芝長距離のハンデ重賞・ダイヤモンドSを分析する

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【2019/2/16 東京11R ダイヤモンドステークス(G3) 1着 10番 ユーキャンスマイル (1番人気)】

2004年から東京競馬場の芝3400mを舞台に争われているダイヤモンドS。芝2000mを超える距離の平地G3はほかになく、G2以上を含めても芝3000m以上のハンデ戦はこの一戦のみ。そして東京競馬場の平地競走としては唯一、芝3000m以上で行われるレースでもある。近年はフェイムゲームやファタモルガーナがいわゆる「リピーター」として活躍していたが、今年はどうやら昨年の1〜3着馬不在となりそうだ。ここでステイヤーとしての資質を開花させるのはどの馬か。過去の傾向から分析したい。。データの分析には、JRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用し、過去10年を対象とした。

人気別成績

■表1 【人気別成績】

まずは人気別の成績から。1番人気が【7.1.0.2】と安定しており、現在は3連勝中。このうち、単勝オッズ3倍を切った5頭はすべて優勝、3倍台の馬も【1.1.0.0】と連対を外していない(単勝3倍台の2〜3番人気は【0.0.2.2】)。1番人気馬が単勝4倍以上にさえならなければ、連軸としての信頼性は非常に高そうだ。

優勝馬10頭中8頭は単勝1〜2番人気。4番人気だった2016年の優勝馬・トゥインクルも単勝6.8倍で、1番人気・4.2倍のタンタアレグリア(4着)との差は小さかった。また、3着以内の30頭中28頭は8番人気以内。2012年に単勝配当1万9000円を記録したケイアイドウソジン(15番人気)の印象が強烈だが、過去10年全体をみればハンデ戦としては荒れづらい部類に入るレースだ。

年齢別成績

■表2 【年齢別成績】

年齢別では、4歳馬が複勝率50.0%の好成績。7歳馬は同8.0%と不振だ。しかしベテラン馬全体の成績がまったく悪いわけではなく、6番人気以内の馬にかぎれば7歳以上でも【1.4.1.12】複勝率33.3%と、5〜6歳馬【4.2.3.17】同34.6%に引けを取らぬ成績を残していることには注意したい。

枠番別成績

■表3 【枠番別成績】

枠番別で複数の優勝馬を出しているのは、4勝の8枠と2勝の7枠。特に8枠は【4.3.2.11】で複勝率は45.0%と群を抜いている。その8枠の3着以内馬9頭中7頭は1〜2番人気、残る2頭は3、6番人気と、好走馬の大半を上位人気馬が占めていた。4番人気以下の中〜下位人気勢にかぎると4枠以内から多くの好走馬が出ており、1〜4枠が計【1.6.4.44】複勝率20.0%、5〜8枠は計【1.1.2.56】同6.7%となる。表1のとおり穴馬の出番はさほど多くないレースだが、中位人気勢を狙うなら内めの枠を引いた馬を重視したい。

前走クラス別成績

■表4 【前走クラス別成績】

前走クラス別で好走馬が多いのは中央G2組と、オープン特別組。この2つで3着以内好走馬の3分の2を占めている。ただ、好走確率は特に目立ってはおらず、前走クラスだけで優劣をつけるのは避けたい。また、平地のG3競走に長距離戦がないためか、前走でダイヤモンドSと同じG3に出走していた馬は8頭と少ない。

前走G1〜G2(海外含む)からの好走馬

■表5 【前走G1〜G2(海外含む)からの好走馬】

表5は、前走でG1またはG2に出走していた好走馬15頭である(海外含む)。この組は前走で5着以内なら【4.2.2.12】複勝率40.0%、6着以下は【2.2.3.29】同19.4%となり、このレースより格上のG1やG2で掲示板を確保できた馬なら信頼性は高い。
また、前走で4着以下に敗れながらも今回好走した10頭のうち9頭は、直近のG3以下のレースでは3着以内を確保していた(8頭は2着以内)。その「直近」が1年以上前だったり、条件戦だったりしても問題はない。出走履歴からG1やG2を消し、G3以下の成績だけを見て予想する手もありそうだ。

前走オープン特別からの好走馬

■表6 【前走オープン特別からの好走馬】

前走G3からの3着以内馬は不在。オープン特別からは9頭の好走馬が出ており、そのうち7頭は芝3000mの万葉S出走馬である。この万葉S組全馬の成績は【3.2.2.31】で複勝率18.4%。好走した7頭すべてに共通するのは、万葉Sでハンデ55キロ以下かつ5着以内、そして今回6番人気以内に支持されていたことだ。この3条件をすべて満たす馬にかぎると【3.2.2.5】で複勝率は58.3%まで上がるため、該当馬がいれば注目は欠かせない。
残る2頭は、芝2000mの白富士Sに出走していたセイクリッドバレーと、前走・師走Sが1年3カ月ぶりのダート戦だったケイアイドウソジン。セイクリッドバレーは4年以上前の菊花賞7着以来となる芝長距離(2000m超)戦、そしてケイアイドウソジンは6歳にして芝3000m以上初出走と、近走から目先を変えてきた馬には念のため注意を払いたい。

前走条件戦からの好走馬

■表7 【前走条件戦からの好走馬】

最後に表7は、前走条件戦からの好走馬6頭である。このうち、2010年のベルウッドローツェを除く5頭は、前走から中1〜2週での出走だった。この「前走条件戦・中1〜2週」に該当する馬は【0.2.3.11】で複勝率は31.3%。数少ない芝長距離のオープン特別〜G3戦を逃すまいと、間隔を詰めてでも出走してきたような馬が結果を残している。

以上、ダイヤモンドSの傾向をまとめてみた。まず、ハンデ戦ながら1番人気馬が安定していることは見逃せない(表1)。前走クラス別では、それぞれに条件をつけ加えると好走確率の高いグループが見えてくる(表5〜7)。格上のG1やG2に出走していたからと狙うのではなく、オープン特別や条件戦組も含めて好走パターンに当てはまる馬をしっかりと見極めたい一戦だ。
文:浅田知広(あさだ ともひろ)
1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。
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著者プロフィール

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