【UFC】マディソン・スクエア・ガーデンで世界一のワルが決まる! 世界最凶男決定戦ディアス対マスヴィダル

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【Zuffa LLC/UFC】

格闘技の殿堂マディソン・スクエア・ガーデン(MSG)で日本時間11月3日(日)に開催されるUFC 244はUFCにとって500回目を数える記念イベントだ。そのメインイベントではウェルター級ランキング3位のホルヘ・マスヴィダル(アメリカ)と同7位のネイト・ディアス(アメリカ)が“BMFタイトル”をかけた一戦に臨む。

前代未聞! ネイト・ディアス制定ベルト防衛戦

8月に行われたUFC 241で、実に3年ぶりの復帰を果たしたディアスは、全くブランクを感じさせないパフォーマンスで最近好調だったアンソニー・ペティスに圧勝すると、試合後の勝利者インタビューで次のようにぶちあげた。

「オレのこのベルトの防衛戦の相手には、ホルヘ・マスヴィダルを指名する。ヤツの前回の試合は悪くなかった。この業界で戦いということをちゃんと分かっているワルは、オレとヤツを除いてもう誰もいないからな」

このディアス発言は多くのUFCファンにとってまさに啓示だった。1つには、UFC王者ではないディアスが「ベルトを防衛する」と言うと、なぜかディアスが何らかの王者に思えてきたこと、もう1つは、マスヴィダルはこれまであまり想像していなかったマッチアップだったというのに、言われてみれば見たい試合のナンバーワンだったことに気がついたからだ。

ファンはこの試合の実現を切望したが、まさかこんなに早く、しかもマディソン・スクエア・ガーデンのメインイベントで実現するとは思いも寄らなかった。ペイ・パー・ビューイベントのメインイベントにはタイトルマッチが配されるのが通例だからだ。ただ、ディアスが防衛するという、いわば本人認定のワルの王様を決める架空のベルトが、ファンの間で実体を帯び始め、いつのまにか『BMF(バデスト・マザー・ファッカー)』ベルトと命名されると、UFC会長のデイナ・ホワイトも、この試合の勝者に贈呈するためのBMFベルトを制作することを明言。こうしてディアスの一言は、今年のMSGのメインイベント“世界最凶タイトルマッチ”へと成長していったのである――とはいえ、ホワイトはこのベルトが1度限りのものであり、今後、防衛戦が行われるような種類のものではないと明言している。

また、映画『ワイルド・スピード』シリーズなどでおなじみ、プロレスファンにはザ・ロックとして知られている大物俳優のドウェイン・ジョンソンが、この試合の勝者の腰にBMFベルトを巻くために登場する予定だ。

これまでにもディアスの発言が現実化したことはあった。マイケル・ジョンソン戦(2015年12月)で勝利した後、ディアスは当時飛ぶ鳥を落とす勢いだったコナー・マクレガーをいきなり挑発した。階級も違えば、ランキングにも差があったことから、まさか実現するとは考えられなかった試合だったが、その後、UFC 196(2016年3月)でマクレガーと対戦する予定だったハファエル・ドス・アンジョスが負傷欠場になると、ディアスは試合のわずか11日前のオファーを受けて代打出場を決めたのだった。こうしてファンのハートをわしづかみにしたマクレガーとの2連戦が現実化したのである。

ストックトンのストリートでならし、中学生の頃には公園で行われるアングラファイトでメインイベントを飾っていたというディアスも、いまやパフォーマンスボーナス15回受賞というUFCレコードを持つ名勝負製造機である。

「オレがやりたいのはジョークファイトではなく、ビッグファイトなんだ」とディアスは今回の試合への意気込みを語っている。

「対戦相手に抱きついたり、逃げたりして試合をしようとしないヤツには、オレはもうウンザリ。オレは本物の戦いをしたい。今回の試合はどんな手を使ってでもフィニッシュしてやる。それがニック・ディアスとシーザー・グレイシーからたたき込まれたことだからだ」

確変マスヴィダル、キャリア48戦目の大舞台

「オレはもともと、キング・オブ・スプリット判定と呼ばれていたんだ。でもある時、オレは思った。こんなことでオレのキャリアはどうなるんだ? もっとフィニッシュしないと仕方ないじゃないか」

キャリア16年の大ベテラン、マスヴィダルの存在はMMAファンの間ではかなり前から知られていた。日本で戦ったこともある。とはいえ、これまでのマスヴィダルにはどちらかと言えば地味な中堅との印象があり、スーパースターと呼ぶにはほど遠い存在だった。

ところが、今年3月にロンドンでマスヴィダルの印象は一変する。自身初のメインイベントに登場したマスヴィダルは、母国の英雄ダレン・ティルを手慣れた手さばきで撲殺――実はこれがマスヴィダルにとって777日ぶりの勝利だった――会場を震かんさせると、バックステージではレオン・エドワーズにほほ笑みながら近づき、いきなりパンチの速射砲をお見舞いと、やりたい放題の大暴れをしてみせたのである。マスヴィダルは後に「オレは神様でも何でもないが、今回は2人の男に洗礼を授けてやったよ」と語り、ここから“ストリート・ジーザス”というニックネームが浸透していく。

次いで7月のUFC 239で、ベン・アスクレンにUFC史上最速KOでキャリア初黒星を付けると、実にキャリア48戦目にして、初のペイ・パー・ビューイベントのメインを飾ることとなったのである。まさにマスヴィダルは意識革命により、“マスヴィダル2.0”へと成長を遂げたのだった。

マイアミのバックヤードで行われていた素手によるリアルファイトが『YouTube』で公開され、キンボ・スライスらがセンセーションを巻き起こしていた2002年頃、ジーンズに上半身裸、髪をポニーテールにまとめたプロデビュー前のマスヴィダルもその戦いに参加していた。

「あの頃はいつも緊張して過ごしていた。いつ襲われるかも分からないし、武器を持ち出すヤツもいたんだ。それに比べればプロの試合は、レフェリーもいるしドクターもいる。武器は出てこないし、加勢してくるヤツもいなくて、やりやすいもんさ」

マスヴィダルは今回の試合に向けて、「オレはベルトを持っているヤツの頭を全部取ってやろうと思っている。ネイトは別格の存在だが、なんとしても食らいつく。見ている人がビックリして言葉を失うような試合をまた見せてやるさ」と述べている。

西海岸はストックトンのストリート出身のワルと、東海岸のマイアミのバックヤード出身のワルが雌雄を決するオールドスクールでハードコアなケンカ屋対決は日本時間11月3日(日)開催だ!

【文 高橋テツヤ】
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