外国馬、天皇賞(秋)上位馬ともに不在のジャパンCを分析する

JRA-VAN
チーム・協会

【2018/11/25 東京11R ジャパンカップ(G1) 1着 1番 アーモンドアイ】

1981年に創設された国際招待競走・ジャパンC。今年は初めて日本馬のみで争われることになったが、過去10年で5番人気以内に推された外国馬は2009年コンデュイット(4着)と2011年デインドリーム(6着)の2頭のみ、馬券に絡んだのは2006年3着のウィジャボードが最後。今年の外国馬不在が予想に与える影響は、さほど大きくないと考えていいだろう。 一方、天皇賞(秋)の好走馬は毎年のように上位人気に支持され、馬券にも多くの馬が絡んできた。しかし今年は、1〜3着馬が不出走。これが果たしてどんな結果を招くのか、データから分析してみたい。データ分析にはJRA-VAN DataLab.とTARGET frontier JV、馬天楼 for データde出〜たを利用した。

人気別成績

■表1 【人気別成績】

過去10年、1番人気は【4.2.2.2】。このうち単勝オッズ3倍未満の馬は【2.2.2.0】で複勝率100%、単勝3倍台になると【2.0.0.2】同50.0%に下がる。続く2番人気馬は【1.2.2.5】で、こちらは単勝5倍未満なら【1.2.0.4】と連対まで届いている。それに対して5倍以上では【0.0.2.1】と好走しても3着止まりながら、複勝率は66.7%と高い。今年は人気が割れそうで、1、2番人気馬はその単勝オッズにも注目したい。
また、優勝馬10頭はすべて5番人気以内で、2着馬も7番人気まで。8番人気以下の馬は3着3回に終わり、特に近5年は【0.0.0.49】と全馬が馬券圏外だ。まずは7番人気以内の馬から馬券候補を探したい。

枠番・馬番別成績

■表2 【枠番・馬番別成績】

枠番別の成績は、1枠が【4.2.3.10】複勝率47.4%をマーク。中でも、1枠1番を引いた馬は昨年のアーモンドアイなど3勝を挙げ、勝率30.0%、複勝率60.0%の好成績を残している。枠番では5〜6枠、馬番では8〜14番には勝利がないため、1着候補は4枠7番以内か、15番より外の7〜8枠(本稿執筆時点の想定では15頭立てのため、8枠15番のみ)になる。

性齢別成績

■表3 【性齢別成績】

性別では、牝馬の複勝率37.5%に対し、牡・セン馬は同14.4%と牝馬優勢だ。JRA所属の牝馬にかぎれば【6.2.1.9】で連対率44.4%、複勝率50.0%と好走確率はさらに高く、2週前の牝馬限定G1・エリザベス女王杯ではなくジャパンCを選択するほどの馬なら、注目は欠かせない。

前走レース別成績(本年登録馬の前走)

■表4 【前走レース別成績(本年登録馬の前走)】

前走レース別の成績では、3着以内馬30頭中17頭を天皇賞(秋)組が占め、複勝率27.9%など好走確率も上々だ。ただ冒頭でも触れたように、本年は同レース1〜3着馬が不在という点は気にかかる。

前走天皇賞(秋)出走馬の、前走着順・前走人気別成績

■表5 【前走天皇賞(秋)出走馬の、前走着順・前走人気別成績】

表5はその天皇賞(秋)組の、前走着順・人気別成績である。今年は同レース1〜3着馬のほか、1〜3番人気馬も不在だ(2頭重複)。まず前走着順をみると、4着馬が勝率40.0%、連対率60.0%。2009年の本競走2着・オウケンブルースリは、天皇賞(秋)でカンパニーから0.8秒も離されており、優勝馬とのタイム差はさほど気にならない。また、前走人気別では、5〜9番人気だった馬が計【1.3.2.11】複勝率35.3%、複勝回収率191%の好成績を残している。

前走天皇賞(秋)以外のG1からの好走馬

■表6 【前走天皇賞(秋)以外のG1からの好走馬】

3着以内の好走馬のうち、前走で天皇賞(秋)以外のG1に出走していた馬は表6の8頭。うち6頭は3歳馬、残る2頭は凱旋門賞からの帰国初戦だった。また、8頭のうち7頭は既にG1で勝利を挙げており、残る1頭・2013年2着のデニムアンドルビーは、ジャパンCと同コースのオークスで3着に入っていた。この組はG1優勝、または東京芝2400mのG1好走実績が必要だ。

前走G1以外からの好走馬

■表7 【前走G1以外からの好走馬】

前走でG1以外に出走していた3着以内馬5頭は、2016年と2017年に集中している。京都大賞典組が3頭、アルゼンチン共和国杯と神戸新聞杯が1頭ずつと、いずれも前走は芝2400〜2500mのG2だ。また、全馬に2000mを超える距離のG1で3着以内の実績があったほか、表には記していないが、5頭とも芝2400〜2500mのG2で連対した経験があった(前走含む)。

秋の天皇賞(同年)連対馬が不出走だった年のジャパンC(1986年以降)

■表8 【秋の天皇賞(同年)連対馬が不出走だった年のジャパンC(1986年以降)】

最後に、同年の天皇賞(秋)1〜2着馬が不出走だった年のジャパンCも振り返っておきたい。JRA-VAN Data Lab.でデータが提供されている1986年以降では、1993年から1995年の3回が該当し、このうち1993年と1995年は、本年と同じく3着馬も不在だった。
この3回すべてで馬券に絡んでいるのが、前走で同距離の京都大賞典に出走し、連対していた馬だ。このうち、優勝したマーベラスクラウンとレガシーワールドはG1初制覇。2着のヒシアマゾンは既にG1で2勝を挙げていたが、どちらも同世代の牝馬限定G1だった。天皇賞(秋)上位馬が不在なら、G2を勝てるくらいの力さえあれば勝負になりそうだ。

【結論】

牝馬が牡・セン馬を圧倒しているジャパンC(表3)。登録のあったラヴズオンリーユーが回避したため、今年出走する牝馬はカレンブーケドール1頭だ。オークスか秋華賞のいずれかを勝っていれば文句なしの本命候補だったが、それでもオークス2着は表6のデニムアンドルビー(同3着)を上回る。そのデニムアンドルビーが2着に入った2013年は、天皇賞(秋)を4馬身差で圧勝したジャスタウェイが不出走。アーモンドアイが3馬身差で天皇賞(秋)を制した今年に通ずるところがある。表8にあったように天皇賞(秋)の上位馬が不在なら、G1未勝利馬にも優勝のチャンスは十分だ。

その表8で挙げた前走・京都大賞典組はダンビュライト(2着)と、エタリオウ(5着)。表8からは、同レース2着のダンビュライトが有力だ。ただ、前走G1以外からの好走馬を見ると、3000mの菊花賞で2着の実績を持つエタリオウのほうが、表7の5頭により近いタイプになる(ダンビュライトのG1最高着順は2000mの皐月賞3着)。甲乙はつけがたく、どちらにも好走の可能性はあると考えたい。

そして例年なら最有力となる天皇賞(秋)組では、7番人気ながら4着と、今回の出走馬では最先着を果たしたユーキャンスマイルに注目したい。表5の通り、天皇賞(秋)組は同レース5〜9番人気馬や4着馬が好成績を残している。
浅田知広(あさだ ともひろ)

1970年12月、埼玉県生まれ。立命館大学文学部中退後、夕刊紙レース部のアルバイト、競馬データベース会社を経て、現在はフリー。パソコンが広く普及する以前から、パソコン通信でデータ手入力方式の競馬予想ソフトを公開するなど、競馬のみならずPCやネットワークにも精通。その知識を活かし、Webや雑誌で競馬ライターとして活躍するかたわら、ネットワークの専門誌にも連載を持つ。
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