【サーフィン】WSLはプールからメディア事業に方針転換か、ソフィー・ゴールドシュミッドCEOが辞任

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【WSL】

現地時間1月14日、World Surf League(以下WSL)は、ソフィー・ゴールドシュミッド氏が代表取締役(CEO)を辞任し、これまでコンテンツ・メディア・スタジオ部門の代表を務めていたエリック・ローガンが、今週からCEOに就任することを発表した。

男女賞金平等化、ウェイブプールでのCT開催に尽力したゴールドシュミッド氏

2019年から全てのWSLイベントで男女の賞金が同額になった 【Photo: WSL/ Miers】

ソフィー・ゴールドシュミッド氏は2017年にCEOに就任。過去には、WTA(女子テニス協会)、NBA(米ナショナル・バスケットボール・アソシエーション)、RFU(英ラグビーフットボール協会)といった、数々のプロフェッショナルスポーツ団体に所属。「CSM Sport and Entertainment」でもグループマネージングディレクターを務めるなど、スポーツマーケティング業界で世界的なビジネス展開を担ってきた。

WSLでは、組織構造の変革を主導。サーフィンのスポーツとライフスタイルに関わるビジネスチャンスの再創出に焦点を当てていた。

在職期間中、男女賞金の平等化の制度を整備。2019年から適用され、アメリカを拠点とする世界的なスポーツ組織で初めての取り組みとなった。その他にも、Facebookとのパートナーシップ契約など、前例のないデジタル配信体制を築いた。

さらに、WSLの人工サーフィン施設『サーフランチ』で史上初のチャンピオンシップツアーを開催し、海洋環境の啓発プログラム『WSL PURE』を再開した。

WSLは発表のなかで「(ソフィーは)世界的にWSLの存在感を大幅に高め、ダイナミックな新しいリーダーシップチームを構築した」と評価した。

ゴールドシュミッド氏は、「在籍中、敏腕な同僚達や、選手、パートナー、世界中のサーフコミュニティたちと仕事ができたことは特権でした。サーフィンはユニークで魅惑的で刺激的であり、WSLの代表を務められたことは私のキャリアのハイライトです。」とコメントしている。

2018年には人工サーフィン施設「サーフランチ」で初のCTイベントが開催された 【PHOTO: WSL/Vankirk】

コンテンツ・メディア事業を強化するための交代

WSLの発表で、WSLのオーナーであり取締役のダーク・ジフは「スポーツ、メディア、エンターテインメントが一体化していくトレンドのなかで、私たちは今が変化を起こす時だとお互い合意しました。エリック・ローガンは実績のあるリーダーであり、個人的にもサーフィンに造詣のある世界クラスのメディアエグゼクティブです。彼がCEOとして何を成し遂げるのか楽しみにしています。ソフィーのサーフィンへの貢献に常に感謝し、WSLの次章を楽しみにしています。」とコメントした。

ゴールドシュミッド氏も「WSLは、これからコンテンツとメディアによりフォーカスした会社になるための準備ができています。取締役会と私は相互に、今がその時であると合意しました。エリックとはよく一緒に仕事をしていましたが、彼はWSLを次の時代に導くための適任です。この先どんな未来が待っているのか楽しみです。」とコメント。

彼女は、今後も諮問委員会に加わり、引き続きWSLに助言を行っていくという。

メディア部門のトップだったエリック・ローガン

Erik Logan 【Photo: WSL】

エリック・ローガンは、過去にアメリカのケーブルチャンネル会社Oprah Winfrey Network (OWN)の代表、Harpo Studiosの副社長を務めていた経歴を持つ。

2019年2月からWSLのコンテンツ・メディア・スタジオ部門の代表を務め、ライブ配信の改善や、ABC放送との『Ultimate Surfer』やHBOとの『24/7: Kelly Slater』などWSLプラットフォーム外でのTV番組制作に尽力してきた。

ローガン氏は今後、インターナショナルでのビジネスとメディアの経験を活かし、引き続きWSLをワールドクラスのライブイベント、メディアカンパニーに変えていく。具体的には、サンタモニカの本部を拠点に、ツアー、スタジオ、ウェーブプールの3事業を監督する。

ローガン氏は以下のようにコメントしている。
「サーフィンにはパワーがあります。人生の後半でサーフィンに出会ったひとりの人として、サーフィンがいかに人生やコミュニティ、世界に影響を与えるかを理解しています(中略)WSLで世界レベルの人々を率いること、そしてビジネスパーソンとしての情熱とプライベートでの情熱を結びつけることができて、夢のようです」

海外メディアの反応

今回の発表を受け、豪STAB誌は「ローガンは実際にサーフィンをする初めてのWSL CEOであり、それは喜ばしいこと」と明言。一方、米SURFER誌は「辞任の真相は不明だ」と疑問を呈している。
ゴールドシュミッド氏は、以前英ビジネス誌のインタビューに「ウェイブプールはゲームチェンジャーになり得る可能性を多大に秘めており、それこそが私がWSLに来た理由だ」と語っていた。

サーフランチで「Founders Cup」やCTイベントを初開催するなど、サーフィン業界にとって新しい時代の幕開けを感じさせる出来事となった。一方で、フロリダは建設中止、木更津での建設計画が頓挫しかけているなど、世界展開の見通しはなかなか立たず、目標としていたウェイブプールでの五輪開催は東京でもパリでも難しくなった。

新CEOのローガン氏も引き続きウェイブプール事業は行っていくとのことだが、今回のCEO交代は、プール事業からメディア事業に重点を置いていくというWSLの方針転換を表しているのではないだろうか。

(THE SURF NEWS編集部)
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