ノーザンファームのG1連勝は止まらないのか!? 阪神JFを占う

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【2019/10/26 東京11R アルテミスステークス(G3) 1着 9番 リアアメリア】

今週は阪神競馬場で2歳女王を決める阪神ジュベナイルフィリーズが行われる。来年の牝馬3冠戦線にもつながるこの重要な一戦には、今年も楽しみな素質馬が揃った。果たしてどの馬が勝利を飾るだろうか。過去10年の同レースの結果を分析し、今年のレースを占ってみたい。データの集計・分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。

阪神ジュベナイルフィリーズの人気別成績(過去10年)

■表1 【阪神ジュベナイルフィリーズの人気別成績(過去10年)】

まずは過去10年の人気別成績(表1参照)を調べた。1番人気の成績は【4.1.1.4】で、そのうち3勝は近4年で挙げたものだ。上位人気は比較的好走率が高く、1〜3番人気の成績は【6.5.3.16】。さらに1〜5番人気の成績は【10.7.6.27】だった。優勝馬はすべて5番人気以内から出ているのがポイント。2着馬も7頭出ており、馬連の高配当はやや見込みにくい印象だ。ただ、3着馬は6番人気以下から4頭出ている。穴を狙うのであればこのあたりの傾向に着目したい。

1〜3番人気の単勝オッズ別成績(過去10年)

■表2 【1〜3番人気の単勝オッズ別成績(過去10年)】

表2は1〜3番人気馬の単勝オッズ別成績。一言で上位人気と言っても、オッズ次第で印象は変わってくる。単勝オッズ1倍台であれば圧倒的な支持を受けていることになるが、阪神ジュベナイルフィリーズはキャリアの浅い2歳の牝馬限定戦ながら、そんな人気馬が信頼できるという傾向が出ている。1.5〜1.9倍の馬の成績は【1.1.0.0】なのだ。2.0〜4.9倍でも勝ち馬は5頭出ており、連対率は50%もある。一方、単勝5.0倍以上の馬は勝利していない。2着、3着馬はいるが、信頼度はやや落ちると考えるべきだろう。

1〜3番人気の前走レース別成績(過去10年)

■表3 【1〜3番人気の前走レース別成績(過去10年)】

表3は1〜3番人気の前走レース別成績。G3になったアルテミスS組が【2.2.0.2】の好成績、デイリー杯2歳Sや新潟2歳S組も有力で、これらマイル重賞組と阪神ジュベナイルフィリーズの相性はいい。オープン特別や1勝(500万)クラスをみても、赤松賞や白菊賞、芙蓉Sといったマイル組から好走馬が出ている。芝1400mのファンタジーSや京王杯2歳Sからも好走馬は出ているが、マイル組との比較では若干割引が必要かもしれない。

1〜3番人気の生産者別成績(過去10年)

■表4 【1〜3番人気の生産者別成績(過去10年)】

続いて表4は1〜3番人気の生産者別成績。ノーザンファームの成績が【5.4.0.6】で、他を圧倒している。今秋のG1(中央)を振り返ると、秋華賞を制したクロノジェネシスから先週のチャンピオンズCを勝ったクリソベリルまでノーザンファーム生産馬が7連勝中だ。同ファームの活躍は今に始まったことではないが、それにしても目下の勢いは凄い。阪神ジュベナイルフィリーズでの強さを考えれば、怒涛の連勝街道は今週も止まらないかもしれない。

阪神ジュベナイルフィリーズを4番人気以下で好走した馬(過去10年)

■表5 【阪神ジュベナイルフィリーズを4番人気以下で好走した馬(過去10年)】

最後に4番人気以下で阪神ジュベナイルフィリーズを好走した馬(表5参照)についてチェックしておく。前走レースを見ると、2009年から2012年にかけては、京王杯2歳S組やファンタジーS組が多かった。しかし、近年はアルテミスS組が増えてきており、全般的に前走マイル組が優勢になってきている印象だ。種牡馬としてはクロフネ、ステイゴールド、ディープインパクトの産駒が複数頭好走している。阪神ジュベナイルフィリーズと相性がいい血統と言えるだろう。

生産者の名前を見ると、こちらもノーザンファームが最も多い。しかし、該当馬16頭中6頭の割合であり圧倒しているわけではない。下河辺牧場や千代田牧場もそれぞれ2頭好走馬を出している。またディープインパクト産駒やステイゴールド産駒の好走馬は、むしろノーザンファーム以外の生産馬が大半となっている。

【結論】

■表6 【今年の阪神ジュベナイルフィリーズ出走予定馬】

それでは今年の阪神ジュベナイルフィリーズを占っていくことにする。出走予定馬は表6の通り。

今年はめずらしくフルゲートになりそうもないが、来年のクラシックにつながりそうな興味深いメンバーが揃った。重賞ウイナーのリアアメリア(アルテミスS)とウーマンズハート(新潟2歳S)、レシステンシア(ファンタジーS)に加え、サウジアラビアロイヤルC2着のクラヴァシュドールあたりの前評判が高く、上位人気に支持されそうだ。

具体的な人気順やオッズが判明してから考えたいところだが、この4頭の取捨・順位づけが大きなカギになりそうだ。まずは、前走芝1600m組という意味でリアアメリアウーマンズハートクラヴァシュドールがリードか。さらにその中でノーザンファーム生産馬はリアアメリアしかいない。また、メンバー中唯一のディープインパクト産駒である点も強調材料。本馬の単勝オッズが5.0倍未満であれば、信頼できる中心馬とみなしたい。

クラヴァシュドールとウーマンズハートはともにハーツクライ産駒。一応、2012年に同産駒のレッドセシリアが3着に好走した実績がある(クラヴァシュドールは下河辺牧場の生産馬でもある)。この2頭も有力馬だろう。

ただ、そうなると人気薄の馬が上位に食い込む可能性が少なくなる。あらためて出走予定馬の種牡馬をみると、今年産駒がデビューしたワールドエースの子が3頭、キズナの産駒が3頭いる。いずれの種牡馬もディープインパクトの直仔だ。阪神ジュベナイルフィリーズとの相性はまだわからないが、実績的には前走芝1600mの1勝クラスを勝ったマルターズディオサや、前走アルテミスS5着のオータムレッドあたりが穴候補。果たして上位人気勢の一角を崩すことができるだろうか。
文:小田原智大(おだわら ともひろ)

1975年6月、東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、業界紙記者を経て、(株)レイヤード入社。ライター&エディターとして活躍。JRA-VANデータの配信初期から、いち早くデータ競馬の有効性に着目する。05年5月より「競馬 最強の法則WEB」にて、障害戦を除く全重賞レースの傾向と対策、予想を展開。「オッズパーク ダートグレードデータ作戦」では、地方競馬の重賞の攻略にも取り組んでいる。仕事の関係でなかなか競馬場には行けなくなったが、年に1、2回行くローカル遠征が楽しみ。
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