が決まった時点で、2部リーグの1位であり、1部リーグへの昇格の可能性が大きかったレーヴェン・フランクフルト(Lowen Frankfurt)は悔しい思いをしただろう。

ブンデスリーガ中止の衝撃

2020年3月14日付けのドイツ紙ビルト(Bildzeitung) 2020年3月14日付けのドイツ紙ビルト(Bildzeitung) 撮影:高橋範子

サッカーでは、ブンデスリーガの第26節すべてが、ドイツ語では「Geisterspiele(幽霊試合)」とよばれる無観客試合として行われる予定であったが、これも延期となった。3月13日には「ブンデスリーガ有限会社」がブンデスリーガ1部と2部の計36クラブの代表者を集めて会議を行い、4月2日まで試合の中止を決めた。この期間中は国際試合期間であったため、ブンデスリーガへの影響は第27節の試合日の延期だけですむ。
(4月2日追記:4月1日、さらに今月末までの試合の中断延長が発表された。)

ドイツの大衆紙ビルト紙(Bildzeitung) は3月14日にこれを報道した。紙面全面を使って「これまで!ブンデスリーガ試合停止」という見出しで、ブンデスリーガ1部の18チームのホームスタジアムの写真を載せ、各写真の下には「サッカーの試合ナシ」そして地名とスタジアムの名称、収容人数が記載されている。

私のお隣りの84歳の奥様は「外出するなというから家にいても、テレビでサッカーの放送がないなんて・・・・」とぼやいている。

■ドイツブンデスリーガ中止による影響

経済的影響も大きい。ドイツサッカー協会は、その傘下で試合が開催されるブンデスリーガ3部と女子ブンデスリーガのクラブ、州・地域のサッカー協会において、決済不能になった場合の特別ローンの提供を検討している。

ドイツオリンピックスポーツ連盟(DOSB)はプレスリリースで、2月18日から毎回「コロナウイルス感染症の最新アップデート」と題して、DOSBのチームドクターであるベルンド・ヴォルフラート(Prof. Bernd Wolfrath)教授によるコロナウイルス感染症の情報とスポーツ団体へのアドバイスを掲載している。同連盟の会長アルフォンス・ヘアマン(Alfons Hörmann)氏は、3月15日DOSBのウェブサイトでコロナウイルス感染症にあたり「SPORTDEUTSCHLAND※」(シュポルトドイチュラント)への呼びかけを発表した。「シュポルトドイチュラント」とはDOSBがドイツのスポーツ、トップスポーツのアスリートだけでなく、2,700万のスポーツクラブの会員、関係団体、クラブに所属しないスポーツ愛好家たち等、スポーツに関連するすべてへの総称としている。

主旨は、コロナウイルス感染拡大のペースを緩慢化させるため、スポーツも責任ある行動をとるべきであるとして、スポーツクラブ、州・地域のスポーツ団体、競技団体に対し、試合、トレーニング、大会を完全に停止するのが望ましいとしている。DOSB傘下の組織化されたスポーツはドイツ最大の組織でもあり、その価値観とされる連帯、チーム精神を発揮してこの社会的危機を乗り切るのに貢献すべきであると訴え、理解に感謝すると結んでいる。

身近なスポーツ活動の中止

先日、私のスマートフォンにお知らせが入った。発信者は週2回通っている高齢者のためのリハビリスポーツの指導者からであった。「コロナウイルス感染リスクを避けるため、トレーニングは復活祭のお休みが終わるまで休止とします。」4月半ば過ぎまでお休みとなる。さらに、私の住むメアフェルデン-ヴァルドルフ(Marfelden-Walldorf)の大型スポーツクラブ「TGS Walldorf」の施設の入り口には次の張り紙がしてある。

※以下、下記画像の日本語訳

クラブ施設及びスポーツ施設の閉鎖とスポーツ活動の休止について

親愛なる会員の皆さん

多くのスポーツ連盟及びヘッセン州の勧告により、TGSは即刻各部のすべてのスポーツ活動を、現在の見込みでは2020年4月19日まで休止します。これは同時にTGSのすべてのクラブ施設・スポーツ施設が閉鎖され、立入禁止となることを意味します。これをもって私達は増大しつつあるコロナウイルスによる感染防止に寄与したいと思います。この決定をするのは容易いことではありませんでしたが、会員、指導者、従業員の健康がなによりも重要です。この措置をご理解いただけますと幸いです。

Turngesellschaft Walldorf 1896 e.V. 理事会
詳細につきましては、www.tgs-walldorf.de をご参照ください。

大型スポーツクラブ「TGS Walldorf」施設入り口の張り紙 大型スポーツクラブ「TGS Walldorf」施設入り口の張り紙 撮影:高橋範子

一刻も早くコロナウイルス感染拡大が収束することを祈りたい。


参考資料:
Bildzeitung(2020.3.14)、DOSB-Presse Nr.8-9(2020.2.18)、Nr.10(2020.3.3)、Nr.11(2020.3.10)、Nr.12(2020.3.17)

著者:高橋 範子(Correspondent, Sasakawa Sports Foundation)
※本記事は2020年4月に、笹川スポーツ財団 公式ホームページに掲載されたものです。

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笹川スポーツ財団は、「スポーツ・フォー・エブリワン」を推進するスポーツ専門のシンクタンクです。スポーツに関する研究調査、データの収集・分析・発信や、国・自治体のスポーツ政策に対する提言策定を行い、「誰でも・どこでも・いつまでも」スポーツに親しむことができる社会づくりを目指しています。

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