波乱傾向が強い阪急杯の狙いどころは?

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【2019/12/14 阪神11R タンザナイトステークス 1着 6番 ジョイフル】

フェブラリーSが終わり、今週から中山・阪神・中京へと舞台が替わる。今週は中山記念と阪急杯、重賞は2鞍行われるが、今回の当コラムでは日曜阪神メインの阪急杯を取り上げてみたい。17年には3連単248万3180円の高配当が飛び出すなど、近年は波乱傾向の強いレースとなっている。2015年以降・近5年のデータから馬券での狙いどころを探っていきたい。なお、データの分析には、JRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。

阪急杯 近5年の3着以内馬一覧

■表1 【阪急杯 近5年の3着以内馬一覧】

まず表1は阪急杯近5年の3着以内馬一覧。勝ちタイムは不良馬場だった2015年と12頭立てと頭数が少なかった17年を除いて、1分20秒前後の決着となっている。フルゲートで行われた一昨年と昨年は前半800m45秒台で入り、一昨年は逃げたダイアナヘイロー、昨年は後方から追い込んだスマートオーディンがそれぞれ勝利している。ゴール前で混戦になることが多い一戦で、4コーナー10番手以降からでも差し・追い込みが届くケースも目立っている。脚質的には「どこからでも馬券になる」レースといえるだろう。

人気面では伏兵の激走が目立っており、17年は12頭立てで最低人気だったナガラオリオンが3着と好走。1番人気に推されたシュウジが8着に敗れ、3連単248万3180円の大波乱となった。近3年は7番人気以下の人気薄が続けて勝利。近5年で3連単20万円以上の配当が15年、17年、昨年の3回も出ており、波乱傾向が強い一戦となっている。

阪急杯 近5年の枠番別成績

■表2 【阪急杯 近5年の枠番別成績】

表2は近5年の枠番別成績。勝ち馬5頭中4頭が外の7・8枠から出ている。7・8枠から勝ち馬が出た4回はいずれも出走頭数16頭以上と多頭数で、道中でゴチャつきやすい内枠よりも外の方が気分よく走れるというのがあるのだろう。

ただ、複勝率では内の2・3枠がともに33.3%でトップ。1〜4枠は2着3回、3着4回と2・3着に入るケースが目立つ。なお、5枠のみ3着以内馬が出ていなかった。

阪急杯 近5年の前走クラス別成績

■表3 【阪急杯 近5年の前走クラス別成績】

表3は前走クラス別成績。前走オープン特別組、前走G3組、前走G2組の複勝率はそれほど変わらない。ただ、オープン特別組の複勝回収率が218%とダントツで高いのは3着以内に入った3頭が5・12・7番人気と人気薄だったため。これら3頭はいずれも前走のオープン特別で5着以内に入っていた。前走G3組も3着以内馬6頭中3頭が7番人気以下の伏兵だった。

逆に前走G2組、前走G1組で3着以内に好走した馬はすべて上位4番人気以内に支持されていた。

阪急杯 近5年の前走着順別成績

■表4 【阪急杯 近5年の前走着順別成績】

表4は前走着順別成績。珍しいことに前走で連対した11頭がすべて4着以下に敗れており、波乱傾向が強い最大の要因となっている。前走3着馬の好走も15年1着ダイワマッジョーレのみ。かわって黄色で強調した前走4・5着馬がともに複勝率42.9%と優秀だ。複勝回収率でも100%を大きく超えている。

また、前走6〜9着、前走10着以下からも4頭ずつ馬券圏内に入っている。前走4着以下からの巻き返しに妙味がある一戦といえそうだ。

阪急杯 近5年の前走人気別成績

■表5 【阪急杯 近5年の前走人気別成績】

表5は前走人気別成績。前走で1番人気だった馬は一昨年のダイアナヘイローが勝利し、連対率50.0%・複勝率66.7%と非常に高い。前走5番人気以内だった馬が3着以内馬15頭中12頭を占めている。前走で上位5番人気以内に支持されながら、4着以下に敗れた馬を積極的に狙っていきたい
なお、前走で6番人気以下だった馬は複勝率が低く、苦戦傾向にあるようだ。

阪急杯 近5年の前走競馬場別成績

■表6 【阪急杯 近5年の前走競馬場別成績】

最後に表6は前走競馬場別成績。黄色で強調した前走京都か阪神だった馬が3着以内馬15頭中13頭を占めている。なかでも前走京都組は3着以内馬9頭中5頭が7番人気以下と穴馬を量産しており、複勝回収率も168%と高い。なお、前走東京組で好走したのは昨年3着のロジクライのみで、前走左回りだった馬は【0.0.1.14】と不振傾向にある。

<結論>

■表7 【今年の阪急杯の出走予定馬(2/26時点)※フルゲート18頭。サフランハート以下は除外対象。】

今年の出走予定馬は表7のとおり。

1番人気に推されそうなのが前走京都金杯2着のダイアトニック。昨秋のスワンSを勝利しており、実績上位ではあるが、京都芝に良績が集中しているのが引っかかるところ。阪神芝は17年12月以来で、多頭数をうまく捌けるかも不安材料だ。

これまでのデータからジョイフルレインボーフラッグを穴候補で挙げておきたい。ジョイフルは前走シルクロードSで5番人気に支持されて7着と敗れたが、勝ち馬とは0秒3差。2走前のタンザナイトSでは後方から追い込んでナックビーナス以下を破って勝利している。阪神コースでは3戦2勝と相性が良く、巻き返しが期待できる。

レインボーフラッグは昨春にオープン入りしてから馬券圏内に入っていないが、2走前の阪神Cで6着。このレースはグランアレグリアが2着に5馬身差をつけて快勝しており、レインボーフラッグは勝ち馬に次ぐ上がり2位の脚で2着フィアーノロマーノとは0秒3差まで追い込んでいる。前走洛陽Sは4番人気で8着。展開的に恵まれないと厳しい面はあるが、人気的に狙って面白い一頭だろう。

前走阪神Cで2番人気に推されながら13着と大敗したマイスタイルも巻き返す力は十分にあり、注目しておきたい。前走5番人気以内で馬券圏外に敗れた馬の巻き返しに期待して、馬券作戦を組み立ててみたい。
文:ケンタロウ(けんたろう)
1978年6月、鹿児島県生まれ。早稲田大学社会科学部卒業。初めて買った馬券が大当たりし、それから競馬にのめり込むように。データでは、開催日の馬場やコース適性に注目している。好きなタイプは逃げか追い込み。馬券は1着にこだわった単勝、馬単派。料理研究家ではない。
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著者プロフィール

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