春のG1へ向け好スタートを切る馬は? アメリカJCCを分析する

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【2019/1/20 中山11R アメリカジョッキークラブC(G2) 1着 8番 シャケトラ(7番人気)】

中山競馬場の芝2200mを舞台に行われるアメリカジョッキークラブC(以下アメリカJCC)。以前から春の天皇賞を目指す実力馬が多く出走しており、過去10年では2015年のゴールドシップ(本競走7着)、そして昨年のフィエールマン(同2着)が天皇賞を制した。また、2017年には距離や時期がより近い大阪杯がG1に昇格。以降の3年ではまだアメリカJCC出走馬が大阪杯で馬券に絡んだ例はないが、今後は活躍する馬も出現するに違いない。今回は、そんなアメリカJCCの過去の傾向を見てみたい。データの分析には、JRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。

人気別成績

■表1 【人気別成績】

過去10年、1番人気は【2.3.0.5】だが、優勝馬2頭は2011年と2012年。ここ3年連続で2着こそ確保しているものの、1着候補としてはやや不安の残る成績だ。続く2、3番人気は計【4.2.5.9】で複勝率55.0%。このうち単勝4.6〜6.5倍の馬は【3.2.1.1】で複勝率85.7%を記録しており、該当馬がいればぜひ注目したい。ほかに7番人気が【2.1.1.6】で複勝率40.0%などの好成績を残している。

年齢別成績

■表2 【年齢別成績】

年齢別の連対率・複勝率では4歳馬が一歩リードしているが、優勝馬は一昨年のダンビュライト1頭にとどまるほか、3着以内に入った7頭中6頭は3番人気以内だった。勝つ確率や配当妙味重視なら、5歳以上の馬のほうがおもしろい。

枠番別成績

■表3 【枠番別成績】

枠番別の成績は、中枠優勢の傾向だ。中でも6枠を引いた馬が5番人気以内に支持されると、【4.1.0.2】で連対率71.4%と抜群の安定感を示している。対して1、7、8枠は5番人気以内の計15頭がすべて3着以下に敗退するなど、内や外を引いた馬は特に連対候補としては厳しくなる。

前走クラス・着順別成績(本年登録馬の該当クラスのみ)

■表4 【前走クラス・着順別成績(本年登録馬の該当クラスのみ)】

本年の登録馬は前走でオープン特別、中央G3、中央G1、海外G1(過去10年に該当馬なし)のいずれかに出走していた。これまでの前走クラス・着順別成績を見ると、オープン特別組とG3組は前走連対馬が上々の成績。前走中央G1組は掲示板外からの巻き返しも数多い。また、この中で優勝馬を出しているのは中央G1組のみである(ほかにG2組3勝、条件戦組1勝)。

前走G1からの3着以内好走馬

■表5 【前走G1からの3着以内好走馬】

前走中央G1組の好走馬は表5の12頭だ。表4の通り前走・G1での着順はまったく参考にならず、ここでは前年の成績に注目したい。1年以上の休養明けで勝利を飾った昨年のシャケトラを除く11頭中9頭には前年のG2以上で連対実績があり、残る2頭は1年で4勝を挙げていた。このうち有馬記念(前年)組6頭はすべて前者、G2以上での連対を果たしている。

前走オープン特別・中央G3からの3着以内好走馬

■表6 【前走オープン特別・中央G3からの3着以内好走馬】

続いて表6は、前走オープン特別・中央G3からの好走馬11頭である。こちらの前走はすべて11月以降の芝1800〜2000m戦。また、アメリカJCCより200m短い芝2000mのG3で連対した実績を持つ馬が多いのも特徴で、11頭中8頭がこれに該当していた。中にはミヤビランベリ(アルゼンチン共和国杯、目黒記念)、フェイムゲーム(後に天皇賞・春2着、ダイヤモンドS3勝など)といった長距離型の馬も見られるが、いずれもこのレースより前に芝2000mのG3を制していた。また、一昨年3着のマイネルミラノはG3【1.1.2.12】に対しG2【0.0.0.5】、昨年3着のメートルダールはG3【1.1.3.2】・G2以上【0.0.0.4】と、実績からはG2では苦しいと思われるような馬にも警戒が必要だ。

【結論】

過去10年、前走オープン特別組や中央G3組には勝利がなく、今年は前走中央G1組から1着候補を選びたい。その筆頭格はスティッフェリオ。前走・有馬記念はリスグラシューに3.5秒も離された13着大敗を喫したが、これは厳しい展開の中でも積極的に前を追って勝負に出た結果。表4、5にある通り、前走がG1ならその着順は不問だ。有馬記念(前年)組の好走馬6頭と同じく「前年のG2連対」(オールカマー1着)があり、同コースの今回は大きく巻き返せそうだ。

相手候補はまずラストドラフト。本馬の前走・中日新聞杯が12月に行われたのは過去10年で5回しかないが、それでも3着以内馬3頭を出している。G3組は前走連対馬が複勝率44.4%の好成績(表4)。ラストドラフトは同レース2着のほか、昨年1月には京成杯も制し、この組の多くの好走馬に共通する「芝2000mG3連対」もクリアする(表6)。ただ、4歳馬のため当日4番人気以下ならやや割引が必要だろう(表2)。

その他では、一昨年の2着馬・ミッキースワロー。前走・福島記念で連対に届かなかった(3着)ためラストドラフトには及ばない評価になるものの、こちらも昨年の七夕賞1着、新潟大賞典2着と、芝2000mのG3連対実績馬だ。

なお、一昨年の有馬記念馬・ブラストワンピースは、過去10年に出走例がない帰国初戦。JRA-VAN Data Lab.でデータが提供されている1986年以降でも、1996年のスキーキャプテン(ケンタッキーダービー14着以来、8カ月半ぶり)が2番人気で8着に敗れた1例しかない。中央G1組(表5)の傾向を当てはめれば「前年のG2連対」(札幌記念優勝)を満たすが、単複の回収率が低く、近年は勝ち切れない1番人気(表1)の支持が予想されるだけに、強くは推しづらい印象だ。
文:浅田知広(あさだ ともひろ)
1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。
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著者プロフィール

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