2019/2/17 東京11R フェブラリーS(G1) 1着 6番 インティ

2019年の各種データから最新の「逃げ騎手」を分析!

JRA-VAN

今回は、2019年の最新データに基づく「逃げ騎手」を調べてみたい。具体的には「逃げた回数」「逃げ率」「逃げの勝率」「逃げの単勝回収率」「1、2枠からの逃げ」「7、8枠からの逃げ」の6項目について、それぞれの上位の10騎手を見ていく。果たして、現在はどの騎手がよく逃げ、よく勝っているのだろうか。集計対象は2019年の平地戦。データの分析には、JRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。

2015〜2019年の逃げ馬成績

■表1 ■表1 2015〜2019年の逃げ馬成績

「逃げ騎手」のデータを見る前に、過去5年の「逃げ」に関する基本データを概観しておきたい。表1の通り、「逃げ」の好走率に関する3項目(勝率、連対率、複勝率)の数値は、全体に年を追って高くなってきている。単複の回収率も、いちばん低い数値でも15年の単勝回収率163%、19年の複勝回収率135%と毎年必ず優秀な数値を記録している。こうしたデータを見ると、やはり逃げ馬の価値は高い。ということは、よく逃げる騎手、逃げてよく勝つ騎手を知ることは決して損にはならないはずだ。なお、「逃げ」の定義については、TARGET frontier JVによる脚質の分類を利用している。

逃げ馬の騎手別成績(逃げた回数順)

■表1 ■表1 逃げ馬の騎手別成績(逃げた回数順)

表2は、2019年に「逃げた回数」が多い騎手を10位まで示したもの。興味深いのは、上位5位までのうち、1位の松山弘平騎手、2位の横山武史騎手、3位の西村淳也騎手、5位の三浦皇成騎手の4人は、いずれも自身の年間最多勝を更新したことだ。また、4位の武豊騎手も4年ぶりに100勝の大台に乗せている。こうした好調の裏には、逃げの回数が多いことも理由のひとつとして考えていいのではないだろうか。

逃げ馬の騎手別成績(逃げ率順)

■表3 ■表3 逃げ馬の騎手別成績(逃げ率順)

表3は、2019年の全騎乗に占める「逃げの割合」が高い騎手を10位まで示したもので、騎乗100回以上の騎手を集計対象としている。トップの逃げ率15.3%を記録したのは水口優也騎手。全騎手の平均逃げ率が7.6%なので、通常のほぼ2倍の確率で逃げているという計算になる。ちなみに、2019年に水口騎手が騎乗した馬の単勝オッズは平均117.7倍(全騎手平均64.0倍)で、逃げ馬に限っても平均65.0倍(同35.1倍)。あまり人気のない馬に騎乗するケースが多くなっているが、それでも逃げれば複勝率30.8%、複勝回収率212%という優秀な成績を収めている。これも「逃げ」の優位性を表すデータのひとつと言えるだろうし、水口騎手の逃げ率が高いから残すことのできたデータとも言えそうだ。
また、ランキング全体の年齢分布は、10代1人、20代5人、30代3人、40代ゼロ、50代1人となっている。30代の3人もすべて35歳未満だから、逃げ率上位10騎手の大半は若いジョッキーであることもわかる。そんななか、今年3月には51歳となる武豊騎手が逃げ率12.4%で3位というのは異彩を放つ。昨年のフェブラリーSではインティに騎乗して逃げ切っており、今年も大舞台での逃走劇を見られるかもしれない。

逃げ馬の騎手別成績(勝率順)

■表4 ■表4 逃げ馬の騎手別成績(勝率順)

表4は「逃げの勝率」が高い騎手を10位まで示したもので、2019年に30回以上逃げた騎手を集計対象とした。1位ルメール騎手、2位川田将雅騎手という順番は、そのまま全国リーディングと同じ。いずれも勝率40%を超え、複勝率はルメール騎手が72.3%、川田騎手に至っては83.3%という高さだ。両騎手ともに逃げたら好走濃厚と言っても過言ないほどだ。また、ルメール騎手は逃げた回数が65回で12位、逃げ率10.0%も15位と、思った以上によく逃げるジョッキーである点にも注意したい。

逃げ馬の騎手別成績(単勝回収率順)

■表5 ■表5 逃げ馬の騎手別成績(単勝回収率順)

表5は、「逃げの単勝回収率」が高い騎手を10位まで示したもので、2019年に30回以上逃げた騎手を集計対象とした。1位の鮫島克駿騎手が今年6年目、2位の亀田温心騎手、3位の菅原明良騎手、5位の岩田望来騎手はいずれも今年2年目と、若手ジョッキーが上位に多く入っているのがこのランキングの特徴となっている。この4人に共通する傾向は、1着数に対して2、3着の数は少ないこと。つまり、逃げ切ったときに穴をあける反面、2、3着に粘るケースはあまりない。彼らの逃げを狙う場合は馬単や3連単の1着固定で買い目を組むと効率がよさそうだ。

1、2枠に限った逃げ馬の騎手別成績(着別度数順)

■表6 ■表6 1、2枠に限った逃げ馬の騎手別成績(着別度数順)

表6は、「1、2枠」に限った逃げ馬の騎手別成績を着別度数順で示したもの。内枠に入った逃げ馬は、スタートを決めれば優位を築きやすい反面、出遅れてしまうと挽回が難しい。プレッシャーのかかる状況と言えるが、ここにランク入りした騎手たちは、そうした状況にも強いジョッキーと考えられるのではないか。興味深いことに、新人の最多勝記録保持者である三浦皇成騎手が1位、その先代の記録保持者である武豊騎手が2位という並びとなっている。両者ともにデビュー直後から注目されるキャリアを送ってきただけに、重圧のかかるシチュエーションには慣れているのかもしれない。

7、8枠に限った逃げ馬の騎手別成績(着別度数順)

■表7 ■表7 7、8枠に限った逃げ馬の騎手別成績(着別度数順)

表7は、「7、8枠」に限った逃げ馬の騎手別成績を着別度数順で示したもの。逃げ馬が外枠に入った場合、先頭に立つまでに余計な脚を使わされる恐れもあるが、そんな場合にも上手に立ち回っている上位10人と言い換えられるかもしれない。1位となったルメール騎手は、そんな状況でも非常に好走率を記録。一例として、昨年12月のターコイズSでは逃げ馬のコントラチェックに騎乗し、レイアウトの関係で不利とされる中山芝1600mの外枠を引いてしまったが、難なくハナを奪って快勝している。また、武豊騎手はこのランキングでも2位。内枠だろうが外枠だろうが関係なく、達人ぶりを見せつけている。

文:出川塁(でがわ るい)
1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。

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