今年も20万馬券以上!? 阪神カップを分析する

JRA-VAN
チーム・協会

【2018/12/22 阪神11R 阪神カップ(G2) 1着 3番 ダイアナヘイロー (11番人気)】

過去の実績による斤量の加増がない「定量戦」で行われる阪神カップ。3・4歳以上のG1はすべて定量戦だが、G2では本競走と札幌記念の2レースしか行われていない。特に阪神カップはG1がない芝1400m戦であるため、ここを目標にした距離巧者が激走を見せることも多く、過去10年のうち6回は3連単20万馬券以上。今回は、そんな荒れ模様の阪神カップを分析したい。データの集計・分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。

1〜3着馬の人気と3連単配当(2009年は2着同着)

■表1 【1〜3着馬の人気と3連単配当(2009年は2着同着)】

過去10年、1番人気は【1.0.1.8】に終わっており、優勝馬10頭中4頭は7番人気以下。3連単では20万馬券以上が6回を数え、2009年も2着同着にならなければ20万馬券以上だった。5番人気以内の馬が1〜3着を占めたのは15年の1回のみ。残る9回は、7番人気以下から少なくとも1頭が3着以内に入っている。15〜17年はこのレースとしては落ち着いた配当だったが、昨年は2桁人気馬2頭が馬券に絡み、34万馬券が飛び出した。

東西所属別成績

■表2 【東西所属別成績】

関西・阪神競馬場で行われるレースのため、出走馬の約3分の2は関西馬。しかし、優勝馬10頭中8頭、連対馬21頭中14頭を関東馬が占め、好走確率や回収率でも関東馬が関西馬を圧倒している。過去10年のうち、2回以上馬券に絡んだ関西馬はダンスディレクター(15年、17年ともに2着)1頭なのに対し、関東馬はキンシャサノキセキ、サンカルロ、リアルインパクトが連覇を飾り、ほかにイスラボニータとガルボが2連対を記録している。過去に阪神芝1400mで好走実績があるなど、ここを目標にしてきたと思われる関東馬には特に注意を払いたい。

性齢別成績

■表3 【性齢別成績】

牡・セン馬の年齢別では、3、4、6歳馬が複勝率20%台をマーク。ただ、3、4歳はともにやや勝ち切れない傾向にあり、勝率では12.9%を記録した6歳馬が他を大きく引き離している。連対率も6歳馬が優勢だ。また、6歳や7歳で3番人気以内に推された馬は計【4.0.0.1】で勝率80.0%と、該当馬がいれば見逃せない。なお、牝馬は3番人気以内に推された5頭がすべて馬券圏外に敗れるなど、【1.0.0.23】の不振だ。

馬体重別成績(牡・セン馬)

■表4 【馬体重別成績(牡・セン馬)】

表4は、好走馬30頭中29頭を占める牡・セン馬について、馬体重別の成績を調べたものである。表の下部に記したように、500キロ以上の馬は【8.3.4.48】と馬券に絡めば勝ち切る確率が高く、500キロ未満の馬は【1.8.5.72】と2〜3着止まりがほとんどだ。前走500キロ未満から、本競走で500キロ以上になった馬が【4.0.0.7】と4勝を挙げているため、レース前に発表される馬体重をしっかりと確認したい。

前走クラス・レース別成績(レースは該当馬10頭以上)

■表5 【前走クラス・レース別成績(レースは該当馬10頭以上)】

前走レース別では、出走馬全173頭中48頭、3着以内馬30頭中13頭を占めるマイルCS組が、複勝率も27.1%と高い。このマイルCS組は同レースで好走していても強調材料にはあまりならず、下位に敗れた馬でも十分に巻き返せる。ほかに該当馬こそ少ないが、同距離のG2・スワンS組が複勝率27.3%とマイルCS組をわずかに上回る。また、3着以内馬30頭はすべて前走でオープン・重賞(地方競馬含む)に出走しており、1600万条件からの好走はない。

前走マイルCSからの3着以内馬

■表6 【前走マイルCSからの3着以内馬】

表5にあったように、前走着順はあまり参考にならないマイルCS組。この組で注目すべきはG1と芝1400mでの実績だ。まず、阪神カップ3着以内の好走馬13頭中11頭がG1で4着以内に好走した実績を持っていた(9頭は3着以内)。また、芝1400m出走経験がある11頭のうち9頭は、この距離の重賞で連対経験があった。どちらも満たしていない2頭はともに3歳馬。古馬なら少なくとも、いずれか一方の条件はクリアしている馬を選びたい。

前走芝1200〜1600mからの3着以内馬(前走マイルCS除く)

■表7 【前走芝1200〜1600mからの3着以内馬(前走マイルCS除く)】

表7は、前走でマイルCS以外の芝1200〜1600m戦に出走していた好走馬13頭である。前走を勝つか、負けてもあまり差のない競馬をしてきた馬が多く、着順は5着以内、勝ち馬とのタイム差は0.3秒以内が目安になる。どちらか一方でも満たせなかった好走馬5頭はすべて、芝1400mの重賞で3着以内に入った実績を持っていた。

その他の3着以内馬

■表8 【その他の3着以内馬】

最後に表8は、前走で芝1200〜1600m以外のレースに出走していた好走馬4頭で、いずれも芝1600m以下の重賞で連対した実績があった。このうち、レッドスパーダとコパノリチャードは前走が初ダートで、マイネルフォーグは芝1800m以上が約2年半ぶり。また、ダイワマッジョーレも過去2年の馬券圏内好走は芝1400〜1600mに集中していた。4頭中3頭が5番人気以内に推されていたことからもわかるように、「適条件に戻った」と言える馬ばかりだ。

以上、阪神カップの傾向を分析してみた。1着候補として注目したいのは、関東馬(表2)と500キロ以上の馬(表4)。両方に合致する「500キロ以上の関東馬」は【7.2.2.17】で勝率は25.0%になる。また、3着以内馬は前走マイルCS組が中心になるが、その着順にはこだわらず、G1や芝1400mでの実績をチェックしたい。
なお、ここ7年は前走でマイルCSかスプリンターズSに出走していた馬が1〜3着を独占するか(12、13、16、17年)、逆にそれ以外の馬が1〜3着を独占するか(14、15、18年)、この2パターンしか出現していない。穴狙いでも買い目を少なめに抑えたい場合は、最初に芝G1組かそれ以外かに絞ってから検討を進める手もありそうだ。
文:浅田知広(あさだ ともひろ)

1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。
  • 前へ
  • 1
  • 次へ

1/1ページ

著者プロフィール

【JRA公式データ配信サービス】のJRA-VANは、PCやモバイルに向けて競馬予想に役立つデータや情報を提供しております。 重賞レースなどのオフィシャルコラムや、海外競馬情報、JRA-VANのイベント情報、お得なキャンペーンなど、あなたの競馬ライフを豊かにする情報をお届けします。

新着記事

スポーツナビからのお知らせ

編集部ピックアップ

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着コラム

コラム一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント