昨年の勝ち馬が海外G1制覇! 朝日杯FSを展望する

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【2019/10/5 東京11R サウジアラビアRC(G3) 1着 3番 サリオス】

先週の阪神ジュベナイルフィリーズに続き、今週も2歳G1の朝日杯フューチュリティS(以下、朝日杯FS)が行なわれる。昨年の勝ち馬アドマイヤマーズは、3歳になってもNHKマイルを勝ち、先日の香港マイルでは海外G1制覇を飾る活躍を見せている。今年も同馬に続く高い素質を秘めた2歳馬が出走する一戦を、阪神芝1600m開催となった2014年以降のデータから展望してみたい。データの集計・分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。

人気別成績

■表1 【人気別成績】

表1は人気別成績。阪神開催となった14年以降、好走した15頭のうち9頭が1〜3番人気となっており、上位人気馬が確実に走っている傾向が見られる。ただし、4、5番人気から3着以内に入った馬はおらず、残る6頭の1〜3着馬はすべて6番人気以下から出ている。この両極化については注意したほうがよさそうだ。

前走着順およびタイム差別成績

■表2 【前走着順およびタイム差別成績】

表2は、前走着順別と前走タイム差別の成績をそれぞれ示したもの。好走した15頭のうち10頭は前走1着が占めており、朝日杯FSで中心をなすのはここ。ただし、前走1着でもタイム差が「勝0.0秒」、つまり、タイム差なしで勝ってきた10頭はすべて4着以下に終わっており、最低でも0秒1以上の差をつけておきたい。また、前走で敗れていた馬の好走は前走のタイム差が0秒5以内だった馬に限られ、前走で0秒6以上負けていた18頭はすべて4着以下に終わっている。

キャリア別成績

■表3 【キャリア別成績】

表3はキャリア別成績。重要なのはキャリア5戦以上の馬がすべて4着以下に敗れている点で、朝日杯FSにおいてレース経験はアドバンテージにはつながっていない。主流となっているのは「キャリア2〜4戦」で、この範囲に収まっていれば極端な有利不利は見られない。

前走レース別成績

■表4 【前走レース別成績 ※サウジアラビアRCはいちょうS時代の14年も含む】

表4は前走レース別成績で、朝日杯FSの1〜3着馬を出したレースのみを掲載している。該当馬が2戦2勝のベゴニア賞は注目のレースで、サウジアラビアRCも複勝率44.4%と相性がよく、東京芝1600mで結果を出してきた馬は見逃せない存在となりそうだ。そのほか、4頭の好走馬を出しているデイリー杯2歳Sは複勝回収率184%と高く、好走馬3頭の京王杯2歳Sにもしっかりと注意を払う必要がある。

芝1600m以上で1着実績の有無

■表5 【芝1600m以上で1着実績の有無】

表5は、芝1600m以上のレースで1着の実績を持つ馬と持たない馬の成績を比較したもの。ご覧の通り、過去5年の勝ち馬はすべてこの実績を持っている。勝ち切るためには押さえておきたい条件と言えそうだ。

直線400m以上のコースで1着実績の有無

■表6 【直線400m以上のコースで1着実績の有無】

表6は、直線400m以上のコース(東京、中京、京都・阪神・新潟の外回り。厳密には400m未満の京都B〜Dコース時も含む)で1着の実績を持つ馬と持たない馬の成績を比較したもの。朝日杯FSの舞台となる阪神芝1600mは外回り使用で、最後の直線が473m(Aコース時)と長い。そこで調べてみたのがこのデータで、やはり本番と同様に直線の長いコースで1着の実績を持つ馬が好結果を残している。この実績を持たずに勝ったのはキャリア1戦で出走した15年のリオンディーズのみだ。

上がり1位で1着実績の有無

■表7 【上がり1位で1着実績の有無】

表7は、上がり1位を記録して1着の実績を持つ馬と持たない馬の成績を比較したもの。好走馬15頭のうち12頭までは実績ありが占めており、できれば持っておきたいところである。実績なしの馬も2勝を挙げているのだが、それは14年のダノンプラチナと17年のダノンプレミアムで、いずれもディープインパクト産駒という共通項がある。つまり、上がり1位で1着の実績を持たず、ディープインパクト産駒でもない馬の好走は3着1回のみということになる。

【結論】

■表8 【19年朝日杯FS登録馬】

今年の朝日杯FSに登録がある17頭について、「キャリア」「前走の着順とタイム差」および「芝1600m以上」「直線400m以上」「上がり1位」での1着実績の有無をまとめたのが表8である。

「芝1600m以上」「直線400m以上」「上がり1位」のすべてで1着実績を持つのがサリオスレッドベルジュール。いずれもキャリア2戦、前走で重賞制覇と甲乙つけがたいところだが、朝日杯FSと好相性を示す東京芝1600mのサウジアラビアRCを勝ってきたサリオスを上位にとってみたい。

3つの1着実績のうち、ふたつを満たす馬は7頭いる。そのなかで注目したい馬としては、東京芝1600mのベゴニア賞で2着だったジュンライトボルトの名前は挙げなくてはならないだろう。過去4戦で上がり1位を記録したことはないのだが、すべて上がり2位。どんなレースでも安定して早い上がりを使えるのは、むしろ強みと言っていいかもしれない。もちろん、好走歴が多い前走デイリー杯2歳S組や京王杯2歳S組のタイセイビジョンペールエールにもチャンスはあるだろう。
文:出川塁(でがわ るい)

1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。
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