ンドカ ボニフェイス、『スキル+身体能力=最強DF』へのトライ

水戸ホーリーホック
チーム・協会

【©?MITOHOLLYHOCK】

「テクニックとスキルは違う」。

秋葉忠宏監督はそう言い切り、その違いについてこう説明する。
「テクニックとはボールを扱う技術。スキルとは判断を伴う技術のことを言います。たとえば、センターバックの選手がボールを持ったとします。相手がプレッシャーをかけてきた時、パスを出すだけでなく、前に持ち運べば、一気に攻撃の幅が広がります。その判断こそがスキルなんです」

そして、こう付け加えた。
「水戸の選手たちにもそういうトライをさせていきたい」

2月1日の鹿島アントラーズとのプレシーズンマッチにおいて、ンドカ ボニフェイスは監督の要求にトライし続けた。最終ラインでこまめに位置取りを変えながらボールを引き出し、ゴールキック時にもペナルティエリア内に入ってパスを受けて攻撃を開始させ、相手FWがプレッシャーに来た際には前に持ち運ぶ姿も見られた。ロングボールを多用していた昨季とは違った姿がそこにあった。
「センターバックに要求されることが昨年から変わっている」とンドカは説明する。

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センターバックの攻撃面の要求が増えたことが昨季からの最大の変化

昨季、センターバックは守備に専念するため、早くボールを離すことを求められていた。その結果、守備を安定させることができたものの、ビルドアップという点に関しては課題を残し、ボールを持つ展開になった時に強さを発揮できない試合も少なくなかった。センターバックの攻撃面の要求が増えたことが昨季からの最大の変化と言える。

その役割の変化に「やりがいを感じている」とンドカは言う。「足元でつなげないセンターバックは先がない。そこは自分の課題ですが、自信がないわけではない。前向きにやっていきたい」と強い口調で語った。ビルドアップをするべき場面、前にボールを運ぶべき場面、ロングボールを蹴る場面、それらを使い分けながら、チームに勢いをもたらすことも今季のセンターバックとして大きな役割である。「その判断が昨季よりも必要になる」と自らに言い聞かせるように口にした。

プロ2年目の昨季はセンターバックとして18試合に出場。特に細川淳矢が負傷して欠場が続いたリーグ前半戦は最終ラインで持ち前の強さと高さを発揮して、スタートダッシュに大きく貢献してみせた。しかし、その後は2度の退場処分を受けるなど、「悔しい経験の方が多かった」と振り返る。出場機会が増えた反面、課題も多く突きつけられた。しかし、出場機会に恵まれない中でもンドカは立ち止まっていたわけではない。公式戦も練習試合も出場したすべての試合に関して、映像を見てプレーの分析レポートを書いて強化部に提出し続けた。いい時も悪い時も自分のプレーを見つめ、年間通して頭の中を整理し続けてきたのだ

2年間の経験を証明するシーズンへ

だからこそ、「自分には2年間学んできたことがある」と言い切る。「サッカーにおいて守備でどういう現象が起きるかという選択肢が自分の頭の中に入っている」。味わった苦い経験も糧に進化を続けているのだ。今季はそれを証明するシーズンとなる。

今年の鹿島戦、新たなスタイルにトライしたものの、「うまくいかないことの方が多かった」と悔やむ。でも、自信を失っているわけではない。「鹿島戦のことを常に頭に入れて取り組んでいる」と語るように、開幕に向けての反省材料として成長の糧としている。

強さだけではない。高さだけでもない。磨き続ける「スキル」と身体能力の高さが融合した時、最終ラインで絶大な存在感を発揮することだろう。目指すべき姿に向かって、ンドカ ボニフェイスはトライし続ける。

(佐藤拓也)
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著者プロフィール

Jリーグ所属の水戸ホーリーホックの公式アカウントです。 1994年にサッカークラブFC水戸として発足。1997年にプリマハムFC土浦と合併し、チーム名を水戸ホーリーホックと改称。2000年にJリーグ入会を果たした。ホーリーホックとは、英語で「葵」を意味。徳川御三家の一つである水戸藩の家紋(葵)から引用したもので、誰からも愛され親しまれ、そして強固な意志を持ったチームになることを目標にしている。

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