【天皇杯決勝】監督会見「歴史的な日を私は一生忘れない」トルステン フィンク監督

ヴィッセル神戸
チーム・協会

【VISSEL KOBE】

1月1日(水)、国立競技場にてスポーツの試合開催としてはこけら落としとなる天皇杯 JFA 第99回全日本選手権大会決勝が行われ、ヴィッセル神戸が鹿島アントラーズを2-0で破り、令和初となる天皇杯王者に輝いた。ヴィッセル神戸としてはクラブ25周年を迎えるこの日に創設以来初となるタイトル獲得となった。

東京オリンピックのメイン会場となる国立競技場での記念すべき試合であり、ヴィッセル神戸にとっても歴史に残る試合となったこの一戦。指揮を執ったトルステン フィンク監督の試合後会見の全文をお届けする。

トルステン フィンク監督

試合中、ベンチから立ち上がり大きな声で指示を出す姿も。 【VISSEL KOBE】

一体感もあり、チームスピリットも素晴らしかった

試合総括
まず前半がすごく良かったと思います。我々の思い描くプレーができていましたし、いい時間帯に得点を奪えたことがすごく大きかった。一方、後半はディフェンシブすぎたところもありました。相手が3バックになったことで、我々にとっては問題があったというか。そういった中で、我々は3点目を取れるチャンスもありましたし、結果的に2?0で勝つことができてとても満足しています。

このクラブは25年目になりますが、初タイトルを獲れたことを誇りに思います。クラブだけではなく、応援してくれる方やスポンサーの皆さんもいます。神戸の街にとっても、すごくいいことだと思います。新国立競技場での初めての公式戦で勝てた歴史的な日を私は一生忘れることはないでしょう。

一つ言い忘れましたが、皆さん明けましておめでとうございます。私が来てから半年間くらいですが、メディアの皆さんにも感謝したいです。一緒に素晴らしい仕事ができたと思います。選手たちも一人ひとりが感謝の気持ちを持ち、一体感もあり、チームスピリットも素晴らしかった。

最後に、今日はすごく難しい決断をしなければいけなかったのですが、それはセルジ サンペール選手をベンチ外になったことです。19人で神戸に来て、ダビド ビジャ選手にするか、セルジ サンペール選手にするか悩んでいました。ビジャ選手はこれまで決勝戦をいくつか経験していますし、彼の決定力は必要になるのではと考えて彼をメンバーに入れることにしました。ただ、サンペール選手は人柄も素晴らしいし、今後のヴィッセル神戸にとっても重要な選手ですので、本当に難しい決断でした。

中盤低めの位置からゲームを組み立てたイニエスタ選手。後半は怪我を押して88分までプレーを続けた。 【VISSEL KOBE】

3人(イニエスタ選手、ポドルスキ選手、ビジャ選手)同時にプレーさせたくなかった。

今日はFWに藤本選手とポドルスキ選手を起用されました。狙いを教えてください。
藤本選手は相手の裏のスペースを狙うことができます。彼は鹿島アントラーズ相手に過去にも何度も点を取っているので、彼に期待できるのではないかと。

ポドルスキ選手に関しては、その能力やクオリティーは違いを生むことができます。彼も前回の鹿島戦で素晴らしいプレーをしましたし、今日も1点目に絡んでくれました。2人とも得点に絡んでくれたので、結果的には良かったと思います。

後半、鹿島がシステムを変えたことで全く違う試合になりました。後半20分くらいには選手を変えようという動きがあったように見えましたが、変えずにそのまま続けさせました。それはどういう判断だったのでしょうか?
相手がシステムを、我々と同じ3?4?3に変えたことで、似たような戦い方になりました。後半は鹿島のほうがゴールを狙う必要性が高かったので、我々も(システムを)変えるか、変えないかは考えていました。

そういった中でアンドレス イニエスタ選手は足に痛みがあると伝えてきて、それでも「続けられる」と。ポドルスキ選手も、この数週間はフィットネスとの戦いがありました。ビジャ選手も同じケースでした。ですので、3人同時にプレーさせたくないという思いがありました。

システムの変更は考えましたが、とりあえずはそのまま続けて、田中順也選手を投入しました。惜しくも3点目は取れませんでしたが、結果的に、システムを変えなかったことは良かったと思います。

試合前にはサポーターによるコレオグラフィーが行われた。 【VISSEL KOBE】

すぐに結果を求めるのではなく、慎重に仕事をしないといけない。

新国立競技場での初めての試合に6万人近くが集まりました。会場の印象を聞かせてください。
今日のこの環境は素晴らしかったです。スタジアムの設備もすべて新しくて良かったです。今日の試合は1月1日で、リーグ戦が終わってから長くシーズンが続きましたので、フィジカル的にもハードでした。

今日の試合、勝てればいいのですが、負けた場合は負担が大きくなります。鹿島アントラーズへのリスペクトも見せたいと思います。この試合はクラブも私たちも一生忘れないと思います。

監督はシーズン途中から指揮を執られて、うまくいかない時期もあったと思いますが、そこを立て直す難しさは、どんなところに感じましたか?
確かに私が来る前には公式戦9連敗という時期もありましたし、私が来てからも難しい時期はありました。とにかく大事なのは、努力をすること。選手たち、スタッフを含め、アナリストや分析担当者もチームに貢献してくれました。何より大事なのは、すぐに結果を求めるのではなく、慎重に仕事をしないといけないということ。そうしないと前を向いて進むことはできません。

幸い、このクラブにはリーダーシップのある選手が多くいます。イニエスタ選手はキャプテンとして私の言うことを理解し、チームメイトのお手本になってくれますし、ビジャ選手もポドルスキ選手もそういったキャラクター性を持っています。日本人選手においても、山口蛍選手はこのシーズン、代えの利かない選手でした。彼の存在はとても大きく、また日本代表に呼ばれても不思議はないでしょう。

また、酒井高徳選手はドイツ語ができるので、私とダイレクトにコミュニケーションを取ることができます。これらを生かしながら、慎重に仕事を進めてきたことで、チームはだんだんと良くなっていったんだと思います。

ビジャ選手がチームを離れます。来シーズンに向けた補強プランや方針は決まっていますでしょうか?
クラブ内ではもちろん補強の話はしています。どこのポジションか、どんなプレースタイルの選手が必要か。ビジャ選手が引退しますが、夏に加入した藤本選手はこの半年間だけプレーするために神戸に来たわけではありません。彼には期待していますし、田中順也選手も今シーズンいいプレーをしてくれました。攻撃面は頼れる選手がいます。今後、新たな補強があった時は、その時に皆さんにご報告します。


就任から約半年がたち、フィンク監督のチームの掌握が進んでいる。一体感を作り出し、困難な時期を潜り抜けたことでクラブ初となる栄冠を掴んだ。2020シーズンはACLにも初挑戦となり、今後の更なる飛躍が期待される。
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