好調ライプツィヒを最後尾から支えるハンガリー代表の守護神ペテル・グラシ

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【- Sven Sonntag via www.imago-images.de/imago images/Pic】

 23歳のティモ・ヴェルナーや21歳のダヨ・ウパメカノらヤングプレーヤーが脚光を浴びるライプツィヒにあって、チーム最後尾でいぶし銀の輝きを放つ29歳がいる。加入初年度の2015/16シーズン途中から不動の正GKとして君臨し、2018/19シーズンに『キッカー』誌選出の最優秀GKにも輝いたペテル・グラシだ。

 ハンガリー代表の守護神がサッカーを始めたのは5歳のとき。当時から高身長だったこともあり、地元クラブですぐにGKとしてプレーするようになった。13歳になった2003年に名門MTKブタペストの育成機関『シャーンドル・カーロイ・サッカーアカデミー』(Sandor Karoly Labdarugo Akademia=SKLA)に加入。ここで最先端の英才教育を施されたのが最初の転機だった。

 次のターニングポイントが訪れたのは2007年夏、SKLAの提携クラブであるリバプールへの移籍が決まった。17歳になったばかりのグラシがイングランドの名門でレギュラーを確保するのは難しかったが、ヘレフォード、トランメア、そしてハル・シティと、期限付き移籍先で貴重な実戦経験を積んだ。

 2013年夏にリバプールを退団することになるが、グラシのキャリアが上向いたのはまさにここからだった。のちにレーバークーゼンの監督となるロジャー・シュミット率いるザルツブルクで即座に定位置をつかむと、在籍2年間で二度の国内リーグ制覇に貢献。現リバプールのサディオ・マネ、あとにライプツィヒでも同僚になるケヴィン・カンプルやマルセル・ザビツァー、シュテファン・イルザンカーとともにチームの中軸を担った。

 2015/16シーズンに当時2部のライプツィヒへ加入すると、シーズン後半からレギュラーを務め、クラブ史上初のブンデスリーガ昇格の立役者となった。2年目もブンデスリーガで2位躍進に尽力したが、ここ1、2年は当時よりもさらに輝きが増している。いわゆるポカが極端に少なく、堅実なセービングと経験に裏打ちされたコーチングを武器に、チームの堅守構築に寄与。ちなみに、母国ハンガリーでは年間最優秀選手を2年連続で受賞中だ。

 ブンデスリーガだけでなく、欧州チャンピオンズリーグの舞台でも頼れる守護神として活躍。シュート対応スキルが素晴らしく、地面ぎりぎりに飛んでくる低空シュートを弾き出すセービングはピカイチだ。今季はユリアン・ナーゲルスマン新監督の要求に応じ、つなぎのパスの精度と頻度も以前より上がっている。三十路目前ながら、まだまだ成長途上だ。

 ライプツィヒがバイエルン・ミュンヘンと並んでリーグ最少失点(26)を誇るのもグラシの存在があってこそ。若くして脚光を浴びる多くのチームメイトたちとは対照的に、長い下積み生活を経て日の目を見た苦労人がチームをさらなる高みへ押し上げる。

文=遠藤孝輔
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