リステッド競走の狙いどころを探る

JRA-VAN
チーム・協会

【2019/9/29 阪神11R ポートアイランドステークス 1着 1番 ロードマイウェイ】

2019年から「グレード競走に次ぐ重要な競走」としてリステッド競走が導入された。従来はオープン特別競走として一括りにされていたが、「リステッド競走(L)」と「その他」の2つに分類されることになった。実際には両レースにさほど大きな差は感じないが、リステッド競走の方が格は上で、賞金も少し高くなっている。今回はリステッド競走を含むオープン特別のデータを調べてみた。データの集計・分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JVを利用した。

リステッド競走好走馬の平均人気

■表1 【リステッド競走好走馬の平均人気】

※2019年1月5日〜11月24日まで。平地のレース。

その他のオープン特別(リステッド以外)好走馬の平均人気

■表2 【その他のオープン特別(リステッド以外)好走馬の平均人気】

※2019年1月5日〜11月24日まで。平地のレース。

これまで(2019/1/5〜11/24)に行われたリステッド競走の数(表1参照)は、2歳限定2、3歳限定16、3歳以上20、4歳以上19だった。その他のオープン特別(リステッド以外)のレース数(表2参照)は、2歳限定13、3歳限定4、3歳以上18、4歳以上15だった。2歳限定戦でリステッド競走となっているのは萩SとアイビーSだけ。大半はその他の扱いだった。一方、3歳限定戦は大半がリステッド競走に格付けされていた。特に芝のレースはすべてリステッド競走だった。今年で言えばヴェロックスが若駒Sと若葉Sを勝利し、クラシックで好走。ラヴズオンリーユーは忘れな草賞、カレンブーケドールはスイートピーSを勝ちオークスで好走した。オープン特別であってもクラシックに直結する重要なレースが多く、重賞に近い格付けになるのも納得だ。

3歳限定戦でその他の扱いとなっていたのは、青竜S、端午S、伏竜S、昇竜Sの4つで、すべてダート戦。ただ、「その他」とはいえ、大井のジャパンダートダービーやユニコーンSにつながる注目レースだ。過去3年間のレースレーティングの平均値が高ければリステッド競走になるシステムなので、今後の出走馬のレベル次第では、格上げされる可能性はある。逆に、現在はリステッド競走であっても、平均値が低いと格付けが自動的に失われてしまう。

3歳以上と4歳以上のリステッド競走数は、その他のオープン特別よりも若干多かった。また、勝ち馬・連対馬・3着以内馬の平均人気を調べたところ興味深いことがわかった。3歳以上・リステッド競走の勝ち馬の平均人気は3.7、連対馬の平均人気は4.2、3着以内馬の平均人気は4.9で、徐々に平均人気が上がっていた。ところが、4歳以上・リステッド競走では、勝ち馬の平均人気が5.2で、連対馬や3着以内馬の平均人気よりも高かった。つまりこれは、人気薄の馬が勝ち切るケースが多いことを意味している。その他のオープン特別における好走馬の平均人気と比較しても、特徴的な結果が出ている。また、3歳限定戦ではリステッド競走よりもその他のオープン特別の方が、各式別の平均配当が高かった。

3着以内に入った馬の前走クラス別平均人気

■表3 【3着以内に入った馬の前走クラス別平均人気】

3着以内馬の平均人気に注目し、さらに踏み込んでデータを調べてみた。表3は前走クラス別の平均人気をリステッドとその他で分けて集計したものだ。興味深い結果が出たのは、リステッド競走で3着以内に入った馬。前走3勝クラスに出走していた馬の平均人気が2.4と、かなり小さな値となった。つまり、好走馬はほとんど上位人気だったことになる。実際、内訳を調べたところ好走馬16頭中13頭が1〜3番人気。また、全16頭が前走3勝クラスのレースで1着だった。具体例としては、9月29日のポートアイランドS。前走・3勝クラスの長岡Sで1着だったロードマイウェイが1番人気に支持され、見事に勝利を飾っている。

リステッド競走は重賞よりもクラスの壁が低い分、昇級馬がいきなり走りやすいようだ。もしリステッド競走に昇級馬(前走3勝クラスを勝利)が出走して人気になっていたら、中心視できる。

一方、馬券的な妙味を求めるのであれば前走オープン特別組を狙うのがいいだろう。リステッド競走で3着以内に入った前走オープン特別組の平均人気は6.0。内訳を調べたところ、全27頭いてその内6番人気以下は14頭いた。基本的に前走着順が悪い人気薄の馬を狙うことになるので難易度は高いが、その分見返りは大きい。

好走馬の数は前走オープン特別組よりもG3組の方が多い。しかし、平均人気は3.9とかなり数値が下がる。G2組の平均人気は4.7なので少し妙味はあるだろうか。そしてG1組は3.2だった。重賞組は相手が楽になる分、好走率は上がるものの、人気になりやすい。高配当を目指すのであれば、前走オープン特別組が狙いどころになるだろう。
文:小田原智大(おだわら ともひろ)

1975年6月、東京生まれ。早稲田大学商学部卒業後、業界紙記者を経て、(株)レイヤード入社。ライター&エディターとして活躍。JRA-VANデータの配信初期から、いち早くデータ競馬の有効性に着目する。05年5月より「競馬 最強の法則WEB」にて、障害戦を除く全重賞レースの傾向と対策、予想を展開。「オッズパーク ダートグレードデータ作戦」では、地方競馬の重賞の攻略にも取り組んでいる。仕事の関係でなかなか競馬場には行けなくなったが、年に1、2回行くローカル遠征が楽しみ。
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